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東京【イラク戦で人気急落 英首相退陣 新首相、党勢挽回が課題】
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007051102015149.html
イラク戦で人気急落 英首相退陣 新首相、党勢挽回が課題
2007年5月11日 朝刊
【ロンドン=池田千晶】十年にわたり英労働党政権を率いたブレア首相は十日、来月二十七日に辞任することを明らかにした。若手リーダーとして圧倒的人気を誇った就任当初と終盤の情勢は一転、イラク戦争を機に強まった国民の反発や党内造反にさらされ続けた。支持率が最低レベルに落ち込んだ末の退陣で新政権は荒波の中での船出を余儀なくされる。
ブレア氏が初めて辞任を口にしたのは昨年五月。地方選で労働党が大敗したことを受け「後継者に十分な準備期間を与える」と発言。二〇〇九年にも予想される次期総選挙前に辞めるとした。
昨年九月には次期首相に確実視されるブラウン財務相周辺の下院議員が政権内の役職を抗議辞任する「クーデター」(英メディア)を起こし「一年以内の退陣」の表明に追い込まれた。絶大な存在感を示しながら辞めていく姿は、長期政権実現の末に保守党内で孤立したサッチャー元首相の退陣劇と重なる。
任期途中の辞任には、「不人気のブレアでは次の選挙を戦えない」との党内の思惑がある。二年後にも予定される保守党との決戦に向け、新しいリーダーの下での党勢回復が急務だからだ。
保守党は〇五年に当選二回の若手キャメロン氏を党首に選出、中道右派路線を掲げ上昇気流に乗る。支持率では既に労働党を逆転。三日の地方選で約九百議席増の躍進を遂げ「キャメロン効果」は浸透し始めている。
一方、ブラウン氏に対しては、首相としての指導力に疑問を唱える声も。四月末の世論調査では、「キャメロン政権」支持が45%に上り「ブラウン政権」を10ポイントリード。劣勢挽回(ばんかい)が新政権の大きな課題だ。
労働党支持の政治団体「コンパス」のニール・ローソン議長は「この十年で労働党の価値が失われ、保守党との違いが見えなくなった」と指摘。ブレア政権が進めた中道改革路線「第三の道」を提唱したアンソニー・ギデンス氏は「平等、社会民主主義の実現という労働党の理念をより明確にすることが求められている」と話している。
「外交政策失敗」野党厳しく批判
【ロンドン=岡安大助】ブレア首相の退陣表明について最大野党・保守党の影の国防相フォクス氏は十日、「英国と米国はここ数年、仲が良すぎて緊張感のない関係に陥っていた。イラクでの失敗が政治的な失敗のすべて」とコメントした。
自由民主党のキャンベル党首は「間違いだらけの十年間が閉塞(へいそく)感を生み出した。イラク戦争はこの五十年で最悪の外交政策だった」と批判。同党は下院解散と総選挙を求める要望書を提出した。
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