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http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-July/014279.html
一朗20070706佐藤真紀さんのインタビュー番組「イラクのこどもたちは今」を聞いて
http://homepage1.nifty.com/KASAI-CHAPPUIS/mp3/JOIK-FM200707050405SATOMaki.mp3
http://homepage1.nifty.com/KASAI-CHAPPUIS/mp3/JOIK-FM200707060405SATOMaki.mp3
「劣化ウランは安全だ(あるいは、使っていない)」と言い続けてきた自民党政権と政府機関だが、その言質(ゲンチ:のちの証拠となる言葉)を無視するかのように、躊躇することなく、佐藤さんは劣化ウラン(DU)が小児ガンなどに直接影響があることをサラッと言ってくれた。有り難い。
彼は、一九六一年生まれ。早稲田大学理工学部応用物理学科を卒業して大手タイヤメーカーの研究者として勤務。その後、青年海外協力隊を皮切りに、JVCなどで中東の各地で平和教育、開発教育分野で活躍、イラクの白血病を支援するJIM―NET事務局長として現在に至る。科学技術の研究者としての彼の視点は、陳腐な政治家に見られるような詭弁を弄することもない、科学する目をもって事象を観察する。
「米国や英国など戦闘行為実行国では、自国民を説得するために戦争の大儀をきちんと説明する必要があるようだが、日本など戦闘行為支援国では、そういった大儀はさほど必要ではないのだろう、国益に適うということを自国民に示すことが出来ればそれでいいような風だ」とする彼の観察は興味深かった。コスタリカのように違憲訴訟を起こされ軍を撤退した国もあったし、スペインのように左派が政権奪取を果たした国もあったことはあったのだが、、、
パレスチナの子供に平和をどう考えるかと尋ねたところ、「ユダヤ人と仲良くするのが平和だとは考えない。家族が健康で、今迄住んでいたところに安心して住み続けること、それが平和だ」と答えたそうだ。それはちょうど「敵対するものが一見仲良くすると平和が到来するようなイメージを日本人は好むが、それは軍事占領という構造的な暴力を覆い隠すものであり、たいへん危険なメッセージである」と日本人意識の隠蔽構造に警鐘をならした土井敏邦氏(ジャーナリスト)の言葉を想起させる。
番組の最後の方で「早く『暴力の連鎖』が終わって欲しい」といった趣旨に流れていったが、実は、私はこの言説が好きではない。軍事超大国でテロ国家である米国を兵站支援する日本国、その国民にとって「暴力の連鎖」という言葉は、中東での戦争をまるで対岸の火事のごとく眺めていられる精神構造を支援するからだ。
「対テロ戦争」「宗派間対立」「貧困が戦争の根源」という論調が番組を通じて話の折々に混ぜられていたが、これでは植民地主義を遂行する立場からの目線でしかなく、軍事侵略に続く占領行政の中での支援活動を超えるものではない、と強く感じる。
佐藤氏は、米軍のイラクに対する軍事侵略の目的が、イラクの地下資源や軍産複合体の売り上げに貢献する、といった理解までは良かったが、対テロ戦争という植民地主義を遂行する資本主義陣営の側のプロパガンダにスッポリ納まっている。つまり、戦争というイベントを必要とするシステムに抗うことを辞めた姿勢であろう。
白血病患者が化学療法で治癒する可能性はあるものの、内臓に沈着した放射性重金属であるウラニューム238が除去されるわけでもない、その後も環境からたえず摂取され続けるDU238、この残酷な現実を我々は、軍事侵略兵站支援国の側の人間として、絶えず気に留め置く責務がある。
さて、イラク国民にとって我々に何が出来るか。唯一、軍事侵略を止めさせ、撤退させることでしかない。しかる後に、イラク国が米国に対し、戦争犯罪を訴追し、戦後補償を求めたいところだが、、、「対テロ戦争」という軍事侵略する側からのプロパガンダに、見事に瞳孔が開いて集団催眠に陥った状態にある、奪う側の立場にある日本国民は、論理的思考を取り戻して正気に戻ってもらいたい。「日本の美しい心」を取り戻すなどと情緒過多になって自画自賛しては、とうていイラクは救われない。(一朗20070706)