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http://plaza.rakuten.co.jp/31sakura/diary/200706180000/
情報機関の民営化がもたらす新型ファシズム [ パワーポリティックス非公式情報 ]
このところ、インターネット上への情報流出が話題になっている。最近では国民の個人情報を集めている警察から捜査資料が漏れ出て、暴力団関係者の指名や住所が明らかになっただけでなく、犯罪被害者の個人情報までが広まってしまった。警視庁の一巡査長がこれだけの情報を「個人的に」保有しているというこは、権力者の手元には膨大な資料が集まっているということだろう。
おそらく、権力者の情報管理は巡査長よりは厳格なはずで、情報が警察から漏れていることが発覚する可能性は低い。話題になっているケースは、不特定多数の人間が目にできる場所に流れ出たからである。勿論、国民の個人情報が捜査当局や情報機関へ筒抜けになっていることを国民は気づかず、気にもしない。日本のマスコミもこの問題には触れたがらない。
アメリカやイスラエルの情報機関は1980年代にトラップドア付きの情報収集分析システムを世界中で売っていた。1990年代に入ってこの事実が明るみに出ると世界的な大問題になったのだが、日本だけは例外だった。マスコミは「知らぬ顔の半兵衛」を決め込んでいた。
アメリカのような国の情報機関は「国家機密」のベールに自分たちの活動を隠し、その活動にどの程度の資金が使われているのかも不明だ。現在、この国の「情報共同体」を統括しているのは2004年に新設された国家情報長官。その下にCIA(中央情報局)、国土安全保障省の情報分析社会基盤保護局、国防総省の国防情報局など16の政府機関が集まっている。情報共同体の予算を政府は公表していないが、2005年度の予算を600億ドルとする推計もある。情報活動をビジネスとする企業へ流れている金額は予算の70%と言われているので、420億ドルが企業に支払われていることになる。これまでの推計は25%程度少なく見積もっているというのだ。これに非合法の資金調達を含めるとどの程度になるのか、見当がつかない。
これだけの資金が動いているということは、ビジネス的に魅力的だとも言える。刑務所や軍隊だけで民営化が進んでいるわけではない。1970年代後半から情報機関では秘密工作を「民間企業」に委託するケースが増えたと言われているが、これには議会の追及をかわすという側面もあった。国家機関でなければ議会の監視を受けないというわけだ。「イラン・コントラ事件」でも、その実態を垣間見ることができた。
歴史を振り返ると、アメリカの軍隊や情報機関は巨大企業、資本の暴力装置として機能してきた。軍事侵攻だけでなく、爆弾攻撃で社会を不安定化したりクーデターで気に入らない政権を倒してきたのである。自国を含め、少なからぬ要人が暗殺されたと疑われている。勿論、プロパガンダは恒常的に行われている。
企業がカネ以上に価値あるものを手にしていることも忘れてはならない。情報自体である。通信、コンピュータ、そして傭兵会社が絡んでくれは「ファシズムの民営化」である。今でも情報や軍事の仕事をしている民間企業は「国家機密」で監視の目から守られている。すでに日本でもアメリカでも「国民主権」は絵に描いた餅になりつつある。規制緩和もあってメディア支配が進んでいるが、その主要目的が国民の「マインド・コントロール」だと信じる人は少なくない。少なくとも、結果としてそうなっている。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007061502024243.html
過去最大か警察情報流出 同僚間で複製常態化
2007年6月15日 朝刊
◆高さ8メートルにも
警視庁などによると、流出情報を紙に印字すると約六万−八万ページ、積み上げると高さ約八メートルにも上る。通行車両を記録するNシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)の設置場所のほか、女性暴行事件やとばく事件、少年事件などの捜査資料や暴力団組員や事件の被害者の個人情報などが入っていた。複数の警察官が集めたとみられる。
同庁は「まだ、誰の個人情報が流出したのか分からない」としながらも、流出被害者対策の窓口をつくるかどうかの検討に入った。
警視庁は昨年、(1)私物パソコンで捜査情報は扱わない(2)公用パソコンは許可なく持ち出さない(3)私物の記録媒体に捜査情報を取り込まない、との内容を通達。私物パソコンで「ウィニーは検出されませんでした」との表示を印刷し、提出させるなど対策を講じた。また、警察庁は捜査資料などを自動暗号化するソフトを開発。今年四月から全都道府県警に導入を進めている。
◆慣習抜けず?
