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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=320
「娘のデララは、無実の罪を着せられました...正しい裁きが下る日まで、私たちを助けてください。ここには、ヒューマニズムも正義もありません」。2007年1月11日、死刑囚デララ・ダラビの父親は語った。
アムネスティ・インターナショナルはイラン政府と司法当局に対し、これ以上未成年時犯罪者を処刑しないために執行停止命令を出すよう、また、未成年の犯罪者が死刑判決を受けないように法律を改正するよう求める。アムネスティの新しい報告書によれば、未成年時の犯罪で死刑判決を受けている人が、イランには少なくとも71人いる。イランは、1990年以降、世界で最も多くの未成年時犯罪者を処刑してきた国である。
「18歳未満の時の犯罪、つまり未成年時の犯罪によって死刑判決を言い渡される国は、事実上、世界じゅうでイランだけです。このような恥ずべき行為は終止符を打ち、罪を犯した子どもを処刑することは誤りであると考えている国際社会と歩調を合わせる時が来ているのです」と、アムネスティ中東・北アフリカ部長のマルコム・スマートは述べた。
新しい報告書『イラン:子どもたちを処刑する最後の国』で、アムネスティは、未成年時の犯罪で死刑判決を受けていることが判明している71人の名前を列挙しているが、報告されていない死刑のケースが多いと考えられるため、実際の数字ははるかに多い可能性があると記している。1990年以降に処刑された24人の未成年時犯罪者のうち11人は、執行の時にもまだ18歳になっていなかった。残りの人びとは、死刑判決を受けてから執行までの間に18歳になったか、あるいは裁判で死刑判決を受けた時にはすでに18歳になっていた。
「イラン当局は、未成年時犯罪者を処刑していないと言っていますが、今年に入ってこれまでに、すでに2件を記録しています。1人は、19歳のモハマド・ムサビで、16歳の時の犯罪によって4月に処刑されました。もう1人はサイド・カンバル・ザヒで、5月27日にザヘダン刑務所で絞首刑になりました。処刑の2カ月前に、6人のバルチ族の人びととともに死刑判決を言い渡された時、彼はまだ17歳でした」とマルコム・スマートは言った。
新しい報告書でとりあげている7つのケースの中に、アテフェ・ラジャビ・サハーレのケースがある。彼女は、「純潔を汚す罪」で死刑判決を受け、2004年8月に16歳で絞首刑となった。処刑の翌日、裁判所職員は、ラジャビは22歳だったと新聞に語った。このケースによって、イランの司法制度が子どもを保護していないことがわかる。またこのケースは、死刑の執行さえも18歳になる前に行なわれる場合があることを示す証拠である。報告書には、18歳未満の時の犯罪で処刑されたケースがさらに17件紹介されている。
未成年時犯罪者の処刑は、イランでの処刑全体からみればわずかだが、このことは、未成年時犯罪者の処刑を全面的に禁止している国際法にもとづいたイランの約束と義務を政府がないがしろにしていることを示している。2003年以降、イラン以外で未成年時犯罪者を処刑したことが記録されている国は、中国、スーダン、パキスタンだけである。ただし、中国とパキスタンは、未成年時犯罪者は処刑していないと主張している。イランの未成年時犯罪者の執行数は、毎年、他のすべての国の合計よりも多い。
政府や司法当局の中には、未成年時犯罪者に対する死刑を廃止しないまでも、減らすことに賛成の人びともいるようだが、進展はあまりにも遅い。たとえば、2001年に提出された法案は、未成年者に対する死刑の廃止への道を開くか、あるいは少なくとも未成年時犯罪者の死刑相当犯罪の数を減らすことになると思われるが、この法案は今もまだ、政府と司法当局で審議中である。
未成年時犯罪者が処刑され、イランの死刑制度全体に問題がある中で、よい兆候もある。とくに、未成年時犯罪者に対する死刑を廃止しようという動きが高まっている。この動きの先頭にいるのは、勇気ある人権擁護活動家たちで、すでにいくつかのすばらしい成果をあげた。
「アムネスティは、年齢や罪状、被告人の性格などにかかわらず、すべての人に対する死刑に無条件に反対しています。すべての死刑は、人間の尊厳に対する冒とくであり、人権侵害です。世界人権宣言に謳われている生命権を否定する計画的残虐行為です」とマルコム・スマートは語った。
AI Index: MDE 13/078/2007
2007年6月27日