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シモノフ政治解説員・・・セルビアの同意なしにコソヴォをもぎ取ることは、一番危険な前例である。 【ノーボスチ通信】
http://www.asyura2.com/07/war94/msg/392.html
投稿者 hou 日時 2007 年 7 月 23 日 23:55:37: HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: 国連安全保障理事会・・・ 協議は決裂。 コソボ独立にロシアが拒否 【産経新聞】 投稿者 hou 日時 2007 年 7 月 23 日 23:32:48)

http://www.rian-japan.com/news/details.php?p=546&more=1

ウラジミル・シモノフ、ロシア・ノーボスチ通信社政治解説員。

コソヴォ問題に関する西側の代表の声明は、最近、極端な、猶予のない、絶対的な緊急度を伴う殆どパニックとも言える音調で伝わって来る。

例えば、アメリカの国連大使ザルマイ・ハリルザドは、最近、NATOによるユーゴスラヴィアへの空爆の時点から計算しすでに8年になる問題を解決するための時間として2週間足らずの時間しか与えなかった。ハリルザドは、コソヴォ地方の運命は国連安保理決議の新しい案が投票に付されて、10日以内に決めるだろうとの予測を表明した。しかも、ハリルザドはこの早急のそして避けられない出来事に関しての自分の判断をロシアに向けた。彼は「ロシアがこの問題で正しい方向でステップを踏む時間が来た」と述べた。

EU指導部のメンバーであるハヴィエル・ソランのプレス報道官女史は、先にロシアに関してもっと強い命令口調で発言していた。女史は、もしロシアがコソヴォの独立に「ノー」を言えば、EUは国連安保理の決定でこの問題の決定を受け入れることになるだろうと述べていた。

この発言を聞くと、敏感な読者なら、現在までロシアはコソヴォに関して「正しくない」ステップを歩み、しばらくしたら、常任理事国が発動できる拒否権制度を持つ安保理自身はEUに最高の地位を奪われ、EUに最重要な決定を引き受ける機関にとって替わられてしまうのではとの結論付けしてしまうだろう。

すべては若干ニュアンスが異なる。ロシアは、実際、「国際監視」のもとでの独立をこのセルビア地域に与えることを目的としているマルッティ・アフティサーリ(前フィンランド大統領)のプランを基礎にしているコソヴォに関する国連安保理の先の決議を拒否した。ロシアには決議文面から拒否するための直接の理由もあったし、さらに、もっと全体的な根拠もあった。しかもロシアは拒否をしたからと言って安保理で孤立感を感じていない。ロシアの拒否及びロシアの立場は中国、インドネシア、南アフリカが共有しているからである。

かくて、ロシアにとって、例えば、アフティサーリのプランに自動的に効力を与えること、つまり、ベオグラード(セルビア)とプリシュティナ(コソヴォ)の間の交渉に要する120日に何も結果が得られなかったらコソヴォに独立をさせることを目的とした西側の決議案の条項は全く満足の行くものではない。民族自決と領土保全の多年に亘る原理の対立は、自動小銃では解決されないことをロシアの外交は数多く経験している。

さらに、ロシアの国連大使ヴィタリ−・チュルキンが安保理のメンバーに注意を呼び掛けたように、コソヴォに住むアルバニア人は、もし彼らの目前で、何もしなくとも120日後には彼らに「独立という人参」がぶら下がっているならば、真剣な交渉を行なう希望など持っていないのは当然である。

上述は重要な事であるが、部分的である。もっと重要なことは次に述べる全体的な事である。これはロシアの立場の核心に近づくものである。ロシアは基本的にはあらゆるケース、つまり、コソヴォ、セリビアの両者からの賛同を得なれなかったらどのようなケースでも拒否する。逆に、どのような解決であろうと、それが2つの対立している側が話し合いで協定を結ぶことができたなら、それを支持し正当なものであると見なす。

つまり、ロシアは、ここには、自国の国家的利害ではなく、ロシアを満足させるのは2者の相互の同意にもとづいたものであるならばあらゆる組み合わせでも受け入れると言う立場を取る。「いくら国連安保理を通じてもその他の解決はどのようなものであろうとあり得ない」と明らかに拒否権発動を念頭において、ロシア外務大臣のセルゲイ・ラヴィロフは警告した。

ロシアでは、コソヴォの独立の構想は多くの点で人為的なものであると判断している。現に、1999年のNATOによる空爆まではコソヴォ独立のことなどおくびにも出なかったことを思えばその判断は益々確信となる。その時は、自治権の色々な要素やユーゴスラヴィアの異なる連邦体制について論じられただけだ。

空爆は、コソヴォの人口動態の極端な変化を導いた。セルビアの人口の30%以上が10%以下のゲットー(少数民族居住地区)に追いやられた社会に移住した。このような条件下で、コソヴォの現在の政権の合法性は疑わしい。この政権により組織された独立を求めてのコソヴォに住むアルバニア人の間の民族的気運の勃発は多くの点でNATOの空爆により煽動されたと言える。

セルビア自身の同意なしにセルビアからコソヴォという断片をもぎ取ることは、国家の領土保全侵害の一番危険な前例を作ることになる。現在、この原理と民族自決の原理が衝突している状況は世界で200以上に上る。

何らかの民族の関係のリーダーが、前大統領エリツィンが卑しめて言ったように、「独立は飲み込んでしまうほど独立を獲得する(好きなだけ独立を許す)」希望に対し青信号を出したと解釈しても良い国連安保理決議はどれだけの不幸と流血を招くか想像することができる。西側の決議案がコソヴォの問題は「他とは違う独自性を持っているのだ」と強調しても上述の200の地方で2つの原理が衝突しているのと同じで状況に何ら変わりはない。

だからこそ、ロシアは、セルビアとコソヴォ両者に受け入れられる、もし必要なら拒否権発動というロシアにとっては好ましくない手段も含めて、(軍事的ではない)政治的解決を目指しているのだ。

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