警視庁のある幹部は、「昔は持ち出し禁止の内規はなく、よくできた以前の捜査資料を分厚いファイルにして、次の捜査に備えるために持ち歩いていた。逆に電車などで落とすのが怖かった」と振り返る。
個人情報保護の意識が高まった現在でも、捜査資料を参考のために、私物パソコンに入れている警察官は多いという。巡査部長は「多くは別の同僚からのコピー」と説明しており、同庁は捜査の参考資料としてデータの複製が常態化していたとみている。
また、巡査長は私物パソコン二台のうち一台は報告していなかった。データの中にはわいせつ画像も含まれるなど、今回は内規・通達に反してウィニーを使い続けた個人的な問題の色彩が強い。しかし、別の幹部は「これからは、暗号化されていない以前の捜査資料の削除を徹底するしかないが、全職員に徹底できるかは疑問だ」と語った。
◇
この問題について、警察庁の漆間巌長官は十四日の記者会見で、「とにかくウィニーは使うなと、あれだけ言っても言うことを聞かない人がいる。由々しきこと。ほかにもある可能性がある。私は悲観的に見ている」と述べた。
長官はさらに「ウィニーを入れてなくても、パソコンを使っていれば、欠点を突かれて、外に出るという可能性はあると認識すべきだ」と述べ、あらためて情報管理徹底の必要性を強調した。
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http://www.janjan.jp/living/0706/0706157368/1.php
「自衛隊による国民監視活動」に抗議
2007/06/17
「自衛隊による違憲・違法な国民監視活動についての報告・抗議集会」が14日(木)午後2時より憲政記念館講堂で開催されました(主催:日本共産党中央委員会)。
日本共産党が6日、自衛隊の「情報保全隊」による国民監視活動を詳細に記載した内部文書を入手したとして、内容を公表しました。そこには、自衛隊イラク派遣反対運動だけでなく、年金や医療費、消費税反対の運動をしている団体や個人の名前や写真も載っていたと伝えられています。自衛隊による国民の監視活動は違法・違憲だとして、共産党は活動の全容を明らかにすると同時に、監視活動の中止を求めています。集会は志位和夫委員長の挨拶・報告のあと、リストに載っていた団体・個人が全国から集り、抗議の訴えを行いました。
●それ自体が国民の自由な活動に圧力をかけ、萎縮させる
1つ目は、それ自体が憲法における国民の自由な活動に圧力をかけ、脅かし、萎縮させるものであるということです。巨大な軍事力をもつ自衛隊という軍事組織が、身分を隠し、集会やデモに紛れ込むなどして、国民の活動を監視していたということは、「思想・信条・良心の自由」や、「プライバシーの侵害」などの基本的人権の条文を根底から脅かし、蹂躙するものであると厳しく批判した上で、全容の解明と直ちに監視活動を中止することを求めました。
●「反自衛隊」のレッテルをはり、敵とみなして監視する
2つ目は、監視する監視活動を行う。イラク派兵問題にとどまらず、年金問題、医療費問題、消費税の問題など、自衛隊の活動とも防衛の秘密ともまったく関係のない活動に対しても日常的な監視活動をしていることです。自分たちに都合の悪い活動に対しては「反自衛隊」というレッテルをはり、敵とみなして監視する。これまで政府は自衛隊に対し、文民統制(シビリアンコントロール)、政治的中立と言ってきたが、文民統制というのは、自衛隊は国民の監視下におかれなければならないのが原則であり、「逆転している」と厳しく批判しました。しかも、敵味方にしゅん別し、敵とみなした人を監視対象にするということは恐ろしいことであり、「まさに軍の暴走が始まっている」との認識を示した上で、これをやめさせなければならないと強く訴えした。
●政府の居直り、ごまかし、隠蔽を許してはいけない
