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笠井一朗20070723「第3回反植民地主義フォーラム」出席報告
http://www.asyura2.com/07/war94/msg/776.html
投稿者 笠井一朗 日時 2007 年 8 月 15 日 21:58:50: hjlOpqOBwUqa.
 

笠井一朗20070723現在進行形の植民地主義に抵抗する道筋を探る
http://homepage1.nifty.com/KASAI-CHAPPUIS/LiteraryMedley2007.htm#KASAIIchiro20070723

 6月16日に札幌で行われた「第3回反植民地主義フォーラム」に出席しまし
た。本稿はその報告書として書こうとしたものですが、その後、牧草刈り等の農
作業に追われ、フォーラムの感想をまとめようとしているうちに、いつの間にか、
論説のようになってしまいました。仕事の合間合間を縫って書いたので、語調や
論旨など、やや支離滅裂の感が否めません。また説明が言葉足らずで、フォーラ
ム出席者でないと理解しづらい箇所が多々あろうかと思いますが、一切、ご容赦
下さい。AML(メーリングリスト)には、御前会議でポツダム宣言の受諾が決
定されて詔勅が発せられた今日14日、つまり国内的にみて敗戦を正式に決定し
た日、この日をもって投稿します。稚拙な文章なので言いづらいのですが、転載
歓迎です。

私事ですが、ここ北海道は、今日と明日は最高気温が観測される模様です。朝晩
涼しいのが本州と違うところですが、菓子パンを焼いたり、梅ジャムを煮込んだ
りと、このくそ暑い日だったので、もうフラフラでしたが、夕方になってやっと
涼しくなりました。明後日からは、もうモードは秋です。残暑はありません。
(一朗20070814)

今日は一日、梅ジャムの瓶詰めだった。明日はパン焼きと、梅果実のカット調整
だ。涼しくなってくれますように。(一朗20070815)


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     目  次
1、現在進行形の植民地主義
2、植民地主義遂行に必要なプロパガンダ
3、植民地主義遂行プロパガンダを支えるもの
4、なぜ日本民衆は天皇(制)を支持しつづけることができるのか
5、土井敏邦さんの話を聞いて
  参考資料


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1、現在進行形の植民地主義

 「現在進行形の植民地主義に抵抗する道筋を探る」はフォーラムのリーフレッ
トから拝借しました。「現在進行形の植民地主義」にこそ現代の平和問題の要が
あります。この点をきちんと把握理解しない限り、どのような平和運動を展開し
ようとも、実質的な成果は得られないでしょう。

 「植民地主義」というと太平洋戦争までの世界史で終わったのではないかと考
える方も多いのではないでしょうか。本当は終わっていなければならなかったは
ずのものですが、実は、現在進行形であるという認識を持つべきだと思います。
図らずも、石破茂当時防衛庁長官が2003年11月23日のTV番組サンデープロジェ
クトで言ったように「世界中33カ国が皆、自国の国民の命を懸けてやっている時
に、『日本人だけは行きません。イラク復興は世界の皆さんやって下さい。立派
に復興したら石油は日本に優先的に下さい』、そういうことが国際社会に通用す
るなら、そういう(派遣しない)議論もいいでしょう。自由と民主主義を正面か
ら否定する勢力に対して、日本は何もしない、日本人だけ守られればいいという
ことで通りますか」と、あからさまに植民地主義を地で行く論調に走ってはいけ
ないのですが、その路線を突っ走っているのが、自公連立の、小泉政権に続く安
倍政権です。

