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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu146.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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日高 義樹 著 『アメリカの新国家戦略が日本を襲う』 日米安保条約は
日本をアメリカが占領を続けるためのもので、他のことは二義的である。
2007年6月19日 火曜日
◆アメリカの新国家戦略が日本を襲う 日高 義樹 (著)
http://www.bk1.co.jp/product/2798343
◆日米安保条約がなくなると何が変わる
アメリカは実質的にアメリカ軍を日本列島から撤退させているが、日本にある米軍基地の土地や施設を返すつもりは全くない。横田基地のように一部共同利用になる基地もあるが、私がハドソン研究所で調査した限りでは、使わなくなった横田基地を進んで返そうという気持ちはアメリカ側には全くなかった。
アメリカの当局者たちがそういった頑固な態度をとり続けているのは、アメリカ軍が一。九四五年八月十五日の終戦以来、日本を防衛するために駐留するという建前のもと、実質的には占領を続けてきた結果である。
日米安保条約は日本の人々の常識とは全く異なり、日本独立のあともアメリカ軍が占領を続けるための条約だった。こう決めつけると異論のある人もいるだろうが、国際的な常識から見ても、軍事力を放棄した国家は独立した国家とはいえない。
アメリカは戦争に勝ったあと、一九五一年九月サンフランシスコで講和条約が結ばれるまで日本を占領したが、日本が独立する前に憲法を作って日本に受け入れさせた。その憲法は安保条約を前提としたもので、日本に自らの軍事力を放棄させるものだった。
この日米安保条約を日本の多くの人々は歓迎した。過酷な戦争を体験した日本の人々には、軍隊を持たない「平和憲法」を持てば、二度と戦争をしなくてすむという思いが強かったのである。したがってアメリカが無理やり日本を占領しつづけたというにはあたらないかもしれない。
だが当時の事情を関係者に詳しく聞くと、全く違った構図が浮かび上がってくる。アメリカは憲法を改正するためには国会議員の定員の三分の二が賛成しなければならないという、きわめて厳しい条文を憲法に入れるとともに、物理的にも日本政府と国会を監視し、憲法を変えさせないように努力したのである。
「日本が独立したあとも国会に係官を置いて、国会が憲法を改正しないかどうか監視を続けた」
元アメリカ占領軍の将校が私のテレビ番組の中でこう述べたが、アメリカが最も力を入れたのは、与党である自民党や第一野党の社会党が憲法を改正したり日米安保条約に反対したりしないように日本の政治を誘導することだった。そのためにさまざまな対策をとったと担当者は述べている。
アメリカの占領後政策の基本は、日米安保条約を背景にアメリカ軍が日本に駐留しつづけること、平和憲法によって日本人が軍事力を拡大しないようにすることだった。
一九五一年に成立した日米安保条約には二度大きな変革が加えられている。最初は一九六〇年に岸首相(当時)が行った。これによって無期限に続くと考えられた日米安保条約は、日本側が破棄すると決めれば破棄できるようになった。
しかしアメリカ側は、破棄を申し出るような政権が日本にできるのを阻止するために、あらゆる影響力を行使した。その結果日本の政党、とくに自民党は、アメリカの指導と協力をうけて日米安保条約を維持するための一大勢力になったのである。
つまり日本は自ら望んで被占領状態を続け、アメリカは軍事力で日本の安全を守るという形ができあがった。だがこれも国際祉会の常識と歴史から考えれば、全く別の解釈が成り立つ。
日米安全保障条約によづて日本はアメリカによって安全を保障されている。これは事実である。だがアメリカが日本の安全を守るのは、日本のためというわけではなく、アメリカが占領している地域の安定を確保するためである。
「日本を守るためではなく、アメリカの占領地域を守るため」アメリカの議会の証言を見ると、こういった言葉も出たことが分かるが、「アメリカがタダで日本を守っている」というのは間違っていることが、ここではっきりしている。アメリカは自らの占領地域を自らの力で守っているのである。