3つ目は、自衛隊が国民を監視するという違憲・違法行為に対し、政府が「なにが悪いの?」という開き直りの態度をとっているは問題だとして厳しく批判しました。内部文書に対して、久間防衛大臣は「まったく根も葉もないとは言えない」とか、「ニセモノではないという感じは受ける」とか、「作られたものではない」などと答弁し、その信憑性については否定できないところに追い詰められています。そこで、居直り、ごまかし、隠蔽を行い、「集会に行って情報集めてなにが悪い」と言っていますが、軍事権力である自衛隊が身分を隠し、デモや集会に紛れ込み、情報を集めてまわることを世間ではスパイ活動というのではないか、と反論しました。
●自衛隊とメディアが行う写真撮影との区別もつかない防衛大臣
また、久間大臣が「写真なら報道陣も撮っているではないか」と言ったことに対し、マスメディアは国民の知る権利に応えて写真を撮るのであり、軍事権力の監視活動と異質であると述べました。メディアの行う写真撮影との区別もつかないというのは、「防衛大臣失格」であると断じました。高校生のピースウオークが自衛隊と自衛隊の家族にどんな被害を与えるのか。また、年金、医療、消費税の問題が自衛隊や防衛秘密となんの関係があるのか。答弁に困って久間大臣は、イラクの情報収集のついでに記録したと言ったが、それぞれ単独で記載されており、「ごまかしは通用しない」と糾弾しました。
●3つの隠蔽がある
3つの隠蔽がある。政府は情報保全隊の活動を明らかにせよという要求を拒否している。内部文書の調査も拒否している。防衛大臣は破棄してしまったから調べようがないといっている。仮に文書が破棄されても、電子データは残っているのは間違いない。情報保全隊は現に存在しているのだから、調べようと思えばいくらでも調べることができる。防衛大臣がさらに、もし調査して内容が合っていた場合、非常に問題だと言った。防衛事務次官は、手口がばれると言った。語るに落ちるというのはこのことだ。政府がとっている居直り、ごまかし、隠蔽は通用するものではない。中途半端にしてはいけない。
強調したいのは、これが氷山の一角だということ
志位さんは、「政府がとっている、居直り、ごまかし、隠蔽は通用するものではない」と断じた上で、「いまここで政府防衛省の開き直りを許したら、違憲・違法な活動が野放しにされる。絶対止めなければならない」との強い決意を示しました。さらに、強調したいのは、これは03年11月から04年3月までの一部であり、「氷山の一角」であるとした上で、情報保全隊は900名に及ぶ組織であり、憲法改正の動き。反対する活動に対し、監視していることは充分考えられる、と述べ、「過去の一時の問題ではない。現在進行形で続いている」と警鐘を鳴らしました。
●ここで止めなければ取り返しのつかない事態を招く
なぜ国民を監視する必要があるのか。それは、いざというとき、有事法制を発動し、治安維持を理由に国民の活動を鎮圧するために、国民の監視体制を強化し、いざというとき使う体制を整えているのではないか、との推測を述べました。戦前戦中の憲兵や特高警察の復活を危惧する声が高まっており、ここで止めなければエスカレートし、取り返しのつかない事態を招く、と危機感を強めながら、「自衛隊の国民に対する違憲・違法活動を中止させる。その一点で政治的立場を超え、国民に広げ、やめさせるために力を尽くしていきたい」と述べ、協力を呼びかけました。
最近、自衛隊と防衛省のやっていることは目に余るものがある
共謀罪の反対活動をしている民主党の平岡秀夫衆議員は、「自衛隊や防衛省がやっていることは最近目に余る」と述べ、辺野古への海上自衛隊派遣など、まるで軍が国民に対して武器を向けている構図に見える、と語りました。平岡さんの選挙区は、米軍再編で揺れている山口県岩国市だそうです。防衛省の安全政策に従うならアメをやる、従わないならムチを振ることを進めようとしていることに対し、「戦前のような状況になっていくのではないかと強く心配している」と危機感を強めながら、「抗議をしたい」との考えを示しました。
