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【ロシア政治経済ジャーナル】NO468イランは日本を反米陣営にひきずりこむ
http://www.mag2.com/m/0000012950.htm
★イランは日本を反米陣営にひきずりこむ
「このように、今年世界はイラン問題・ロシア問題を中心に回っていくでしょう。
見かけはイラク問題・北朝鮮問題ですが、実際はイランが最重要。」
【ロシア政治経済ジャーナル】NO434 2007年問題〈07年1月6日号)
全世界のRPE読者の皆さまこんにちは!
北野です。
05年初に「ボロボロになった覇権国家」(詳細は http://tinyurl.com/dypky )
を出しました。
最初は理解されず、「バカじゃないの!」という意見が多かった。
しかし2年が経ち、一般人も「あ〜アメリカはボロボロだ」ということがわか
るようになってきました。
全世界の人は今、「アメリカはイラクでボロボロ。前にも後ろにも進めない
状態だ」と考えているでしょう。
しかし、この世の裏を知っている人々には、反米多極主義陣営が、着々と
アメリカ没落オペレーションを展開しているのが見えます。
今回はイランの話。
▼アメリカの時代
20世紀は「アメリカの世紀」といわれています。
その通りでしょう。
第2次大戦で欧州は決定的に没落しました。
そして、米ソが世界を二分する冷戦時代になった。
しかし85年、ソ連にゴルバチョフが登場すると、結末が見えてきました。
ゴルビーが「ペレストロイカ」「グラスノスチ」とか偉そうなことをいっても、
皆「冷戦は西側陣営の勝利だ」とわかっていた。
89年ベルリンの壁崩壊。
90年東西ドイツ統一。
91年ソ連崩壊。
これで、アメリカの覇権が確立されました。
感慨深かったでしょうね。
天下を統一した豊臣秀吉、徳川家康の気分でしょう。
もちろんアメリカにも問題はありました。
レーガン時代に借金が膨らみ「世界最大の債務国」になった。
そして「双子の赤字」が大問題になっていました。
しかし、世界通貨(基軸通貨)ドルを持つアメリカにとって、借金は問題で
はないのです。(刷ればいい)
大前研一先生はその著書「ボーダレスワールド」の中で、ドルの特権に
ついてこう書いています。
「この種の「債務」がアメリカの害になることはない。アメリカはブラジルと
は違う。
ブラジルの場合には、国際的に通用する通貨で、対外決済を行なう必要
がある。
それができないと、どこからかドルを借りてこなければならない。
それに対してアメリカは、自国通貨のドルで決済することができる。
ブラジルにとって問題なのは、現在同国で起こっているように、自国通貨の
価値が下がれば、借りようとするドルが相対的に高くなることである。
このような「債務の悪循環」は、国際決済通貨であるドルを国内経済でも
使っているアメリカの場合には起こらない」(248p)
この当時の状況を見ると、ドルに対抗できそうな通貨は「円」と「マルク」だけ。
しかし、「円」の日本はバブル崩壊で暗黒の15年に突入していた。
「マルク」のドイツは東西が統一されたばかりで厳しい。
ドルは、まさに世界通貨だったのです。
▼アメリカの危機
90年代、世界中で通貨・金融・経済危機が起こりました。
92年欧州、95年メキシコ、97年アジア、98年ロシア。
危機の結果は、「やっぱ投資するならアメリカよね」。
そしてアメリカに資金が集中。
この国は90年代後半、空前の好景気にわきます。
ところが、世界ではアメリカの覇権を脅かす動きが着々と進行していたの
です。
世界最大の借金大国アメリカ、強さの源泉はドル基軸通貨体制。
まずこれにきずき、チャレンジしたのが欧州。
かつて世界の中心だった欧州は、45年間米ソの統治下にあった。
当然、「あの栄光をもう一度」と復権を願っている。
99年ユーロ誕生。
