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原爆投下の背後に広がる日米の深層 [ パワーポリティックス非公式情報 ]
http://plaza.rakuten.co.jp/31sakura/diary/200708070000/
1945年8月6日午前8時15分、広島に原爆が投下された。約50キログラムのウラン235を搭載した「リトル・ボーイ」と呼ばれる爆弾だ。破壊力は、いわゆる「戦術核」の数分の1にすぎないが、それでも約35万人が被爆、そのうち約14万人がその年の内に死亡、その後も放射能の影響などで多くの犠牲者を出し続けている。
原爆の投下がなくても日本が早い段階で降伏すると見通していた関係者は多く、戦争の短縮期間はせいぜい2週間程度だと推測するアメリカ軍幹部もいた。当時、日本に戦争を続ける能力はなく、原爆を投下する必然性はなかったのだ。にもかかわらず、あえて投下した理由がソ連との戦争を念頭においたものだということを関係者が証言している。
第2次世界大戦が始まる前から、アメリカの権力内部にはソ連を敵視するグループが存在していた。ラトビアのリガ、ドイツのベルリン、ポーランドのワルシャワなどのアメリカ領事館にいた外交官が中心メンバーで、フランクリン・ルーズベルト大統領とは対立する関係にあった。
労働者の権利を擁護し、ソ連を承認するルーズベルトを大統領として認めることはできなかったエリートはウォール街にもいた。1933年にファシスト体制の樹立を目指すクーデター計画が巨大財閥を中心に練られたのだが、この事実をスメドレー・バトラー退役少将がその翌年、議会で暴露している。アメリカの軍人にとって最高の名誉とされる「名誉勲章」を1914年と1915年、2度受賞した伝説的軍人で、クーデター派はこの人物を抱き込もうとしたのだが、説得に失敗したのである。なお、沖縄のキャンプ・バトラーはこの人物の名前に由来している。
ウォール街がアドルフ・ヒトラーを経済面から支援していたことも明らかになっている。クリストファー・シンプソンなどの研究者は1920年代の後半、アメリカがドイツ企業へ多額の融資をしている事実を指摘、アメリカ商務省の統計でも1929年から1940年の間に対ドイツ投資額が約49パーセントも増えたことを示している。この間、ヨーロッパ全体ではアメリカの投資額が激減している。こうしたアメリカ人にとって、この大戦は対ソ戦でもあった。
アメリカからナチ・ドイツへ資金を流す重要なパイプのひとつがW・A・ハリマン（後のブラウン・ブラザーズ・ハリマン）を中心とするグループ。その中枢メンバーのひとりがジョージ・ハーバート・ウォーカー、後の大統領ジョージ・H・W・ブッシュの祖父、現大統領ジョージ・W・ブッシュの曾祖父に当たる人物である。
戦争末期からアメリカの軍隊や情報機関の幹部はドイツ軍の幹部と接触、戦後にはバチカンの反共グループと手を組んでナチ残党をラテン・アメリカへ逃がし、後には仲間として受け入れている。戦後、アメリカの対ソ戦略はドイツ陸軍参謀本部第12課（情報部）の課長を務めていたラインハルト・ゲーレン准将（戦後、中将に昇進）に追うところが大きい。なお、この人物はドイツの情報機関BND（連邦情報局）の初代長官である。
こうした反共グループに属する大物のひとりがアレン・ダレス。外交官出身の弁護士で、秘密工作のドン的な存在だった。ダレスたちは1948年に破壊工作を目的とする秘密組織OPC（政策調整局）を創設、後にCIAの内部に潜り込んで秘密工作を担当する作戦局のコアになっている。
ベトナム戦争で数万人のベトナム人を虐殺したCIAの「フェニックス・プログラム」に参加していた人物は「イラン・コントラ事件」で登場することになる。リチャード・アーミテージもベトナムでの秘密工作に参加していた。
ニカラグアの反共ゲリラ「コントラ」をCIAが支援していた当時、ラテン・アメリカの独裁政権では「死の部隊」が暗躍、反体制派を拉致、拷問、虐殺しているが、その背後にはアメリカ政府が存在していた。中央アメリカにおけるアメリカの「汚い戦争」で、ホンジュラス駐在大使として重要な役割を果たしていたのがジョン・ネグロポンテ。この人物がイラク駐在大使に就任したときには、中央アメリカでの虐殺を連想した人が少なくない。「サルバドル・オプション」という用語も使われた。アーミテージやネグロポンテのような人物を頼りにする危険性を日本人は理解しておく必要がある。
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