平岡さんは、圧倒的に与党の数が多い中にあって、国会で野党は非力であると述べ、「参議院で多数をもっていれば国政調査権を発動し、その国政調査権のもとでこうした自衛隊活動や防衛省をしっかり監視できる。国民の立場に立って監視するシベリアンコントロール(文民統制)を作り上げる。参院選で与野党が逆転すれば、国政調査権を使ってこの問題にメスを入れることができる」と述べ、参院選での与野党逆転のために力を貸してほしい、と訴えました。
●高校生の活動でさえ、国を脅かす力になる
03年11月30日、立川周辺で高校生実行委員会が「高校生から始まるピースウオーク」を行ったそうです。その活動をサポートした女性は、4年前の(自分たちの)活動がまさか自衛隊に監視されていたとは思わなかった、と述べ、「ビックリした」との感想を述べました。実行委員の中には大変憤慨している人もいるそうですが、イラク戦争が始まり、自衛隊の人たちが現地に行って人を殺したり殺されたりすることがないように、早く自衛隊の人たちに帰ってきてほしい、平和な話し合いで解決してほしいという思いでやったデモに対し、自衛隊が監視していたことについて、女性は「許しがたい」との思いを訴えました。
その反面、高校生の活動でさえ、国を脅かす力になっていることを知った、と述べ、こういうことにめげず、今度は防衛省だけでなく、国民を戦争に向かわせようとしている政府全体を運動で脅かしたい、との決意を表明しました。
●沖縄は一つに燃えている
沖縄「高教組」の松田寛委員長は、自衛隊による国民監視について、「国が国民を監視する暴走を許してはいけない」と厳しく批判しました。また、この問題は国の根幹に関わる問題であり、国民が自衛隊を監視することの必要性を強く訴えました。松田さんは、「はたびらき」(仲間内の集まり)のとき、自衛隊がもぐりこんでいたことに対し、内輪の、いわば頑張ろうと誓い合うような集まりの中に、監視の目が入っていたことについて、これは「共謀罪」であるとの認識を示しました。
松田さんは、今回の自衛隊の動きは教科書問題と根っこでつながっている、と指摘した上で、沖縄で住民の集団自決に軍の関与はなかったとする教科書問題に対し、沖縄すべての41の市町村で住民虐殺の意見書採択で動いていることに言及しながら、「沖縄は一つになって燃えている」と述べ、歴史を改ざんしようとする動きに反対し、沖縄が一致団結して抗議の声を上げていることを明らかにしました。
●報道陣はもっと怒るべきだ
東京新聞の特派員としてイラクのバグダットで取材をしたとされたフリージャーナリストの男性は、「久間大臣の開き直りに非常に憤りを感じている」と述べました。男性は、取材の様々な局面で、防衛省、外務省、米軍からマークされていることを感じてきたので、今回の問題が明らかになったときそれほど驚かなかったそうです。
しかし、久間大臣の開き直りを見て、自分はもっと怒るべきではないかと思ったそうです。久間大臣の「報道陣も写真を撮っているじゃないか」という発言に対し、「報道関係者のはしくれとして一言言わせてもらいますが、ふざけるんじゃねえ、一緒にするな」と怒りの言葉をぶつけました。自衛隊と違って報道はスパイ活動をするわけではない、と反論しながら、報道の役割を自覚し、あんな発言をしたら私と同じように「ふざけるな。お前たちと一緒にするなと怒るべきだ」と述べ、報道関係者にもっと怒りの声をあげることを呼びかけました。
●どこまでやっていたのか、だれの指示でやっていたのか
また、年金や消費税といったまったく関係ないことまでも監視の対象にしていることに対し、「どこまでやっていいのか明確になっていない」と述べ、フリーハンドの危険性を指摘しました。「情報安全隊」の本来の任務は情報漏えいを防ぐことであり、ウィニーなど情報が漏れまくっていることに対し、「なにやってるんだ、ちゃんと仕事をしろよと言いたい」と述べ、自衛隊が本来の役割から外れたことをやっていることをマスコミや政治家が許してしまえば歯止めがきかなくなる、と述べ、その危険性を強く訴えました。
軍隊の規則違反や犯罪を取り締まるのが仕事だった憲兵が、やがて国民を監視し、国民を弾圧する存在になってしまったように、本来の目的から外れてフリーハンドでどんどんやってもいいとう流れを作ってはダメ、と断じました。「これは氷山の一角であり、友人は尾行をされた。もっと出てくる。どこまでやっていたのか、だれの指示でやっていたのか、それをはっきりしなければいけない」と述べ、真相を明らかにするために厳しく追及することの必要性を強調しました。