しかし、アメリカは当時、ITバブルの真っ最中。
「ユーロ???バカなことをはじめたな〜」
と、あまり重要視しなかったでしょう。
しかし00年9月、フセインが「イラクはドルで原油を売りません。ユーロで払
ってください!」と宣言した。
アメリカは事の深刻さを理解しました。
それで、全世界の人が「わけわかんない」というインチキな理由でイラクを
攻めます。
「米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定
【ワシントン=貞広貴志】米上院情報特別委員会は8日、イラク戦争の開戦
前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、国際テロ
組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告書を発表した。
(読売新聞) -06年 9月9日」
「報告書は「フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラーディン
と関係を築こうとした証拠はない」と断定、大量破壊兵器計画についても、
少なくとも1996年以降、存在しなかったと結論付けた。」(同上)
しかし、きっちりやることはやりました。
06年4月17日付毎日。
「イラクの旧フセイン政権は00年11月に石油取引をドルからユーロに転換
した。
国連の人道支援「石油と食料の交換」計画もユーロで実施された。
米国は03年のイラク戦争後、石油取引をドルに戻した経過がある」
フセインはこれで殺されることになるのですが、世界史的には「犬死ではな
かった」といわれるでしょう。
バレテしまったのです。
「アメリカを没落させたければ、ドル基軸通貨体制を崩壊させればいい」
そのためには、「ドル以外の通貨を使えばいい」と。
▼崩壊するドル体制
フセインが作った流れは小川でしたが、徐々に大河になっていきました。
中東産油国は、共通通貨導入を目指すようになった。
「ペルシャ湾岸6産油国通貨統合で協議 【日経ネット】
【バーレーン=加賀谷和樹】サウジアラビアなどペルシャ湾岸の6産油国で
つくる湾岸協力会議(GCC)首脳会議は19日、通貨統合に必要な各国のマ
クロ経済に関する5つの基準を採択し、閉幕した。」
(05年12月21日)
ユーロは名実共に、ドルに匹敵する基軸通貨になりつつある。
「<ユーロ>現金流通から5年 米ドルを超えた模様
06年12月30日19時46分配信 毎日新聞
【ロンドン藤好陽太郎】欧州単一通貨ユーロの市中での紙幣流通量が今月、
初めて米ドルを超えた模様だ。
ロシアや中東地域などユーロ圏外でも保有する動きが広がっているほか、
ユーロ高でドル換算した額が膨らんだ。
旧ユーゴスラビア連邦のスロベニアも来月1日から新たにユーロに加盟し、
ユーロ圏は今後も拡大が予想される。
通貨として誕生してから丸8年、現金流通開始から5年。ユーロは国際通貨
としての存在感を強めつつある。」
プーチンはなんと、ルーブルを基軸通貨にしようともくろんでいる。
「米露“破顔一笑” 「ルーブルを世界通貨に」プーチン大統領ますます強
気
6月12日8時0分配信 産経新聞
【サンクトペテルブルク=内藤泰朗】ロシアのプーチン大統領は10日、出
身地サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムで、
同国の通貨ルーブルを世界的な基軸通貨とすることなどを提唱した。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
90年代には考えられなかったことですが、ドル体制の崩壊=アメリカの没
落は不可避な流れになっているのです。
▼イランの挑戦
さて、アメリカは「核兵器を持つ」北朝鮮には優しく、「核兵器を持たない」
「開発する意志を示したこともない」イランに厳しい。
なぜか?