日米安保条約を詳しく見れば明らかであるが、条約は日本がアメリカ軍の駐留を認めることを明記しているものの、どのような形でアメリカ軍が日本の安全を守るかは一切決めていない。このこと一つ取り上げてみても、日米安保条約はアメリカが占領を続けるためのもので、他のことは二義的であるのが明らかである。
二つ目の変革はクリントン政権下で行われ、有事の際にアメリカ軍が日本の国土を自由に使ってもよいと決めた。日米安保条約の基本的な取り決めは基地提供に限られていたが、それを道路や港、空港などの利用にも押し広げ、占領軍としての行動を一挙に拡大したのである。もちろん、この話し合いの過程でアメリカは、日本が外国から攻められた場合に拘束されずに軍事行動を行うためであると発表した。
今のところ日本国民の大多数は日米安保条約が日本を守るためのものだと信じている。日本人は国際紛争で血を流さなくてよいという特別な地位を与えられたとして、日米安全保障条約を尊重している。
だが現実には、日米安保条約は第二次大戦によって敗れた日本の占領状態を、講和成立後の独立した状況のもとで固定させる条約だった。このため日本がアメリカに従属するという関係が半世紀以上にわたって継続することになった。
日米安保条約によってアメリカ軍の兵士やその家族は日本に自由に出入りできるだけでなく、さまざまな特権を手にしている。安保条約に付随した「思いやり予算」によって、日本人よりも快適な住宅を与えられているのである。
こういった状況に対して日本国内では、社会党や共産党を中心に左翼の人々が反対運動を続け、急進的な学者や政治家たちも「日米安保条約は占領と同じだ」と言い続けてきた。これに対して日本政府をはじめ保守系の人々は、アメリカが日米安保条約によって日本を守っている以上、日本側が何らかの負担をするのは当然であるとして、アメリカ軍が占領軍と同じ地位を維持することに全く苦情をはさまなかった。
ここに日米安保条約と在日米軍の特殊な位置が象徴されている。アメリカ軍は日本が独立して以来、保守勢力である自民党を柱として日本に共産主義政権ができることを防いできた。そうしたアメリカ軍と自民党及び日本の保守政権のつながりは、ソビエトや中国から見れば敵である。したがって彼らが日本国内で支持してきたのは革新勢力である共産党や社会党だった。
この問題が日本の国際的立場を複雑にし、独立後の日本のありかたというものを不透明にしてきた。つまり日本国内にはアメリカと西側に協力する保守勢力があり、いっぽうで、共産主義勢カにくみする革新勢力があった。
この国内の革新勢力と日本の外にある共産主義のソビエトや中国が、日米安全保障体制と条約に反対する勢力として存在しつづけてきた。こうした状況はまさに冷戦という時代の象徴だった。
だが日本国民の多数は自民党と保守勢力を支持し、日米安保条約によってソビエトや中国の侵略から保護されていると考えてきた。これは紛れもない事実で、この体制が日本に経済的な繁栄をもたらしたことも疑いがない。
日米安保条約は日本経済を育て、共産主義国家の侵略から日本を守ってきた。自分の国とその利益を守るために血を流す必要のない状況を、日本人に与えてきた。こうした状況が日本にとってきわめて有利で、ありがたいことであったのは事実である。
いまや冷戦の時代が終わり、日本が共産主義国家から侵略を受ける懸念はなくなった。この新しい状況のもとでアメリカ軍は日本列島から引き揚げ、ブッシュ政権はその軍事力をイラクに投入している。ところがアメリカ軍が引き揚げたあとも、在日米軍基地をそのまま維持しようとしている。
いま在日米軍と在日米軍基地をめぐって起きている事態は、国際的な常識のうえからも、歴史的な観点からも、新しい日米関係の始まりを象徴している。その処理の仕方をめぐって日米対立の原因にもなりかねないものである。
これまで日本に恩恵を与えてきたアメリカ軍といえども、国際情勢が変わり、アメリカの世界戦略が変わればアメリカ本土へ引き揚げる。そうであるならば、基地を日本に返せという動きが出てくるのが当然である。ところがそうした動きが起きている様子はない。 (P57〜P63)
◆【著者が語る】アメリカの新国家戦略が日本を襲う FujiSankei Business i. 2007/6/16