現場は混乱している
「宮城憲法会議」事務局長の小野寺義象弁護士は、情報の出所である陸上自衛隊東北方面情報保全隊に抗議をしに行ったときのことを報告しました。抗議に行った人の話では、3人の関係者が対応してくれたそうですが、抗議に対する明確な説明はなく、「回答する立場にない」とか、「自衛隊の内部は混乱している」といった話をしていたそうです。防衛大臣や事務次官などは冷静を装っているが、現場はそんな状態ではなく、自衛隊の存続がかかっているほどの危機感をもっているのが現場の実感、との感想をもったそうです。
宮城県庁で記者会見をしたとき、マスコミが熱心に話を聞いてくれたことについて言及しながら、マスコミはこの問題に強い関心を持っており、書きたくても書けない状況にあるため、書きやすくなるような環境を作ってあげることが大事である、との見解を示しました。また、「自衛隊イラク派兵違憲差し止め訴訟」を仙台の裁判所に提訴しており、原告団は自分たちの活動がどのように載っているのか、(自衛隊から情報を)引っ張り出したいと思っているそうです。
●何度か、確実に自衛隊の影を感じた
「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の高田健さんは、イラクの派遣された自衛隊帰ってこいという活動を続けているそうです。その活動を通し、何度か自衛隊の影を感じたそうです。集会を遠巻きの見ている人たちがいて、写真を撮ったりメモをとったりしているので、参加者が「あれはなんだ、いやだ、気持ち悪い、なんとかならないか」と気味悪がっていたそうです。警視庁の公安の連中だということはカンでわかるそうですが、得体の知れない2、3人の集団があったそうです。
イラク派兵のとき、防衛庁の前で抗議活動をしたときも、これはどうみても警視庁でも公安でもない人たちがいたので追いかけたらものすごい勢いで逃げられたそうです。もう1回、渋谷でこちらから話しかけると、なにも答えなかったので警視庁の人にあとで確認したら自分たちの仲間ではないと答えたので、「じゃ、自衛隊か」と聞くと答えなかったそうです。証拠はないが何度か確実に自衛隊の影を感じた、と高田さんは述べ、集会やデモなどに参加したいと思っている人たちに萎縮効果を与える役割を自衛隊が果たしていることに対し、「体験した一人として糾弾したい」と厳しく批判しました。
憲法9条があなたたちを守っている
高田さんはまた、横須賀の仲間がイラクへ行く自衛隊に対し、「憲法9条があなたたちを守ってくれる」と声をかけて送り出したことを伝えました。高田さんは、「自衛隊の人たちは知るべきです。憲法9条があるから、あなたたちは公然と集団的自衛権とか参戦をしないでいることができる。9条を守れという運動に対して歯向かうことは本当に愚かなことだし、許されないことです」と述べ、自衛隊員の命を守っているのは武器ではなく憲法9条であることを強く訴えました。
わかりやすく伝えることが大事
「平和祈念行脚」を続けている日本山妙法寺(東京)の僧侶の方は、「明後日からから広島・長崎への平和行脚に出発するので、(東京を空けるため)首都防衛をお願いしたい」と開場を笑わせながら、沖縄の基地の前で平和行脚の訴えをしたとき、自衛官が出てきて、暴力を振るわれたときのことを話しました。抗議をすると、「私が責任者です」とほかの人が出てきて、その人が行き詰まるとまたほかの人が出てくる。やった人は中から出てこない。「こういう手法を使ってきます。謝るということは暴力を認めることになるから、謝らない」と相手のやり方を伝えました。抗議のための座り込みをすると、新聞が取材にしたそうです。