 先日6月30日、久間防衛大臣の原爆しょうがない発言がもとで、辞任しても
へこたれない久間章生議員ですが、彼や、右傾化した自民党議員連中の無意識の
うちにある心理は、「勝てば官軍」「歴史上、戦勝国の戦争犯罪は問われたこと
がない」「米国なぞはベトナムから敗退したのに戦後賠償はしていない」・・・
「従軍慰安婦は職業娼婦だった」「南京大虐殺は嘘っぱち」「強制連行は強制で
はなかった」「集団自決は住民の自発的な行動だった」などなどが、頭の内部の
方で、しっかり根付いているのではないでしょうか。百人切りの自慢話や731
部隊の実態、三光作戦や、南方戦線がマラリヤでどうなろうと、ましてや「犯し
て殺して喰った」など夢のまた夢、すべてが、しょうがないしょうがないで済ま
せても、カルト政党と手を組んで、尚、余りある勝利の美酒に酔いしれるユーフ
ォリア状態にあるのでしょう。


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2、植民地主義遂行に必要なプロパガンダ

 自公連立の演じた強行採決、いわゆる「不正常な採決」(野党が同意しないま
ま行われる採決)の数は過去5年間で計11回、今国会だけで14回にもなるの
だそうです。民主主義を実現する一手段でしかない多数決という手法、それを伝
家の宝刀のごとく振り回し、多数決原理主義を悪びれることもありません。小選
挙区の悪弊もそっちのけで小沢一郎民主党代表は「このままは日本が危ない」な
どと二大政党制を演出するに余念がない様子です。民主党が2005年8月に発表し
たマニフェスト(31頁)にある衆議院比例定数を180から80に減らす公約
は、2007政策リスト(3頁)でも生きています。ちょっと脱線してしまいま
したが、私は、最近、やけに愚痴っぽくなりまして、政治のことを考え始めると、
もう厭世気分に苛まれる位に鬱なのです。

 文章が散漫になって済みません。まず第一に言いたいことは、「民主主義にお
いて多数決はあくまで民主主義を実現する手段のひとつでしかないこと」、その
ためにいくつかの前提が必須です。なかでも個の確立が重要ですが、主義とも言
えぬ利己主義を個人主義と区別が出来ない人方が大半を占める日本社会では、こ
の大前提が成立していません。また、人治国家の対義語として法治国家があると、
その昔、社会科の授業で勉強した記憶がうろ覚えにあります。しかしながら、そ
の法も、人が決めることに変わりありません。違憲判断を不問にしても、尚、平
然としている最高裁や、その司法消極主義を擁護する憲法学会、明確性の原則を
要求される法律文を明かに逸脱するような条文が立法化できてしまう、たとえば、
国民投票法の罰則を規定する箇所=第八節第百九条なども、法曹界が理に基づい
て活動していない証でしょう。

 やはり、裏に国家権力の意図があるからです。国旗国歌法が制定されるに当た
って、小渕当時総理大臣は強制はしないと確約しましたが、教育委員会経由で来
る指導要綱などには、罰則を伴った強制が行われているのは、裁判論争にもなっ
ている周知の事実です。昨年末、強行採決された改定教育基本法について、伊吹
文科相は、基本法に基づいて制定される学校法など関連下位法に基づいてなされ
る行政指導は介入に当たらない、なぜなら国会で正当に立法化された法律に基づ
く行為を「介入」と称するのはどういうものか、と国会答弁でも明言しています。
このように、今日のようにあまりに論理的思考がないがしろにされ、容易に全体
主義的な方向に流されていくのは、強権をたえず確保しておきたい植民地主義政
策を採る国の望むところです。意図されているのです。

 そのような中、左翼平和主義者が「9条は世界の宝」「9条を世界に広げよう」
とシュプレヒコールを繰り返しても、(私自身、そのシュプレヒコールをするメ
ンバーの一人ではありますが、)商品の広告によく書いてある「写真はイメージ
です」のようなものです。イメージの元々の英語の意味を考えると、イメージと
いうよりもイルージョン(実物とは違うもの・幻想)といった方が正しいとは思
いますが、それはさておいて、日本の平和運動で問題なのは日本人の思考パター
ンにあると思います。つまり、1)論理的思考をしない、2)情緒過多、3)先
入観にとらわれやすい、4)長いものに巻かれる、5)出る杭を打つ、などなど、
いずれも論理的思考の欠如に帰結されると思います。AML14131で、新八子
20070529さんが投稿なさったシンポジウム出席報告によれば、「いま進行中の大
学改革の中で、哲学という研究領域がどんどん追いつめられつつあり、下手をす
ると、学問領域として近い将来消滅してしまうかもしれない」との事ですが、こ
れでは暗闇行きが加速されるのは間違いないことです。