イランはドル体制に挑戦している。
もともと、イランは「ユーロ建て石油取引所」の開設を目指すという話だっ
た。
「<イラン>石油取引所を開設 ユーロ建てで米国に挑戦か
テヘラン春日孝之】石油大国のイランが石油取引所の国内開設を目指し
ている。
取引の通貨がユーロになるとの情報が流れ、オイルダラーに依存する米
国の「ドル支配体制」への挑戦ではないかと観測を呼んでいる。(中略)
ニューヨークとロンドンの世界の2大石油取引所はドル建てだ。
イランにユーロ建ての指標ができ、原油高でカネ余りのペルシャ湾岸産
油国や投資家が活用して「ドル離れ」が進めばドルは下落する。
関係者の間では、「オイルユーロ」への移行はドル暴落を招き、世界経済
の覇権を握る米国の地位の弱体化につながるとの指摘が出ている。」
(毎日新聞06年4月17日)
06年に延期になったのですが、「まあ、国内に取引所を開設しなくてもユ
ーロで払ってもらえば結果は同じじゃん」ということになった。
↓
「イラン、原油の輸出代金受け取りでユーロ建てを要求
06年12月22日10時39分配信 ロイター
[ロンドン 21日 ロイター] 世界第4位の産油国であるイランは、外貨準
備のドル保有比率の引き下げに伴い、原油の輸出代金受け取りに関して、
ユーロ建てでの支払いを求めている。イラン国営石油公社(NIOC)幹部
と業界関係筋が21日明らかにした。」
買い手としてはどっちでもいいですからね。
承知してしまったのです。
↓
「イラン石油収入の60%は米ドル以外の通貨で受け取り=国営石油幹部
07年3月23日7時27分配信 ロイター
[テヘラン 22日 ロイター] イラン国営石油(NIOC)幹部は22日、イラ
ンの石油収入の約60%以上が、ユーロあるいはその他米ドル以外の通
貨で受け取っていることを明らかにした。
ほぼ全ての欧州諸国および一部アジア諸国が、米ドル以外の通貨での
支払いに合意しているという。」
世界2位の石油消費大国中国も、なんとユーロで石油を買うことにした。
↓
「中国国営の珠海振戎、イランへの原油代金支払い通貨をユーロに変更
07年3月27日17時59分配信 ロイター
[北京 27日 ロイター] イランから大量の原油を購入している中国国
営企業の珠海振戎が昨年、イランに代金を支払う際に使用する通貨を、
これまでの米ドルからユーロに変更していたことが分かった。
外貨準備の多様化を目指し、米ドルの保有を減らすというイラン政府の
方針に対応した形。」
ドルは最近、円以外の通貨に対し、歴史的安値で推移しています。
ここまで読まれた皆さんは、背景が完璧に理解できたことでしょう。
▼イランは日本を反米陣営にひきずりこむ
この国は、日本にも「円で石油を買え!」と要請してきています。
「イラン、石油取引で日本のバイヤーに円での支払い求める
07年7月14日10時44分配信 ロイター
[ロンドン 13日 ロイター] イランは、核問題をめぐり西側諸国からの圧
力が高まるなか、日本の石油バイヤーに対し支払いをドルから円に変更
するよう求めた。ある顧客がロイターに対し明らかにした。」
日本の石油バイヤーは、意味がわかっているのでしょうか?
これは、「倒幕運動に協力してくれ!」といっているのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして、日本の石油会社も円で売ることに同意しました。
「新日本石油、イラン原油の代金決済を円建てに変更へ
7月18日12時2分配信 ロイター
[シンガポール 18日 ロイター] ある関係筋によると、新日本石油<500
1.T>は、イランから購入する原油の代金決済を今年9月か10月にドル建
てから円建てに変更する見通し。
イランは先週、日本の石油元売り各社に原油代金をすべて円建てで決済
するよう正式に要請したが、イラン側の要請を受け入れるのは同社が初め
て。」
意識的にか無意識か、日本は米幕府没落を加速させることになります。
まあ、アメリカも最近「反日的」ですから、これを「カード」にしてもいいかも
しれません。
例えば、
アメリカ「日本の石油会社はイランから円で石油を買っている。これはアメ
リカの国益を著しく損ねるので、やめさせてくれ」
日本「慰安婦決議案は、日本の国益を損ねるので、やめさせてください」
アメリカ「アメリカは民主主義国で三権が分立している。立法(議会)の動
きに行政(政府)は関与できない」
日本「ああそうですか。日本も民主主義国ですから民間企業がどの通貨
で取引するか干渉できません」
アメリカ「・・・・・・・・・・わかった。努力しよう。」
日本「努力するではダメです。慰安婦決議案が消滅してからまた話をしま
しょう」
アメリカ「・・・・・・・・・・」
▼アメリカの行く道
どうですか?