「マスコミの力はすごい」との感想を述べながら、そのマスコミが正しいこと伝えないため、アメリカのエージェントが戦争を仕組んでいることを多くの国民は知らない、と語りました。これをわからせるためには、優しく言うことが重要であると述べ、「自衛隊のみなさん、こんにちは。9条があるから守られています」と優しく語り掛けると、防衛省の職員が静かに頭を下げていく人がいるそうです。「こぶしを振り上げるだけではダメ。これからはスーパーでも路地裏でもみんなにアッピールするような表情で、わかりやすく伝える。これが大事」と述べ、人々への働きかけをするためにわかりやすく伝えることの重要性を説きました。
5600人の「イラク自衛隊派兵差し止め訴訟」の原告は怒っている
名古屋の「イラク自衛隊派兵差し止め訴訟」弁護団事務局長の川口創弁護士は、全国で5600人の原告が、いまもイラク派兵は違憲だとして直ちに撤退しろと裁判を起こしていることを明らかにしました。提訴したのは2月末だったので、今回のリストに載っていないことに対し、5600人の原告が、「私たちは命をかけてやっています。(これでは)しめしがつかない」と怒っていると語りました。今回の問題でなにが違憲か。川口弁護士は次のように語りました。
情報保全活動の根拠となっているのは、訓令第7号で、平成15年3月24日、石波茂防衛長官が陸上自衛隊情報保全隊に対する訓令です。訓令とは何か、法律ではない。行政規則に過ぎず、国民の権利義務を侵害してはいけないという国民の権利義務に関係するものは国会の法律によらなければならない。その意味で、今回自衛隊がやっていることは明らかに国民の権利義務を法律によらない形で侵害しており、「厳しく追及すべき」との見解を述べました。
●いかなる権利が侵害されているか
また、いかなる権利が侵害されているか。「プライバシーの侵害」「肖像権の侵害」「表現の自由・内心の自由の侵害」など様々な権利が侵害されていることは間違いない、との認識を示しました。また、名古屋地裁で3月23日、第7次「イラク自衛隊派兵差し止め訴訟」で画期的な判決が出たことに言及しました。それは、「平和的生存権」を具体的に認めたものであり、「最高の到達点」と高く評価しました。その背景に、国家が右傾化・軍事化していることに対する裁判官の危機感があったのではないか、との見方を示しました。
今回の事件に照らしてみると、「平和的生存権」が侵害されたことは明確であり、この点を強く訴え、強調することが大事、との見解を示しました。「イラクで自衛隊はなにをしているのか。イラク戦争後、イラクでは65万人が殺され、200万人が海外難民、300万人近い人が国内難民化している。4000万人強のイラクの国民の1割以上が国外に逃れ、もしくは死んでしまうというきわめて深刻な事態。自衛隊はなにをしているのか。掃討作戦と称して大きな虐殺行為を展開している。バグダットに武装した兵を送りこんでいる。これは後方支援ではなく、前線を担当している。(現在の日本が)戦中にいることの自覚が必要であるとの考えを示しました。
さらに、「だからこそ、銃後の監視体制が必要なのではないか」と述べ、自衛隊に対し、反対する声を押しつぶす。そのために監視活動を精力的に行っている、との認識を示しました。正面から反対すると同時に、このままの日程だと参院を通過してしまう可能性の高い自衛隊のイラク派兵延長法案に対し、延長をさせない闘いをすることが大事だ、と訴えました。イラク派兵が日本の社会を軍国化する権威者であることは間違いない、と述べ、「イラク派兵の延長をさせない。国民監視を自衛隊にさせないことを訴えていきたい」との決意を表明しました。
だれの指示だったのか明らかにされない限り安心して生活できない
劇作家の熊谷まきさんは、911からヘンだなと思い、アフガニスタン侵攻、イラク戦争が始まったときから仲間の演劇人に声をかけて反対運動をしてきたそうです。「尾行されている気配を何度も感じた」と言い、今回、だれの指示だったのか、指示系統がどういうものだったのか、それが明らかにされない限り安心して生活できない、との思いを述べながら、今回のことは氷山の一角であり、もっとひどいことが行われていた可能性が高い、との認識を示しました。