 また、北朝鮮民主主義人民共和国バッシングは、私の理解を超えています。講
和条約を結んでおらず、国交もない、戦争当事国相手側に対し、慰安婦問題や強
制連行問題などをすべて蹴ちらかし、拉致被害だけを声高に叫び、経済制裁をす
る日本政府の在り方も非常識ですが、横田早紀江氏の「戦争が出来なければせめ
て経済制裁を」「いよいよクライマックス」など、早紀江氏は、めぐみちゃんが
「死んでしまっている」あるいは「北の工作員として活躍しており日本に帰るこ
とが思想的政治的に出来ない」とでも考えているのでしょうか? もしそうでな
いなら、日本政府に対して「敵視政策を止めて、さっさと国交を樹立せよ」と叫
ぶのが筋ではないでしょうか? 少なくとも、他の生存中の拉致被害者の立場を
より危うくするだけではないでしょうか? ちょうど、イラクで香田証生君が拘
束されたときに「自衛隊は撤退しない。テロには屈しない」と言下に死刑宣告し
た小泉前首相を連想させます。おまけに日本社会は彼のご両親をマスコミカメラ
に対して「申し訳なかった」と謝らせたのです。なんと冷徹無血な社会ではあり
ませんか、日本という社会は。それでも自慰史観に浸っていたいのであれば、そ
れはもう病気です。

 話を植民地主義に関連させるもので、ひとつ思い出したことがあります。数年
前、イラクに対する米軍の軍事侵攻が始まって数ヶ月後、地元の寄り合いの飲ん
だ席で出した話ですが、太平洋戦争時の特攻攻撃とイスラム武装組織の自爆ゲリ
ラ攻撃を比較するといった話題をしたことがありました。自発性においては、イ
スラム武装組織の方が余程自発的なのではないか、と話を振ってみたのですが、
集まりの主だった意見は、特攻攻撃は本土防衛の為やむを得なっかったが、イス
ラム武装組織は宗教に洗脳された危険な人方、といった認識を共有しているよう
に見受けられました。明治以降、天皇陛下を元帥として軍服を纏わせ、西洋に追
いつき追い越せで、植民地主義をひた走りに走ってきた日本。近衛上奏文も空し
く、本土空襲で犠牲となる国民の命が一人でも多く助かるためと言われれば、皇
国教育を受けた者であってはイヤとは言えぬ状況であったのは想像に難くありま
せん。「強制でないように・・・」とは、まさに植民地主義政権の最高責任者?
として、当を得た名台詞です。このことを踏まえてだか、国民保護法の第4条2
項には「強制があってはならない」という文言が収められていますが、強制され
ないから拒否できるかとなると、現実には別問題なのは、国旗国歌法の場合と同
様です。

 はたまた、イスラム武装組織の自爆攻撃はジハードの一形態だと冷徹に言い放
つことは出来るのでしょうが、まず持って留意すべきは、片や、植民地主義のな
れの果て、もう一方は、民族の誇りを賭けた最後の選択肢、と見ることが出来る
のではないでしょうか。米軍による民族虐殺に対抗し、民族自決権を護るため、
イラクでは、非力な武力でありながらも、闘わざるを得ない現状があるのです。
「対テロ戦争」とか「暴力の連鎖」とかは侵略ならびに略奪搾取する側のプロパ
ガンダレトリックです。


