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読売【前CIA長官の回想録、イラク開戦責任「弁解」で議論再燃】
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http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070507i112.htm
前CIA長官の回想録、イラク開戦責任「弁解」で議論再燃
【ワシントン=坂元隆】1997年から2004年まで中央情報局(CIA)長官だったジョージ・テネット氏が先月末出版した回想録「嵐の中で」で、情報機関の責任者としてイラク開戦に関与した自らの立場を擁護する主張を展開し、政権内外から批判を浴びている。
イラク戦争には依然出口が見えず、大統領選も来年に迫っているだけに、「戦争責任論」は今後も尾を引きそうだ。
テネット前CIA長官は、イラク開戦3か月前の2002年12月に、イラクの大量破壊兵器の有無を尋ねたブッシュ大統領に対して、バスケットボールのシュートを決めるしぐさをしながら「スラムダンク(確実)ですよ」と答えたといわれる。開戦後、大量破壊兵器は存在しないことがわかり、テネット氏は大統領に間違った情報で開戦を決断させたとして厳しい批判を浴びてきた。
回想録でテネット氏は、「スラムダンク」と発言したこと自体は認めたものの、大統領との会合はイラク開戦の是非ではなく、イラクが大量破壊兵器を保有していることを公にすべきかどうかを協議するのが主眼だったと指摘し、「当然国民に知らせるべきだ」という意味で「スラムダンク」という言葉を使ったと弁明している。シュートのしぐさをしたことは否定し、発言を最初に報道したワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード記者が「真意を歪曲した」と非難した。
一方、テネット氏は、サダム・フセイン打倒後のイラク統治に明確な青写真のないまま米国が戦争に突入したことに懸念を感じていたと述べている。
また、2001年9月の米同時テロを警告する情報がありながら、テロを事前に防ぐことができなかったことについても、同年7月の段階で担当官を通じて、ライス国家安全保障担当補佐官(当時)に伝えたと主張している。
回想録が公になると、CIA元職員の一部はテネット氏の戦争責任を問う書簡を同氏に送り、本の収益の「少なくとも半分」を戦争で死傷した兵士やその家族に送るべきだと要請した。ライス国務長官は同時テロの事前警告を知らないと述べ、テネット氏から距離を置く態度を取っている。
また、世論も概してテネット氏に厳しく、ウッドワード氏は、「戦争が間違いだと思ったのなら、なぜ大統領に言わなかったのか」と批判、ニューヨーク・タイムズ紙のリベラル派コラムニスト、モーリーン・ダウド氏は「上司の言いなり」と酷評した。
これらの批判に、テネット氏は6日出演したNBCテレビで、「歴史を作り直すことはできない」と過ちを認めつつも、「開戦の決断をしたのは大統領」と述べ、最終責任は大統領にあるとの主張を繰り返している。
(2007年5月7日20時10分読売新聞)
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