また、「ここが踏ん張りどころである」と述べ、マスメディア、政治家、市民運動は頑張ってほしい、との期待を寄せました。さらに、この活動でどれぐらいお金がかかっていたのか、税金がどれぐらい使われていたのか、明らかにしない限り私たちは自分のお金で自分の首を絞めていることになる、と述べ、最終的にみんなが納得するまで(真相究明の)闘いを続けるべき、との考えを示しました。
●厳しい抗議・告発をし続けることが大事
早稲田大学名誉教授の村田さんは、「イラク自衛隊派兵差し止め訴訟」で名古屋地裁が平和的生存権を認め、確定したことに対し、これを推奨し、大いに活用すべきであるとの認識を示しました。又、違憲性だけでなく、防衛庁の職員という公務員の違法行為によって損害を受けたのであるから賠償を請求することや、自衛隊がどのような根拠で市民に対する監視活動をしていたのか、ルールを明らかにするべきであり、長官の訓令や関連法令の全体をつぶさに見ていくことで、その違憲性や、職権乱用罪適用があるのではないか、と指摘しました。
また、開き直り、ごまかし、隠蔽を続ける防衛大臣や事務次官など責任者に対しては厳しく抗議をし、告発し続けることが大事、との認識を示しました。第2次世界大戦後の米国が戦争中毒となり、経済、財政の双子の赤字で世界一の債務国になっていること、米国の元国務長官が、「戦後アメリカが歩んだ道はもっとも恐ろしい事態に近づいている」と語っているような米国に従属するのは「間違っている」と述べ、「共倒れになってはいけない」と警鐘を鳴らしました。
●自由にものが言えない人間が素晴らしい芸術を創るはずがない
映画評論家の山田和夫さんは、山田洋次監督も監視の対象になっていたことに対し、ごく当たり前の発言(※)に対してもマークされることについて「こういうことも全て反自衛隊活動とされていたのは驚き」との感想を述べました(※イラクに自衛隊が派遣されたとき家族に黄色いハンカチ運動が起こり、毎日新聞の取材を受けた山田洋次監督は、映画の「幸福の黄色いハンカチ」は夫婦の愛情表現。見当違い」と発言しました。それが反自衛隊活動とされた)。
山田さんは「映画9条の会」の活動をしており、それが今回の自衛隊のリストに載っていなかったことは「残念」であり、「反省している」と語りました。(今回のようなことがあると)そこから起きてくる萎縮効果を予想せざるを得ない、と述べ、芸術家として創造者として自由にものが言えなくなることに対し、強い懸念を示しました。「自由にものが言えない人間に素晴らしい芸術を創ることはできない」と述べ、その意味でこの問題は日本の文化芸術にとっても大きな問題である、との認識を示しました。
井筒和幸監督の「バッチギ!LOVE&PEACE」がインターネットなどでネット右翼から激しい攻撃に遭っていることに対し、山田さんは、「井筒監督はいまの日本の映画の中でもっとも勇敢にものを言っている」と高く評価しました。また、脅しに屈せず、勇気をもって闘っている人たちに「勇気づけられる」と語りました。政府の責任ある立場にいる人たちが開き直っているのは「許しがたい」ことであり、日本の将来のために阻止しなければならない、と強く訴えました。
そのほか、沼津、福岡、広島などから駆けつけた団体の方々が、それぞれ自衛隊による国民の監視活動に対する抗議の訴えをしました。なお、主催者より、集会の参加者が194団体、594名の参加があったことが報告されました。
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http://www.ohmynews.co.jp/news/20070410/4037
国民監視システム〜桜井春彦コラム〜
「公権力が私生活情報を広範囲に収集し、個人を把握・監視することが可能」になることを裁判官も認めているのだが、個人情報を集中させて管理、分析することは「行政側が法律を守る限り実現しない」と判決の中で言い放ったというから驚く。「法律を守る」ことを前提とするならば、監視システムを正当化する根拠も崩れる。国民は法律を犯すが、「行政」は守ると考えているのだろうか?