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3、植民地主義遂行プロパガンダを支えるもの

 「対テロ戦争」のプロパガンダと同様、困ったものが、「戦争の根源が差別や
貧困や宗派間対立にある」とするものです。貧困層が武器を生産したり、戦争を
遂行するに必要なエネルギーを確保したり出来るでしょうか? 紛争地域(戦争
当事国あるいは被害国)に、以前から異民族異教徒同志が平穏に同居していたの
ではないですか? 紛争地域(戦争当事国あるいは被害国)に、他の地域から異
民族異教徒が移住して来ざるを得なかったのではないでしょうか? 風が吹けば
桶屋は儲かるかも知れませんが、桶屋が儲かっても風が吹くことにはならない、
という論理的非可逆性に気付くべきです。この、当然、「べき」ものをまかり通
らなくする原因がふたつあります。

 ひとつは、その論理を認めてしまうと自己矛盾に陥るので、本能的に拒否して
しまうという思考パターンがあります。今の豊かさと便利さを享受し、それを捨
てることが出来ない被支配階級にとって、先の石破元防衛庁長官の「あなたも石
油が必要でしょう」に返す言葉を失うのです。また、右肩上がりでしか健全性を
保つことが出来ない資本主義経済とその基盤となる植民地主義を採る日本国政府
や経済界にとって、自分たちがその根源であるとは、是が非でも否定したい事柄
であるはずです。さらなる市場拡大が必要な時、戦争、特に地域戦争はついて回
りますし、その相手が国際法の想定していた主権国家ではない武装組織ほど、都
合の良いものはありません。さすがに、北朝鮮民主主義人民共和国に対し、テロ
組織と呼びつけるわけにもいかず、しょうがなしに「テロ支援国家」と呼ぶわけ
です。「対テロ戦争」を演出する米国のような「テロ国家」にとって都合のよい
相手を「テロ支援国家」と名指しするのは、ある意味、道理ですが、米国のよう
なテロ国家を直接的に兵站支援する日本こそ「テロ支援国家」であるはずです。

 もうひとつ、「植民地主義遂行プロパガンダを支えるもの」として、差別と偏
見があります。両方とも同じような意味です。科学的な観察に基づかず、論理的
な思考を伴わない、物事に対する価値判断の決めつけ、とでも定義しましょう。
この問題は非常に根深く、本人自身が、自分が偏見を持っていると自己認識する
ことが非常に難しいのです。実は、今回のフォーラムでもその場面を観察するこ
とが出来ました。リーフレットのタイトルで「響きあう パレスチナとアイヌ・
・・」とあり、この件についてパネラーのひとり、キム・チョンミさんから一言
(録音01:33:55)ありましたが、奪う側は奪われる側の状況を認識しにくいので、
最大限の想像力を持って対するようにと、おっしゃいました。確かに、奪う側が
簡単に忘れてしまうことでも、奪われた側は滅多に忘れる事は出来ません。機会
を奪われ、生活を奪われ、人生を奪われ、命を奪われるわけですから。「貸した
金は忘れない」と喩(たと)えるのは、不適切で不謹慎にあたるでしょう。そし
て、奪う側をして容易に忘れさせてしまうのに効果絶大なのが、差別や偏見です。
見上げればそこにバナナがぶるさがっている南の国の人方は、怠け者だから貧困
に苦しむのだ、とする南北問題レトリックが差別意識を生み、奪う側の加害意識
を見事に消し去ってくれます。

 また、臼杵陽さんのキム・チョンミさんや石井ポンペさんに対する質問も、あ
とで臼杵さんが謝られていましたが、この臼杵さんの質問(録音03:03:30)は、
やはり、奪う側の無頓着さの顕れであると思われます。こういった「差別や偏見」
ですが、奪う側の権力者の手にかかると、「戦争の根源に差別や偏見がある」と
すり替えられます。奪う側に属する被支配者は、そういった「差別や偏見」が戦
争の根源であるとし、免罪符となります。差別や貧困が原因で宗派間対立やテロ
が起きるとし、さらなる蔑視感情にもつながります。自身に植え付けられた、科
学的な観察に基づかず、論理的な思考を伴わない、物事に対する価値判断の決め
つけを、自分で認識し測定できる客観的な診断法を開発したいところです。

