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増殖 プーチン親衛隊 ロシア版『ヒトラー・ユーゲント』
夏季合宿 9000人洗脳【東京新聞】
2007年7月29日 朝刊
欧米諸国が現代のロシア版「ヒトラー・ユーゲント(青少年団)」と警戒する青年組織がある。プーチン大統領の親衛隊「ナーシ(友軍)」だ。この28日までの2週間、ロシア西部の保養地で組織強化のためのサマーキャンプが開かれた。「偉大なるロシアの復活」を掲げるナーシの野望を現地で探った。 (ロシア西部セリゲルで、稲熊均)
キャンプの一日は早朝の「ロシア国歌斉唱」と体操で始まる。全国から集まった地方幹部約九千人が機敏な動きを示す。「愛国心と団結力」を強めるのが狙いだ。
昼間の日程は政府系の学者らによる講義で費やされる。多くは「米国型国際秩序の破たん」「プーチン大統領の政治哲学」といったテーマだ。
「米国型国際秩序…」の講義をのぞくと、講師が「ブッシュ大統領ら米国の指導者は、青年期をジャズなどの娯楽に囲まれて育った。ロシアの指導者はトルストイなど偉大な文学を読んできた。どちらが良い指導者かは皆さんが知っての通りだ」などと力説した。
キャンプ内を歩くと、プーチン政権と敵対する政商ベレゾフスキー氏やカシヤノフ前首相らが売春婦の姿で描かれ、「ロシアの恥」と糾弾するポスターが目立つ。
メーン広場にはロシア正教の教会があり、期間中の土曜日には、参加者の中で結ばれた二十カップルの「合同結婚式」が行われた。
「プーチン大統領の指導で、ロシアは経済成長をなし遂げたが、残る最大の問題が少子化対策。大統領もロシア人の減少に頭を悩ませている。子どもを増やすのも、われわれ若者の重要な責務」
リーダー格のデニソフさん(20)は話す。結婚したカップルは、他のメンバーとは別の赤い特別テントが与えられ、子づくりに励む。「彼らは、三−五人の子どもをつくると誓っている」(デニソフさん)という。
ナーシが発足したのは二〇〇五年四月だ。その直前、旧ソ連のウクライナ、キルギスで、若者を原動力とする「民主革命」が相次いで起きた。波及を恐れたプーチン政権が、その原動力になった若者らを逆に取り込もうとナーシを組織した。
このため、現在の主要任務は今年末の議会選と、来年三月の大統領選に向けての「革命阻止」だ。ナーシ最高指導者のヤキメンコ氏(34)は「ウクライナなどでは、欧米に扇動された青年層が結集し政府を転覆させたが、ロシアでは欧米の干渉を許さない」と強調する。
今回のキャンプでも、野党勢力の街頭行動などを阻止するため、先回りして広場や街頭をナーシで占拠する訓練や組織論の学習が繰り返された。こうした活動を激励するため、大統領の有力な後継候補イワノフ、メドベージェフ両第一副首相ら政権実力者がキャンプ地を訪問。大統領も現地に近い自身の別荘にヤキメンコ氏らナーシ幹部を招待している。
政治的影響力を強めつつあるナーシが、来年五月に任期満了となるプーチン大統領の後継として、誰を支持するのか。ヤキメンコ氏は「大統領の政策を忠実に引き継ぐ人物」とした上で、こうも付け加える。
「二十年以内には、このキャンプ参加者の中から必ず大統領が出る」
ただ、成長するナーシの野心に対しては、政権内にも警戒感がある。
ある大統領府筋は「ナーシを利用しているのは政権内強硬派だが、危険な『道具』だ。増殖が進めば、彼らの意に沿わない欧米との協調がとりにくくなり、ロシアの孤立を深めさせかねない」と声を潜めていた。
<メモ>ナーシ プーチン大統領を支持する青年親衛隊。登録メンバーは全国で2万人程度だが、政権の財政的支援もあり、集会では数万人の動員力を誇る。外交問題でロシアと対立する国に対しては、大使館を取り巻くなどで圧力をかけるほか、反政府デモが起きると、デモを鎮圧する治安部隊に協力する。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007072902036778.html