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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=335
ヒズボラとイスラエルの34日間におよぶ戦争から1年を迎えたが、昨年夏の紛争の際に行なわれた戦争犯罪および重大な人権侵害の責任者を訴追する動きが、当事国間にも、また国際的にも全くないことを、本日、アムネスティ・インターナショナルは非難した。
「被害者への補償を含めた公正かつ徹底的な調査が国連主導で行なわれなければ、同じことが再び起こる危険性はきわめて大きい。1000人を超える民間人を無差別に殺害した人びとに責任をとらせるという政治的意思は、完全に欠如している。これは被害者に対するひどい裏切り行為であり、今後、民間人の殺戮が免責される土壌をつくるものである」と、アムネスティの中東・北アフリカ部のマルコム・スマート部長は述べた。
戦争中も戦争終結後も、アムネスティは、イスラエル軍とヒズボラ戦闘員双方による国際人道法違反(戦争犯罪を含む)を調査し、その結果を3つの報告書として昨年発表した。すべての当事者がこうした人権侵害の調査をあからさまに嫌がっている。そのためアムネスティは国連に対し、ヒズボラとイスラエル双方の国際法違反の証拠を調査し、被害者への補償を行なう権限を持つ、包括的で公平かつ独立した調査を行なうよう求めた。しかし国際社会には、このような調査機関を設置するために必要な措置をとる政治的意思がない。
国連安全保障理事会は、当事者の同意なしにこのような案件について決議を行なう権限を持った機関であるが、こうした機関には、派閥政治と選別主義が存在する。これが事実上、レバノン人やイスラエル人その他の被害者が正義を得られないまま放置される要因となっている。
これと対照的なのが、レバノンのラフィク・ハリリ元首相暗殺その他の政治的殺害の責任者を訴追する法廷の設置を安保理が決めたことである。このことは、政治的意思があれば、当事者の一部が反対していても、真実を解明する機関を設置することができることを示している。アムネスティは、この法廷の設置を歓迎するが、昨年7月から8月にかけての戦争を含め、レバノンで起きた過去の戦争犯罪や人権侵害に対処するための包括的な戦略が緊急に必要だということも引き続き強く主張する。
イスラエルでは、イスラエル軍の行なったことに対する調査は軍の戦略の分野に限定されていて、イスラエル軍による国際人道法違反(戦争犯罪を含む)の調査およびその責任者の訴追の試みはない。レバノンでは、公式な調査は一切行なわれていない。国連人権理事会が任命した調査委員会が入手できたのは、イスラエル軍による人権侵害の証拠のみという偏ったものだった。
イスラエルとレバノンをはじめ関係諸国は、戦争犯罪の被疑者を捜査し訴追すべきである。
2006年8月11日に国連の仲介で停戦が実現し紛争は終結したが、その影響は今も市民たちに重くのしかかっている。
イスラエル軍が使用したクラスター爆弾で、レバノン南部の多くの人びとが殺されたり、負傷したりした。クラスター爆弾がもっとも多く使用されたのは、停戦の合意から発効までの、紛争最後の72時間だった。国連地雷除去調整センター(UN-MACC)は、不発だがまだ殺傷力のあるクラスター爆弾やその他の弾薬の残りが散在する地域として922カ所を特定し、すべてを除去するのに1年以上かかると推定している。UN-MACCによれば、停戦から今年の6月20日までに、レバノン南部の不発クラスター爆弾で32人が死亡、210人が負傷したという。死亡した32人のうち24人は一般市民で、8人は地雷除去作業員だった。
「アムネスティはイスラエルに対し、クラスター爆弾を落とした地域を詳しく示す地図を提出するよう、再度要求する。地図は、爆弾撤去のため、およびさらなる犠牲者を出さないために必要不可欠である」とマルコム・スマートは述べた。
またアムネスティはイスラエル政府に対し、クラスター兵器を全面的に使用停止し、イスラエル軍が過去数年間にレバノン南部に埋めた地雷の場所を示す地図を渡すことも求める。
「イスラエルとヒズボラが武器による重大な国際人道法違反を引き起こさないと保証する効果的な仕組みができるまで、安保理は両者に対する武器の禁輸を宣言し実施すべきである」とマルコム・スマートは言った。
アムネスティはヒズボラに対し、2006年7月12日に拘束したイスラエル兵士2人に関する情報を提供し、2人が赤十字国際委員会に今すぐ接触できるよう引き続き要求する。
AI Index: MDE 02/001/2007
2007年7月12日