 失礼、もうひとつ追加します。貧困(経済的・物理的・時間的欠乏状態)は、
確実に「植民地主義遂行プロパガンダを支え」ます。学校の先生が生徒の評価や
研修などに忙殺されて、改定教育基本法の持つ意味を理解する知的好奇心さえ奪
われたりするのも「支え」ることに繋がります。親亀が転けたら子亀孫亀もない
でしょう、といいつつ、企業再生法と労働者派遣法の盛り合わせで、創造的破壊
を推し進めた次に来るのは、格差の拡大とその固定であるのは道理です。その固
定化は、新自由主義において、労働者の経済的・物理的・時間的欠乏状態を作り
出し、御用組合を後押しし、プロレタリアートを資本家の奴隷である消費者にリ
カテゴライズ(分類替え)出来ました。対抗する被支配層は、プレカリアートな
る造語でプロレタリアートに変わる階層概念を創出してはいますが、米国と訣別
したキューバーや中南米諸国を日本人は見習おうともしません。


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4、なぜ日本民衆は天皇(制)を支持しつづけることが出来るのか

 キム・チョンミさんが提示された宿題にお答えします。なお、私は現行憲法の
第1章を改定削除する方が良いという意見を持っています。

 GHQ統治下でマッカーサーが天皇の戦争責任を問わないとしたのは、占領行
政のし易さからですが、同時に、戦前の権力者達も復活しました。特高官僚が連
綿と日本の支配者層を牛耳っていられるのも、A級戦犯容疑者の岸信介がCIA
資金援助により日本国総理大臣になれたのも、占領行政の戦術的政策によるもの
でしょう。ローカルエリートは植民地統治に必要不可欠だからです。

 天皇制は無責任体制を助長できます。誰も責任をとりません。日本国の権力者
たちにしてみても、天皇(制)はとても便利です。これほど便利なものはありま
せん。ですから、日本民衆に対して、あらゆる手段を使って、天皇制を温存させ
たいと切に願っています。天皇(制)を批判することは、公の場ではなかなか難
しいのが現状です。加藤紘一議員のように焼き討ちにあったりもします。権力機
構である公安や警察も天皇制を妨害阻止する輩を過激派分子とレッテル付けしま
す。日本民衆各人には様々な意見がありますが、大勢は「長いものに巻かれない
不届き者は叩かれる」といった風潮があります。なお、加藤議員は小泉純一郎当
時首相の靖国参拝を批判した直後に実家を放火されましたが、靖国は、無責任体
制を保障する天皇制システムのひとつの装置と私は考えます。

 「天皇陛下、力及ばずご免なさい」と「一億総懺悔」させられたにも拘わらず、
いつの間にか「私たちは謝った」となり、それがまた、いつの間にか、「私たち
は騙された」となる心理の深層、その「騙された論」の根っこには、どこかしら
戦争肯定の意識があると思います。「負け戦をしやがって、、」という意識です。
その意識が自虐史観批判へとつながるのではないでしょうか。「美しい国」と自
画自賛して、性根の腐った国民が運営するこの国に、もし未来があるとするなら、
安倍首相が躍起になって否定しようとする階級史観を理解し、科学的で論理的な
思考を尊重すべきです。

 日本国憲法の前文で「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」とありま
す。ここで、信頼する相手は、他国の権力者ではありません。他国の市民なりそ
の人間性なのです。そもそも戦争とは、権力者同士が、それぞれの思わくに基づ
き行われるものです。自民党の憲法草案を通しては、この平和主義も形骸化し、
社会契約論に端を発した立憲主義さえも返上して、歴史を逆行の、全体主義に突
き進める体制となるでしょう。

 そういったことも含めて、私は、コスモポリタンになることを宣言しましたし、
在日の方とも、日常的なつながりが欲しいと感じる今日この頃です。以上、キム
さんへの答えになったか自信がありませんが、今後とも、ご指導ご鞭撻を賜りた
く、宜しくお願い申し上げます。


