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イラク戦争のコストと石油暴騰による利敵政治
http://www.asyura2.com/07/war92/msg/401.html
投稿者 ラムセス 日時 2007 年 5 月 24 日 14:08:22: wc49qrd.DWqeY
 


石油を略奪するためにイラク戦争を始めたブッシュ政権はイラクの泥沼にはまり込んで、莫大な戦争のコストを負担せざるを得なくなって苦しんでいるし、最強の軍隊というのに地上戦では敗北という結果しかあげていないのが実情だ。その上に石油価格が暴騰してロシアやアラブ産油国が濡れ手に粟の棚ボタ収入で喜んでいるが、石油輸入国のアメリカは貿易赤字が増えているだけではなく、ドルが大暴落してインフレが急速度に広がって人々が苦しんでいる。日本も小泉内閣による自衛隊のイラク派兵にって戦争に加担したが、安倍内閣の軍国主義路線でアメリカと一心同体になり没落に巻き込まれようとしている。それを喜んでいるのは中国や韓国であるのは疑いの余地がなく、濡れ手に粟の利益を得ているのがロシアやアラブ産油国という構図になっているである。
以下に貼り付けた記事の中の「ニューヨークタイムス」が明らかにした数字は、物凄いものだ。
<貼り付け>
http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/article/abe05.htm