http://www.business-i.jp/news/book-page/debut/200706160001o.nwc
アメリカは世界の変化のど真ん中にいる。アメリカ自体も変化している。日米安全保障条約は当初こそ冷戦下にあって共産主義の脅威から日本を守ることが目的だったが、冷戦が終結し、太平洋・極東地域の安全のためには日本の基地が必要だとするスタンスに変わった。今はさらに自衛隊のイラク派遣のような形では物足りない、アメリカ人とともに日本人も血を流せと言っている。
アメリカは日本が何をしてくれるのか−ということを求めているのだ。自国の利益になる相手、役に立つ相手と話したいと考えている。それこそ中国と話したほうが明日の世界が見えてくると考えている。
日本はアメリカの思いに応えているだろうか。
小池百合子安全保障担当補佐官はワシントンで相手にされなかった。安倍首相の訪米も国賓待遇ではなく、会談はワシントンを離れキャンプデービッドで行われた。
その意味するところを掘り下げて報道する必要がある。安倍首相はアメリカの友人であった祖父のセピア色の写真を持ち出して日米関係の緊密さを強調したようだが、これは引退した議員の茶飲み話にふさわしい話であって、ブッシュ大統領の本心は「それが何か?」というところだったろう。日米間は直行便でわずか13時間。この近さと、アメリカは味方だという甘えから外務省も防衛省もアメリカ研究を怠っている。
ジャーナリズムはこれからの世界で何が起き、どうなるのかを世間に知らせるのが重要な任務のはずだが、ホワイトハウスで日本人記者をほとんど見かけない。アメリカ政府の真意や日米安保条約の今後を深く分析した記事もあまりお目にかからない。
米軍に基地を提供しているのだからアメリカは日本を守ってくれるという日本人の「おんぶに抱っこ」の考え方は世界で通らない。少なくとも日米安保条約はもう役立たずで、集団的自衛権をうんぬんする時代ではないことを知ってほしいというのが、本書に込めた私のメッセージの一つなのである。
▲日高義樹プロフィール(ハドソン研究所首席研究員)
http://www.power-lecture.com/series/series_hidaka.html
1935年生まれ。
東京大学英文科卒、59年NHK入社、外信部を経てニューヨーク支局長、
ワシントン支局長、アメリカ総局長を歴任。
NHK審議委員を最後に退職。
ハーバード大学客員教授の後、現在は同大学タウブマン・センター諮問委員。
またハドソン研究所首席研究員としてホワイトハウス及び米海軍のためのアジア・西太平洋における日米関係の将来性に関する調査・研究の責任者。
米商工会議所会長顧問。
(私のコメント)
日高義樹氏のプロフィールを見ていただければ分かるとおり、アメリカのシンクタンクやハーバード大学やアメリカ商工会議所の顧問を務めるなど、アメリカの国家戦略がどのようなものであるかを知るには最も中枢にいる人物である。
だから日高氏が書いた本書のシリーズはその意味では重要なのですが、分析が正しいかどうかは疑問が残るのですが、アメリカの要人たちがどのようなことを言っているかを知る為には参考になる。
日米関係は両国にとって非常に重要な同盟国であるにもかかわらず、日高氏が指摘しているようにワシントンにいる日本人記者はほとんど見かけないそうだ。大手のテレビや新聞以外のマスコミには、ワシントンに特派員を送れるような余裕はないのだろう。
アメリカにしても事情は同じで東京に特派員を駐在させているのはニューヨークタイムスのオオニシ記者など少なく、多くがアジア方面の支局を北京に移してしまった。それだけアメリカにとっても日本は関心の薄い地域になってしまったのだろう。
日米安保条約の空洞化はソビエトの崩壊から始まったことですが、フィリピン政府などはスービック海軍基地とクラーク空軍基地という二大米軍基地を返還させてしまった。フィリピンは100年に及ぶアメリカの植民地であったのだから、まさに画期的なことなのですが、フィリピンは貧しい国であり国防力は非常に貧弱だ。
それに比べると日本は経済大国であるにもかかわらず国防力は貧弱であり、いびつな自衛隊を持っている。フィリピンに比べれば日本は国防力を強化しようと思えばロシアや中国にも脅威を与えるほどの国防力を身につけることが出来る。にもかかわらず日本は平和憲法と日米安保に胡坐をかいている。