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5、土井敏邦さんの話を聞いて

 フォーラムの冒頭で土井さん(録音00:04:30)は「敵対するものが一見仲良く
すると平和が到来するようなイメージを日本人は好むが、それは軍事占領という
構造的な暴力を覆い隠すものであり、たいへん危険なメッセージである」と日本
人意識の隠蔽構造に警鐘をならしていただきました。問題を個人と個人との問題
にすり替えることで、事の本質を覆い隠すことが出来るのです。「暴力の連鎖」
という、これもまたあたかも、個人と個人の報復合戦にすり替える言葉で、中東
での戦争をまるで対岸の火事のごとく眺めていられる精神構造を支援します。何
度でも言いますが、「対テロ戦争」「宗派間対立」「貧困が戦争の根源」という
論調は植民地主義を遂行する為に必要なプロパガンダです。

 フォーラムの最後の方で土井さん(録音03:55:30)が、野田正彰氏へインタビ
ューを織り交ぜながら、イスラエル元兵士たちと日本軍元兵士たちの思考回路を
比較されていましたが、シオニズムの植民地主義と日本の植民地主義、どちらも
現在進行形ですが、大きな違いがあるのではないかと問題提起されています。私
も、土井さんの提起された問題に強い関心があります。松元さんが自由学校「遊」
のメーリングリストで知らせてくれた「沈黙を破って(Breaking the Silence)
〜イスラエル元兵士たちの証言〜」が今年の3月10日にBS1で放映され、録
画でき、じっくり見せていただきました。私が見たことのあるドキュメンタリー
の中でも最高ランクに値する秀作でした。旧日本軍が大陸でやってきたことと脳
裏のどこかでダブる場面もありました。

 中国の撫順(および大原)戦犯管理所から約数名を除くほとんどの日本兵士が
恩赦により無罪放免され、その後、兵士達は、中国帰還者連絡会(中帰連)を結
成して、戦争を必要とする社会システムに対し、たえず警鐘を鳴らし続けるも、
戦争の根源を指摘糾弾されることを嫌った日本の権力者は、彼らを「赤に洗脳さ
れた人たち」とレッテル付けすることによって、彼らの言説がさもまやかしであ
るかのごとくに印象づけることに成功しています。それにもめげずに中帰連の会
員(元在中国日本軍陸軍兵士達)は、高齢をおして証言し続けるのですが、彼ら
をもってさえ、もし、中国の戦犯管理所での自分の犯罪行為を自己認識する指導
機会がなければ、「自分等が戦犯で糾弾されることは不当だと考えるだろう」と
証言しています。

 自発的に自らの行いを見つめようとするイスラエル元兵士たちの、その源泉は
何処にあるのか? 兵士として侵略地で武力行使するのは、軍の規範として当然
の行動と理解するわけですが、それが客観的に見た場合、戦争犯罪であり、犯し
た犯罪を客観視し、犯罪と認め、今後どのように行動すべきかと問題提起するイ
スラエル元兵士たち、、、自己の犯罪を自己認識する機会もなかった日本の元兵
士達のなかには、自分のおかした蛮行を自慢げに、誇らしげに、時には大風呂敷
を広げてまで話す人もいます。戦争遂行者の末裔はしきりに自己弁明に走るばか
りか、逆ギレします。こういうのを、柄の抜けた肥柄杓(こえびしゃく)といい
ます。手も付けられません。何故、その後の経過がああも違うのか、データを蓄
積して、社会心理学的に分析し、考察を重ね、克服する壁はなにかを見つけ出し、
乗り越えることが、歴史に生きる我々に託された課題だと考えます。私は、やは
り、1)個の確立、2)天皇制という無責任体制、にその課題を解く鍵があると
感じています。

 航空自衛隊のC−130輸送機3機が、週に数回、クウェートとバクダッドな
どを兵站支援のためピストン輸送にいそしんでいます。国連の人道支援物資を運
んでいるとされていますが、その割合は実に1%にも満たない量です。あとの9
9%余りは、情報公開を求めても黒く塗りつぶされた書類を見せられるだけで、
武器や兵士を運んでいることは間違いありません。

