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http://teanotwar.seesaa.net/article/42219217.html から転載。
2007年05月19日
チグリス川が遺体処理場になっている
米軍のイラク侵略以来、大昔から文明をはぐくんできたチグリス河が汚染により急速に壊滅しつつある。国連IRINのニュースです。
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チグリス川が遺体処理場になっている
IRIN
2007年5月10日
Electronic Iraq 原文
バグダード発(IRIN)。チグリス河は遙か昔からイラク繁栄の象徴だった。けれども2003年に米軍がイラクを侵略して以来、このすばらしい河は遺体処理場になってしまった。さらに、汚染が広まり水位も下がっていると環境問題専門家は言う。
チグリス河の汚染は石油の漏出と産業廃棄物の投棄、そしてイラク軍と米軍が出す廃棄物の投棄から起きていると彼らは言う。
地元の人々にとってチグリス河は水と食料、交通、余暇のすべてにわたり重要な資源の一つだった。けれども、戦争と汚染が4年にわたり続いたため、河はよどんだ下水と化していると環境問題専門家は指摘する。
「状況は危機的です。河は次第に破壊されており、破壊を阻止する計画もまったくありません」とバグダード大学の環境学専門かラティブ・ムフィド教授は語る。
河の大部分は軍事・戦闘地域になっており、河岸に住む家族は立ち退きを余儀なくされ、レストランは閉鎖させられています。漁師はバグダード地域での漁労を禁じられ、船の通行も禁じられています」とムフィドは言う。
戦争が出す廃棄物と毒物で河は汚染されており、貧しいサドルシティなどの人々には、チグリス河の汚染された水を飲む意外に手はない。専門家によると、これが原因でサドルシティに住む多くの住民が下痢に冒され、腎臓を悪くしている。
暑く乾燥した夏の間には水位も下がり泥の島が姿を現す。水位は毎年下がり続けているようである。
「チグリス河の水位が下がる問題はトルコのトロス山脈に端を発しています。トロス山脈とクルディスタンの間に多くのダムが作られたため水流が減っています。[ダム建設という]考えは、北部コミュニティを永年にわたって脅かしてきた洪水を防止するためのものですが、その結果、水量は以前の半分近くに減ってしまいました」と環境省の報道官セイフ・バラカーは言う。
船舶通行・漁業の禁止
軍はチグリス河での船舶通行と漁業を禁止している。漁労で生活していた多くの家族が生きる糧を剥奪されている。
「夜、漁をしようとして殺された漁師はたくさんいます。河岸に爆弾を仕掛けようとしているゲリラと出会ってしまったためです。今でも漁をしようとしている人を見かけますが、稀です」とバラカーは言う。
日中は軍の船が河をパトロールしており、要塞化したグリーンゾーン周辺などの重警備地域では狙撃手が24時間監視して、ゲリラが地域に入り込まないよう見張っている。
遺体
毎日、地元の警察がチグリス河から拷問を受けた痕のある遺体を引き揚げている。河の近くに住む人々は日常的に遺体が河に浮いている光景を目にしている。
バグダード南部のスワイラーでは状況はさらにひどい。この地域に政府は植物や河に捨てられたゴミを捕らえるために巨大な鉄網を設置したが、それが今や遺体の流れを止めている。
「2006年1月以来、少なくとも800人の遺体がこれらの鉄網から引き上げられました。この人数には、河の中部で引き上げられた遺体は含まれていません。遺体のほとんどは身元不明のまま引き取る家族も現れることなしに埋葬されます」と内務省調査局の高官アブデル=ワヒード・アザム大佐は言う。
アザムによると、チグリス河で見つかった遺体の90%に拷問の痕が見られるという。「遺体の状態がひどいので、検死をしても意味がありません。そして遺体の引き取り手が24時間以内に現れなければ自動的に埋葬されるのです」と彼は言う。
ひどい汚染
サダム・フセイン政権時代には、ゴミを河に投棄しているのが見つかったら処罰されていた。ところが今日ではゴミの山が河岸に積み上げられており、それによって河の流れが変わり、また地域が汚染されている。
「水流がダムによって減ったため、塩分濃度があがり、北部の町で投棄された汚染物質が 高水準に達していることとあいまって、水中酸素濃度が減っています。そのため水中生物が生息できない状況になっています」とバラカーは言う。
漁師たちは、数年前にはチグリス河で魚を捕るのは簡単だったが、今日では、網を使っても魚を捕るのは実質上不可能となっており、汚染や酸素不足で魚が水面を浮いているのが見えると語る。
「今では、収穫できる唯一の魚はといえば有毒廃棄物やゴミを食べて汚染で死んで水面に浮いているものだけです」と首都バグダードの漁師で56歳になるアテイフ・ファヒは言った。
このニュースは国連人道ニュース・情報サービスIRINから届けられるが、必ずしも国連やその機関の見解を反映するものではない。IRINの文書はすべて無料で再ポスト・再プリントできる。使用条件については、IRINのコピーライト・ページを参照のこと。IRINは、国連人道問題調整局のプロジェクト。
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投稿者:益岡