なぜアメリカが、核兵器のある北朝鮮ではなく、核兵器のないイランをいじ
めるのかおわかりでしょう。
実際、イランは北とは比べ物にならないほど大きな脅威なのです。
イランの動きを容認してしまえば、「あ〜ドル以外の通貨で取引してもお
とがめなしなのね」と前例を作ってしまう。
すると、ドミノ式に
・中東産油国は、湾岸共通通貨を導入する(ドルばなれ)
・ロシアは、ルーブル・ユーロで石油を売るようになる
ドルはただのローカル通貨になり、下落しつづけるでしょう。
そして、年間90兆円の経常赤字をかかえるアメリカは破産します。
もちろん、欧州もロシアも中国も、(アメリカ没落による)世界恐慌は起こ
したくありません。
ですから恐慌が起こらないように、じわじわとドルを下げていくでしょう。
いずれにしてもアメリカの没落は不可避。
アメリカが覇権を維持できる道はあるのでしょうか?
あります。
イランを攻撃して、「ドル体制に挑戦する国は許さない!」という強い決意
を示すこと。
「え?ありえない?」
じゃあこれはなんですか?
↓
「●五艦隊、イラン近海に三隻目の空母を派遣
米海軍の五艦隊司令部(バーレーン)は十日、イラン近海に向け、
新たに「エンタープライズ」打撃群を派遣したと発表しました。
エンタープライズ打撃群は、既に展開しているステニス打撃群、ニミッツ
打撃群とともに、五艦隊の作戦地域で展開します。(中略)
湾岸地域では二〇〇三年から米海軍の空母打撃群一個が展開していま
すが、今年一月に米政府は、湾岸地域に空母打撃群二個を数ヶ月展開
させる計画を立てている、と明らかにしています。
⇒予備の「エンタープライズ」打撃群が派遣されましたね。
事実上、イラン沖で三つの空母打撃群が展開することとなりました。
極めて異例の事態と言えます。」
(★北野絶対お薦めの無料メルマガ
軍事情報→ http://www.mag2.com/m/0000049253.htm )
↑
どうですこれ?
さらに、アメリカがイランで「カラー革命」を画策しているという話もあります。
↓
「<イラン>拘束の米国人「体制転覆政策に関与」と“告白”
7月21日22時36分配信 毎日新聞
【テヘラン春日孝之】イラン国営テレビは、スパイ活動などの罪でイラン当
局に拘束されている2人のイラン系米国人が、イランのイスラム体制転覆
を目指す米国の中東民主化政策に関与したと「告白」するビデオ映像を
放映した。
放映後、イラン国会・国家安保委員会のボルジェルディ委員長は「2人の
告白は、米国がイランで、旧東欧で起きた(民主化)革命を繰り返そうと
企てていることを証明するものだ」と指摘した。」
まあ、ホントかウソかわかりませんが、空母を3隻派遣している現状から
「あってもおかしくない」話ではありますね。
1、アメリカはイランを攻撃(空爆)したい(そして、ドルで石油を売らせる)
2、しかし、大義名分が見つけられない(イラク時のようなバレバレウソは
つきづらい。)
のが現状なのです。
いずれにしてもアメリカは、今「天王山の戦い」の真っ最中といえるでし
ょう。
しかし、イラクが原油の決済通貨をユーロからドルにもどしても、問題は
解決しなかったですね。
仮にイランを空爆し、イランがドルで原油を売ることに同意しても、大きな
流れは変わらないでしょう。
アメリカの行く二つの道
1、大政奉還する
この場合、ドルはゆっくりとローカル通貨化するが世界恐慌は回避される。
多極世界の到来。
2、イランを攻める
アメリカの覇権は少しのびる。
しかし、イランの後にロシア・中国がひかえている。
この2国を屈服させることのできるカードを、アメリカはもたない。
結末は見えてきました。
【ロシア政治経済ジャーナル】NO468イランは日本を反米陣営にひきずりこむ
http://www.mag2.com/m/0000012950.htm