 湾岸戦争当時に使用した劣化ウランの影響で、90年代半ばから、イラク南部
を中心に白血病患者が主に若年層で急増しましたが、2003年以降の軍事侵攻
では、人口密集地400万人のバクダッドに、劣化ウランの弾頭をつけたトマホ
ークが千発以上も炸裂しました。白血病患者が化学療法で治癒する可能性はある
ものの、内臓に沈着した放射性重金属であるウラニューム238が除去されるわ
けではありません。加えて、環境からたえず摂取され続けるDU238、この残
酷な現実を我々は、軍事侵略兵站支援国の側の人間として、絶えず気に留め置く
責務があるのです。

 さて、イラク国民にとって我々に何が出来るか。唯一、軍事侵略を止めさせ、
撤退させることでしかありません。しかる後に、イラク国が米国に対し、戦争犯
罪を訴追し、戦後補償を求めたいところですが、、、「対テロ戦争」という軍事
侵略する側からのプロパガンダに、見事に瞳孔が開いて集団催眠に陥った状態に
ある、奪う側の立場にある日本国民は、論理的思考を取り戻して正気に戻っても
らいたいと思います。「日本の美しい心」を取り戻すなどと情緒過多になって自
画自賛しては、とうていイラクは救われません。

 最後に、米英日の侵略国連合軍が垂れ流しているプロパガンダ、特に「対テロ
戦争」に心底、疑問を抱かない方々へ。今一度、その「テロリスト」の言い分を
聞いてみてはどうですか? どうぞご覧下さい。

題名:Communique Six "People of the world"「世界のみなさまへ」
制作:Islamic Jihad Army 20041210 4分59秒15365kB
訳と字幕:笠井一朗
説明頁と ビデオ


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 参 考 資 料
天皇裕仁19450815玉音放送 口語訳
天皇裕仁19751031日本記者クラブアメリカ訪問を終えて
笠井一朗20030930「高岩仁さんを囲む会」に出席して
石破茂20031123ANNサンデープロジェクト立派に復興したら石油は日本に優先的に下さい
笠井一朗20041005憲法は改正するのが良いでしょう
柳河瀬精20050110告発!戦後の特高官僚(日本機関誌出版センター)
民主党200508162005年民主党マニフェスト政策各論
奥野恒久20051005違憲審査制を考える
笠井一朗20060325増田康紀「軟弱者」
笠井一朗20060717挙国一致の戦時体制下にあって
笠井一朗20060821AML8845「浜林正夫19980816戦争責任と国家賠償」の紹介
笠井一朗20061010プレカリアート連帯
NHKBS1200612302006年夏 戦場からの報告
民主党20072007政策リスト
笠井一朗20070120石(ソク)先生の講義を聴いて
笠井一朗20070213政界もユーフォリア
NHKBS120070310沈黙を破って〜イスラエル元兵士たちの証言〜
松元保昭20070616第3回反植民地主義フォーラム
笠井一朗20070622AML200706-thread「私は朝鮮ではなく金正日体制を憎む」について
笠井一朗20070702AML14676Re:久間防衛大臣の原爆投下発言
水島朝穂20070702国会「議事」堂はどこへ行ったのか
中澤英雄20070708萬晩報原爆100万人米兵救済神話の起源
TheNewYorkTies20070723BombByBomb,JapanShedsMilitaryRestraints(abstract/body)
gataro20070724二大政党制は格差社会の母
大沼安史20070809巣鴨釈放:「いまや、われわれは民主主義者だ」


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0142-65-2244(TEL/FAX)
MGH00343@nifty.com
http://homepage1.nifty.com/KASAI-CHAPPUIS/
http://www.geocities.jp/IraqNewsJapan/
笠井一朗
〒052-0115 北海道有珠郡壮瞥町弁景195番地

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