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今や外貨準備高で日本を超えた中国によるドル国債保有の現実を背景に、中国によるドル国債売却の恐怖に駆られながら、米国は中国との対立を表面的に装いながらも、内心は、中国との協調が進展しているのではないかと懐疑的にならざるを得ない。今や米国は、中国に頭を押さえ付けられてしまったのだ。このような状態を招いた原因は、恐らく、ユーロ通貨登場に対する警戒感が欠如していたものであり、また、軍事占領する日本に対すると同様に、安易に中国のドル国債購入を放置していたものであろう。
さて、日米関係は戦後最大の良い状況であると随所で吹聴されるものだが、北朝鮮の危機に便乗して、日本を煽てて兵器を購入させる思惑も感じないわけではない。他方で、米中和解を示唆する事態は、今やユーロ台頭と共に、米国の膨大な財政・貿易の両赤字による経済衰退を反映して、随所で垣間見れる状況だ。こんな状況下では、既に、対中国関係はおろか、対北朝鮮関係でも、北東アジア地域では日米安保条約の発動は有り得ないものと思われ、それどころか、日米安保条約は、2+2以後、中近東など世界的規模で発動されていく傾向にあり、他方で、近未来においては、米中による日本分割の統治支配が画策されていくようにも懸念するものだ。
これは正に妄想・悪夢であって欲しいと願いたいが、そうも言ってはおれない兆候が見え隠れする昨今である。そうした中で、対北朝鮮問題などでも露見したが、最近の米国の動向に対し猜疑心を抱かせるに充分な事実が発生した。これを伝える報道に接してみると、決して当方の思い過ごしや妄想・悪夢でもない、実に近未来の現実になる可能性を感じざるを得ない。
浅尾慶一郎議員のサイトによると、去る6月19日、参議院外交防衛委員会で、民主党の浅尾慶一郎議員が、5月12日のVOAで、キーティング提督は中国海軍のトップと5月11日会談の中で、航空母艦を持つことの技術的な難しさを強調したが、翌日の会見で中国が望むなら建造を支援すると発言した件について質問した。
ところが、日本の外相も防衛相も官房長官も、このキーティング発言について、「全く知らなかった」と述べたようだ。これは、日本の政府閣僚が、全くの情報隔離、情報音痴になっているとしか思えないのは、故意か過失かは兎も角、大変な失態だ。非常に由々しき危機管理の無さを全世界に暴露したことを意味するものだ。ある意味では、米国の背信行為を窺わせる兆候が表面化したとも言えるものだ。それとも、単に米国の対中貿易赤字を解消するためのビジネス上の軽率な発言なのか。しかしこれは米軍幹部の発言なのである。
米国は、これまで日本に対しては、日本独自の空母や戦略ミサイル、核兵器、偵察衛星の製造、保有は認めてこなかったのではないのか(もっとも、偵察衛星は緩和されたようだが)。それなのに、中国の空母保有に協力するとは、一体何の魂胆あっての発言なのか。今や中国の空母が何をターゲットにしているのか明らかであろう。台湾のみならず、日本本土や日本のシーレーンに与える脅威を考えることを十分承知した上での発言なのか。全く、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」をもじって言えば、「米国の本心見たり破れ核傘」が真実ではないのか。
現在の米中関係は過去の教訓に学べば、実に独ソの関係にも似たものであろうか。表面的には相対立する国家観や国家体制であるが、利害得失が合致すれば何時でも手を握る事態も考えられなくもないと言うことだ。ポーランドが独ソ不可侵条約の下に分割支配された経緯があったが、今や日本も、強大国に変貌しつつある中国と米国との狭間にあって、米中による分割統治される可能性も無きにしもあらずである。実にポーランドのような運命に至らないと言う保証はない。
日本は決して疑うことのない善良、信義に満ちた国民性であり、実に、お人好しで馬鹿正直な国民性であるが、ある意味では、未来思考に乏しく、固定的に考えやすい欠陥性を有し、まさかの仮定を想定した戦略的思考もない国民性である。特に、自主防衛意志を放棄した戦後以来、国家の安全保障を周辺諸国の信頼に委ねた憲法の下に、危機管理意識もなく国家戦略をも放棄した他力本願の状態が継続している有様だ。
日本が国家戦略的発想に弱いのは何も今に始まったことではない。かつてドイツ側から提案があった第二次世界大戦時の日独防共協定にしても、日本は遠く離れたドイツと連携するメリットが当初は理解出来なかったようだ。しかし、旧ソ連邦にとっては、東西をドイツと日本によって挟まれた地政学的立場を考えると、両者に連携されたら、二正面作戦を余儀なくされるので困るのである。そこから、ドイツは旧ソ連邦の心理を読み取って日独協定を提案してきたものだが、日本側はドイツと連携して旧ソ連に対峙することや、独ソ不可侵条約や日ソ中立条約の破られる危険性など、最後まで理解することが出来なかったようだ。
現代でも、日本は北朝鮮問題のみ関心を集めているが、これは中国から見れば、東西の地政学的見地に立てば、中東地域、特にイラン問題と密接に絡んでくるのである。ところが、日本では、自国の立場でのみ、北朝鮮とイラン問題を別々にに考える傾向が強く、中国の立場で考える戦略的発想に欠如している嫌いがあるというものだ。北朝鮮問題とイラン問題とは、不安定な弧とはいうものの、密接不可分の連動して考えるべきものだ。
ところで、米中による日本分割支配とは言っても、かつて1980年代、旧ソ連邦と米国の間にも、表面的な対立の背後には、米ソによる日本解体の画策があったようだ。しかし、これは米ソによる共謀・策謀よりも、相互の利害衝突からの反目・対立が勝って、結局、日本解体よりも旧ソ連の自滅、自壊により破綻終結していったと認識している。
これからすると、同様に、仮に米中が結託して日本解体支配を策謀したとしても、米中の利害が、偽物製品氾濫や人権問題などで対立し反目が勝っていけば、何れかが破綻して終焉を迎えるのではないかと密かに期待するものだ。恐らく、日本を守護する宙天よりの神仏の守護があるとなれば、旧ソ連邦崩壊に伴う危機の終了と同様な事態に至ることを祈念するばかりだ。