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2007年05月28日
米国議会が本当に承認したこと
米軍・国務省に長いこと勤めた米国人が、5月24日に米国議会で採択されたイラク戦争継続を決議した法律について語る。
議会が本当に承認したこと
第1号基準:米国企業のためにイラク石油を私営化する
アン・ライト
2007年5月26日
ZNet 原文
5月24日木曜日、米国連邦議会はイラク戦争の継続を決定した。議員はこれを「我が兵士を支持すること」と呼んだが、私はこれを世界第二の埋蔵量を誇るイラクの石油を盗むことと呼ぶ。「ベンチマーク」すなわち目的として、ブッシュ政権がイラクを侵略して以来暴れ狂ったように押し進めてきたのは、イラク石油の私営化だった。今や米国議会は、イラク国会とイラクの人々を、イラクの石油を私営化しなければ再建資金は提供しないと脅迫している。
脅しはこれ以上はっきりしようがないほど明らかである。イラク議会が私営化法案を可決しなければ、米国議会は、米国がイラクで破壊したものを再建するためにイラクの人々に約束した再建資金を提供しないと述べている。ブッシュ政権が雇い入れた米国の石油企業コンサルタントたちが書いたイラク石油の私営化法案では、イラク国営石油公社は既知の油田80のうちわずか17しか手にしないことになっている。既知の油田の残り(3分の2)と新たに見つかる油田はすべて世界の私営石油企業の誰が手に入れてもよいことになる。
中東で石油を私営化した国はない。サウジアラビア、クウェート、バーレーン、イランは国際石油企業に1年から2年の制限付き使用契約を与えているだけである。米国議会が可決した120億ドルの「我らが兵士を支持する」法は、米国からの再建資金を受け取るためには石油資源を私営化し、それを長期(20年から30年)の契約に開くよう、イラクに要求している。
この「我らが兵士を支持する」法は米国の軍にとってどんな意味があるだろうか? 兵士を守ることはこの法律とは何一つ関係がない。もちろん、米国の石油利益を守るために兵士たちをイラクにさらに30年間駐留させる以外は。このことは、米国の軍事要員全員にアラビア語学習が必要になることを意味している。また、兵士と海兵隊員がキャリアの大部分をイラクで過ごすことを意味している。40箇所の常設基地に新たにタコ・ベルとバーガーキングができることを意味している! というのも、従順なイラク政府が油田を米国企業に貸出、その油断を米軍が守ることになるからである。向こう30年間、契約が続く限り、米国の兵士たちは米国企業の利益を守る守護者になる。
ブッシュ政権の「我らが兵士を支持する」法とその基準----第1号基準----により、我々は米国がイラクを侵略した理由をついに手に入れた! 米国企業のために簡単に手に入る安価で良質のイラク石油を手に入れること。
米軍要員と家族にとって、今や選択肢は、米国の国家安全保障ではなく米国に残された超大企業である石油企業の財政安全保障のために、愛する人々を身体的・精神的に傷つけることを望むかどうかである。
これは米軍兵士の家族の選択である。というのも、軍に関係しないアメリカ人のほとんどは、自分の意志で軍に参加した米軍兵士たちが、我々が一人一台使っている車の燃料を提供するために企業の石油を守ることで時間を費やそうがどうだろうがどうだってよいからである。もちろん、竜巻やハリケーン、洪水などの自然災害が米国を直撃したときには州兵に戻ってきて欲しいと思うだろう。けれども普通の日に誰がイラクにいる18万人の米軍や15万人の傭兵/私営要員のことを思い起こすだろうか?
今年1月に「大波」が始まって以来、アメリカ人500人以上とイラク人1万5000人以上が殺された。2007年9月に「大波」計画の結果を政府が検討する頃には、さらに400人のアメリカ人と1万2000人のイラク人が命を失っていることだろう。
米軍とその家族はあとどのくらいそれを我慢できるのだろうか?
[アン・ライトは米軍と米軍予備兵として29年勤務し、引退時は大佐だった。彼女は、ニカラグア、グレナダ、ソマリア、ウズベキスタン、キルギスタン、シエラレオネ、アフガニスタン、ミクロネシア、モンゴルで米国外交団として勤務してきた。2003年3月、イラク戦争に反対して米国国務省を辞任。]
米国のイラク侵略と石油略奪意図との関係についてはリンダ・マクウェイグ『ピーク・オイル』(作品社)をお読みいただけると幸いです。
今回紹介した記事は、特に目立った分析があるわけではありませんが(米国が「国家安全保障」を持ち出して侵略や爆撃を行うときはほとんど常に覇権を示す見せしめや経済的利害が関係していますし)、「軍に関係しないアメリカ人のほとんどは、自分の意志で軍に参加した米軍兵士たちが、我々が一人一台使っている車の燃料を提供するために企業の石油を守ることで時間を費やそうがどうだろうがどうだってよいからである」という言葉は、気軽に「戦争」を語り始めた日本でも当てはまりそうです。
投稿者:益岡
Falluja, April 2004 - the book
http://teanotwar.seesaa.net/article/43153385.html