『財界にっぽん』2007年4月号
[遠メガネで見た時代の曲がり角] 連載第5回

驚異的な戦争のコストとルナティックな政治

藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト)在米

 1月17日は不吉な事件の勃発に結びつくことが多い。ロスの郊外ノースリッジを襲った地震は1994年で、翌年の同じ日に阪神大震災が起きた。また、1991の1月17日には湾岸戦争が空爆により開始したが、地質を専門にしてきた私の目で見れば、一月の半ばは満月の時期と密着しているので、これは月の引力と結びついているのである。
 月の引力が最大になると地球の潮汐現象として、岩石では地殼の歪みが大きくなって地震が起きやすいし、海水が盛り上がって満潮が高潮に結びつくので、昔から海戦による奇襲作戦は満月の夜を選んでいた。また、人間の脳の中も液体で構成されているので、満月の夜は頭が異常に働くことが多いために、殺人事件や交通事故が多発することから、狂気のことをルナティック(精神の異常性)と昔から言い習わしてきた。
 明治時代に一世を風靡した『金色夜叉」の舞台も、1月17日に熱海の海岸であった出来事が見せ場であり、ダイヤモンドに魅せられカネに目のくらんだお宮に、貫一が「今月今夜のこの月を涙で…」と啖呵を切る物語だ。そんなわけで地震がなければいいと思いながら、不安な気分で1月17日の『ニューヨーク・タイムス』を開いたら、大地震や開戦の記事がなかったのでほっとしたが、その代わりにショッキングな数字が並んでいた。
 それは「1兆2000億ドル(150兆円)で何が買えるのか」と題した記事で、レオンハルト記者が計算したイラク戦争の費用がこの数字であり、150兆円は阪神大震災の被害総額の20倍ちかいものだ。偉大な大自然が引き起こした災害に比べて、卑小といえる人間の手で拡大した戦禍の方が、遥かに巨大な物質的な災害を生んでいる事実は、どのように理解したら良いかと途方に暮れる思いに包まれ、「これは別種のルナティックだな」と溜息した。
 暫くレオンハルト記者の記事に従うことにするが、「5年前に戦争が始まる前の段階では、ペンタゴンは戦争のコストを500億ドル(6兆円)と見積もっていた。下院の民主党のスタッフもそれに合意していた。ホワイトハウスのリンゼイ経済顧問はより現実的に、コストを2000億ドル(24兆円)と見積もったので、ブッシュ大統領によってクビを切られている」とあり、続いて「もし、戦争が順調でも予算は少なく見積るもので、歴史を通じて楽天的なのは世の常である」として識者の意見を引用している。
 そして、ハーバード大学のケネディ政治学院のビルメス先生と、ノーベル賞を貰いクリントン政権の顧問だったスティグリッツ先生も、イラク戦争の全費用を2兆ドルと予想したと紹介している。また、それはイラク復興費を含めた戦費であり、一日あたり3億ドル以上を費やしているという、ワシントンの経済学者ウォールセンの試算と同じで、天文学的な出費が果てしなく続くと強調している。
 双子の赤字に悩む米国は経済的に破綻寸前であり、世界一の債務国の米国は貿易赤字と財政赤字のために、誇れるものは軍事力だけだという状態だ。しかも、経済が未だ破綻していないのは不動産バブルと共に、戦争による需要景気があるためだと言われており、戦争を止めるとたちまち景気は雲散霧消してしまうのだ。
 日銀が発表した2005年末の各国の試算状況の統計だと、最も大きな対外資産を持つのは米国であるが、1030兆円の対外資産に対して債務は1303兆円で、差し引き265兆円のマイナスになり、加えて2000兆円余りの財政赤字まであるという。同じ統計で日本の数字を比較してみれば、506兆円の対外資産に対して債務は326兆円で、差し引き180兆円兆のプラスになるために、一見する限りでは金持ちに見えるが、対外資産の四割の200兆円は米国債であり、換金が不能になれば紙切れ同然になり果てる。また、中央や地方政府の借金はー000兆円を超え、借金の山に押し潰されかけているのであり、日本全体が破産した夕張市に似たようなものだし、米国もアメリカ大陸版のタ張市に他ならない。
 しかも、戦争は火災が燃え上がる地獄と同じように、エネルギー多消費型で環境を汚染して、生命も物質も殺裁と破壊している点では、地上に出現したこの世の地獄のバリエーションだ。こういったことを考えながらイラク戦争を見れば、日本人はイラク派兵で戦争に協力をしている以上は、人類の生存条件を損なっている当事者だし、イラク戦争を対岸の火事のように考えているなら、満月の晩に何が天罰として起こるか分からない。
 アフガン戦争は911事件を契機にしていたが、この事件から一カ月後もしない10月7日に空爆が始まったのは、事前に戦争準備が整っていたからだ。現にロシアから独立したムスレム諸国に進出した米軍は、アフガンの北に軍事基地を持っていて、1997年のカザフスタンに続いて翌年はウズベクスタンで、特殊部隊による合同軍事演習を行っている。
 『小泉純一郎と日本の病理」の第7章に書いたことだが、それはユノカルの天然ガス・パイプライン建設計画が関係していて、アフガン経由の石油権益が戦争と絡んでおり、軍事基地をアフガンの周辺に配置したのだ。米国のイラク侵略の背景に石油資源が関係し、石油権益のあるところに米軍が進出する以上は、[大量破壊兵器の存在]は単なる口実に過ぎなかった。
 現にアフガン侵略の直前に18ドルだった原油は、空爆と共に上昇して37ドルになったし、一息ついて2003年初めに28ドルに戻ったが、3月20日にイラン侵略すると再び上昇し始め、2006年の夏に80ドルに達した後で、現在は50ドル台の水準に戻っている。原油価格の高騰によって米国の赤字は増大し、航空券もエネルギー費が何割も加算されるし、燃料コストの高騰がインフレに結びつき、株価指数の上昇が好況の幻影を生んでいる。
 原油と天然ガスの高騰によって潤ったのは、米国が仮想敵国と考えるムスリム圏の産油国とロシアである。そのことはロシアの専門家として知られた、木村汎拓殖大学教授とロシア問題について対談した時に、私は非常に興味深い情報を耳にしている。それは「石油の世紀から天然ガス主役に」と題した対談で、『賢く生きる』(清流出版)の中に収録してある。また、この本には岡田充共同通信論説委員と試みた、「アフガン戦争で始まった21世紀のアジア情勢の展望」という記事もあるので、本稿で言い尽くせなかった部分はそちらを参照されたい。
 木村先生の興味深い発言は次のようなもので、対談した時の原油価格は30ドル余りだったが、展望として蘊蓄に富む指摘を含んでいた。
 「エリツィンやプーチンが大統領になる以前の段階では、ロシア人にとり外交上の切り札は核兵器であり、ハードな兵器が国際政治の取引材料であった。ところが、2001年9月11日以降は、アフガンやイラクの戦争のせいで、原油と天然ガスの価格が高騰した。
 最初はーバーレル当たり18・5ドルで予算を組んでいたが、石油価格がードル上がるたびに原油大国のロシアには、2000億円の増収が転がり込んでくる。だから、石油が30ドル、35ドルと高騰するにつれてボロ儲けになり、最近ではクドリン財務大臣が、石油価格が28ドルなら、ロシアの経済は心配ない、と至って強気な姿勢を示している」。ブッシュは取り巻きのネオコンやロビイストに煽られて、米国にとっての仮想敵国に「神風」を提供したのであり、これを「ルナティックな政治」と呼ぶのではないか。
________________________________________
<貼り付け終わり>
中東情勢に詳しい田中宇記者も米国の没落について、次のような悲観的な見解を明らかにしている。
http://tanakanews.com/g1219mideast.htm
▼ドルの覇権も中東から崩壊するかも
 今後、事態がイランとの戦争に向かった場合、サウジを筆頭とする親米アラブ諸国の政権は、生き残りのために親米から「非米」の方向に転換すると予測されるが、すでにその動きが始まっているふしもある。アメリカのグリーンスパン前連銀総裁は先日、アラブ産油国(OPEC)がドルを売ってユーロや円を買う動きをしているので、これからドルは下落するだろうと述べた。(関連記事)
 これまで、アラブ産油国の石油収入は「オイルダラー」としてアメリカの金融市場に還流していたが、それが先細るということである。ドルはすでにあちこちの国の中央銀行から、備蓄通貨として持っておくのは危険だと思われている。中国や日本といった東アジア諸国はドル離れしたがらないが、アラブ産油国は一足先にドル離れを検討しており、湾岸諸国は今後数年かけて自国通貨の対ドルペッグを外すことを検討している。アメリカの通貨覇権の失墜は今後、アラブ産油国のドル売りによって顕在化するかもしれない。(関連記事)
 アメリカの世界支配は、中東を皮切りに崩壊していきそうな感じが、しだいに強まっている。アメリカの覇権の崩壊は、日本にとっても国家的な死活問題である。このところ私の記事には中東情勢が多いが、この問題はいずれ日本の国体や日本人の生活に影響を与えることになるかもしれないという点で、私には大変気になっている。

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