ところで、コンピュータ化された国民監視システムを「ビッグ・ブラザー」と呼ぶことがある。ジョージ・オーウェルの小説『1984年』では、支配者、あるいは支配層の人格化されたイメージとしてこの名称が使われ、その連想から今では監視システムを意味するようになったわけだ。
イギリスのジャーナリスト、ダンカン・キャンベルは1970年代からこの問題を取り上げてきた。米英の電子情報機関、つまりNSA(米国家安全保障局)とGCHQ(英政府通信本部)による通信傍受分析システムの存在を暴露したために逮捕、起訴された経験もある。1988年には「ECHELON」に触れた。キャンベルによると、ロッキード・スペース・アンド・ミサイルの従業員がNSAによる米共和党のマーガレット・ニューシャム上院議員の電話盗聴を内部告発、その後の調査でECHELONは浮かび上がった。
日本以外では1996年にECHELONは注目されている。ニッキー・ハガーが『秘密の権力』を出版したことがきっかけだ。NSAとGCHQを中心に組織され、ECHELONを運用しているUKUSA(ユクザ)にメスを入れた著作で、ニュージーランドの情報機関GCSBを支配している実態も明らかにしている。ニュージーランド政府は「自国の情報機関」を管理できていないということだ。
この著作に刺激される形でヨーロッパ議会は『政治的管理技術の評価』と題する報告書を1998年に公表した。ECHELONのような通信傍受だけでなく、CCTVや車両認識システム(日本ではNシステム)などの監視装置や「暴動鎮圧」用の技術なども取り上げ、監視システムは反体制派、人権活動家、学生運動指導者、少数派、労働運動指導者、政敵がターゲットになることが多いと警告している。
その前、1990年には情報収集分析システム「PROMIS」にトラップドアが組み込まれていることがアメリカで暴露されている。このシステムは1970年代に「容疑者追跡」を目的として開発され、日本の法務省も興味を示し、軍事政権などは「反体制派狩り」に利用している。
そのシステムにトラップドアを組み込み、アメリカとイスラエルの情報機関は「民間企業」を介して各国政府機関や国際機関、あるいは金融機関に売っていた。つまり、そうした組織の機密情報をアメリカやイスラエルの情報機関は居ながらにして入手できるわけである。
コンピュータ化された国民監視システムとしては、TIA(総合情報探知)やMATRIXなどのシステムがPROMISのほかにも知られている。暗号ソフトやコンピュータのOSに「秘密の合い鍵」が組み込まれていることも発覚している。米英の情報機関は地球規模で情報支配戦略を実行してきたと言えるだろう。
捜査機関の分野でも似たことが起こっている。1990年代には、アメリカのFBI(連邦捜査局)が中心になってILETS(国際法執行通信研究会)が組織され、欧米の捜査機関が通信傍受について話し合っている。この一方、アメリカ国内では1994年にCALEA(法執行機関のための通信援助法)を成立させ、電話の盗聴は容易になった。「国民監視」はネオコンの専売特許ではない。
ともかく、1990年代には権力者の情報支配(データの収集と分析、通信傍受、暗号の無力化など)が世界的に大きな問題になっていた。例外的にこの問題を避けていたのが日本。国民監視システムを作り上げるレールが敷かれるまでマスコミは沈黙していた。ヨーロッパ議会がECHELONを取り上げた際にも正確な報道はなく、その後も国民監視システムを批判的に掘り下げる姿勢は感じられない。
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桜井春彦(さくらい・はるひこ) 調査ジャーナリスト。早稲田大学理工学部卒。ロッキード事件の発覚を機に権力犯罪を調べ始める。1980年代半ばには大韓航空007便事件や大証券の不正をリサーチ。『軍事研究』誌で米情報機関のレポートを執筆。『世界』誌ではブッシュ政権の実態を発表。著書に『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房)がある。桜井ジャーナルでも「非公式情報」を発信中。
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