「株式日記」では日本に点在する八十前後の米軍基地は日本を守る為ではなく、日本を占領し続ける為にあると過激な事を書いて来ましたが、日高義樹氏までが日本はアメリカの植民地である事を指摘するようになった。国防力の貧弱なフィリピンがアメリカから完全な独立を勝ち得ているのに日本が米軍に占領され続けているのは、その事実に気がつかない日本人がバカだからだ。
アメリカがフィリピンを放棄して日本を占領し続けているのは日本に金があるからだ。アメリカがイラクに15万もの米軍を駐留させているのもイラクが大産油国であるからだ。もしイラクがただの砂漠だけの国家ならアメリカは手を出さなかっただろう。北朝鮮に手を出さないのも同じ理由からであり、アメリカは豊かな国に寄生して養分を吸い取って行く。
日本国民はアメリカの洗脳工作によるテレビなどの洗脳機械によってロボトミー化されてしまって思考能力が消えてしまった。ところがネットの普及によって洗脳から解かれる日本人が多くなった。「株式日記」も洗脳を解くために書いているのですが、日高義樹氏も日米安保が日本を占領続けるためにあると言いはじめた理由は意味深だ。
独立国であるにもかかわらず日本国内に外国の軍事基地が百近くもあるというのは明らかに異常なのですが、日本人はそのことについて何の疑問も思わなかった。左翼のデモ隊は米軍基地を撤去せよと言ってきましたが、平和憲法を守れなどと言って来たから国民の支持を集められなかった。米軍基地を撤去すれば自主防衛を迫られるからだ。
「株式日記」では自主防衛と核武装を主張してきたのですが、非現実的だと言われてきた。アメリカがそれを許さないと言われてきたからですが、アメリカ政府要人との多くのコネクションを持つ日高氏が「米軍は日本を占領し続ける為にある」とはっきり言いはじめたのは、アメリカの国力の衰退で海外の軍事基地を閉鎖せざるを得なくなってきたからだ。
アメリカの経済状況については「株式日記」でも何度も書いている事ですが、経済が衰退すればアメリカの強大な軍事力を維持し続ける事は不可能である事はアメリカ自身が一番よく知っている。だからアジアからも軍事基地を徐々に撤退させていって米軍は本土に帰る事になるだろう。その空白をどこが埋めるのか? 日本しかない。
その段取りを日米でよく検討しなければならないのですが、日本政府にはそのような国家戦略を考える人材がいない。だから日本政府がアメリカに対して戦略を言おうにも戦略がないから言えない。アメリカにおんぶに抱っこしていればいいといった無責任な主張がまかり通っている。政治家にとってはその方がいいからだろう。
安倍内閣は憲法改正に取り組むと言っているが、自民党は1955年からそれを言い続けて未だに実現をしていない。日本がアメリカの植民地であってくれたほうが政治家として気楽なのでしょう。左翼も反米を言いながら平和憲法を守れと言っているのだからアメリカの手先のようなものです。
80年代までの冷戦時代ならばアメリカが手を引けばソ連が出てきて日本が共産化する可能性がありましたが、ソ連の崩壊によってその可能性はなくなった。中国も勢力を広げるにはまだ間があるだろう。しかし中国は毎年二桁の軍事増強を図って実質十五兆円の軍事予算をつぎ込んでいる。日本の三倍だ。
アメリカの国家戦略として中国と手を組んでアジア支配を続けると言う事も考えられる。それは日本にとって悪夢なのですがロシアにとっても中国とアメリカが手を組んだら悪夢だ。東南アジアにとっても悪夢であり、オーストラリアにとっても悪夢だ。しかしアメリカにはリベラル勢力や金融街は中国と手を組んでいこうとする勢力があり、ポールソン財務長官もその一人だ。
それに対して国防族はイラク戦争の失敗で発言力を失いつつあり、中国を敵視する勢力が弱まっている。日本への従軍慰安婦決議を封じきれないのもアメリカの親中派の活動があるのですが、ヒラリー大統領が実現すれば米中のパートナーシップが強化されるだろう。
しかし、結論から言えば中国がアメリカと同盟関係を結んでも上手くいかないだろう。一枚岩の団結といった中露も対立関係になりましたが、中国の中華思想が同盟というものを認めず、主従関係しか認めないから米中も主導権をめぐって最終的には対決する事になるだろう。そしてどちらが勝つかは日本がどちらにつくかにかかっているのだが、日本がアジアの覇権の主導権を日本が持っていることに日本人自身が気がついていない。