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タイ南部テロ激化 政治混乱で鎮圧進まず【東京新聞】
2007年7月9日 朝刊
【バンコク=平田浩二】タイ南部で分離独立を目指すイスラム過激派のテロが激化している。二〇〇四年一月以降の犠牲者は二千三百人超。最近は標的も無差別化し、殺害後に首を切り落とすなど手口は残虐さを増している。暫定政権は対話による解決を模索しているが、昨年九月のクーデター後は政治混乱に伴う警戒を余儀なくされ、南部の治安回復に有効な手だてを打てない状況だ。
治安当局は六月中旬から、ヤラ、パタニ、ナラティワット三県内の特に武装勢力が拠点としている地域で「征服作戦」を開始。これまでに二百五十人以上を拘束、大量の武器や弾薬を押収した。
しかし、テロの標的は以前の仏教徒や役人、兵士から変化し、今年に入り学校放火やスクールバスへの銃撃が頻発。この半年間で三県の九十五校が放火され、教師六十一人が射殺された。
今月四日朝にもヤラ県ヤハー地区で、出勤途中の教師が道路脇の林の中から襲撃された。警護の兵士と十人前後の武装勢力との間で十分以上にわたる激しい銃撃戦となり、兵士一人が死亡。武装勢力側も数人が負傷したが、ジャングルに逃げ込んだ。
五日には列車転覆を狙い同県内の国鉄線路のボルトが五十本以上外されているのが見つかるなど、連日、各地で銃撃や爆弾攻撃、破壊活動が続いている。
テロ攻撃は「RKK」(小さな活動集団)と呼ばれる組織によって行われているとされるが、指揮系統や背後関係などは解明できていない。
昨年のクーデター後に就任したスラユット暫定首相は、南部問題の解決を第一の公約に掲げた。タクシン前首相の強硬姿勢を転換、中東などからイスラム団体の指導者らを招くなどして過激派との対話の糸口を探っている。しかし、南部地区の軍幹部は「黒幕が分かっていないのにどうやって話し合うのか」と政府の柔軟路線に不信感をにじませる。現地の男性教師も「タクシン政権のように強硬手段で取り締まらなければ安心して暮らせない」と話した。
ナラティワット県のアタポン知事は「過激派は“ムジャヒディン”(イスラム戦士)ではない。子供や女性も平気で殺すテロリストだ」と非難しつつ、「タクシン支持勢力へ対応するため、バンコクを中心に国内全土に部隊を分散配置しておかねばならず、南部に集中投入できなくなっている」と事情を説明した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007070902030796.html