★阿修羅♪ > 戦争91 > 702.html
 ★阿修羅♪
モスクワ在住日本人がみた(故)エリツィンの歴史的役割
http://www.asyura2.com/07/war91/msg/702.html
投稿者 大西健二 日時 2007 年 4 月 29 日 18:34:40: Zg4goyIkX.Zhg
 

【ロシア政治経済ジャーナル】NO455エリツィンさんの歴史的役割
http://www.mag2.com/m/0000012950.htm


★エリツィンさんの歴史的役割


全世界のRPEの皆さまこんにちは!

北野です。

前号を出した直後に、エリツィン前大統領が天国にいきました。

同氏の活躍と凋落を見てきた私としては、なんともいえない気分です。

(RPEはエリツィン時代末期にはじまった。)

今回は、エリツィンさんの歴史的役割を、プラス・マイナス両方考えてみま
す。


▼ロシア国民の恨み1−ソ連崩壊


ソ連崩壊の過程を振り返ると非常に複雑になります。

超簡単にお話しましょう。

レーガンさんが80年代の初め、アメリカの大統領になった。

それで、「ソ連は悪の帝国」とよび、軍拡競争をしかけます。

ケンカを売られた当時、ソ連の書記長はブレジネフさん。

1964年〜82年の長期政権で、末期はボケボケだったといわれています。

82年に彼がなくなり、その後アンドロポフ・チェルネンコと長老が後をつ
ぎます。(二人ともすぐ天国に行った)


85年、ゴルバチョフさんが書記長に就任。

そして、「ペレストロイカ」(再建)「グラスノスチ」(情報公開)など、西側
にうけのいい改革をはじめました。

90年2月、ゴルビーは

1、一党独裁の放棄 2、市場経済の導入 3、大統領制導入などの改
革を提案。


3月に、最初で最後のソ連大統領になります。

一方、ライバルのエリツィンさんは90年5月にロシア共和国最高会議議
長に就任。

91年6月には、選挙で勝利しロシア連邦大統領になります。

モスクワは、ソ連大統領ゴルバチョフとロシア連邦大統領エリツィンの
二重権力状態。

両者の力関係が決定的に変わったのが91年8月。

ゴルバチョフも「このままではやばい」とわかっていて、共和国の自治を
拡大する「新連邦条約」案を準備していました。

91年7月末までに、9共和国が新条約に同意していた。

ところが、これに反発したヤナーエフ副大統領(!)がクーデターを起こ
し、ゴルビーをクリミアに幽閉してしまいます。

エリツィンはこの時、戦車に乗ってクーデターを阻止し、英雄になりまし
た。

それで支持率が99%(推定)に跳ね上がった。

クーデターは失敗し、ゴルビーは8月22日、モスクワに帰還します。

しかし、国民の心は既に彼から離れていました。

1991年12月、エリツィンは、ソ連に代わる独立国家共同体〈CIS〉創設
を主導。

12月25日、ゴルバチョフは大統領を辞任し、ソ連は消滅しました。

エリツィンの「ロシアは独立する」「ソ連を消滅させる」という判断。

ロシア人の多く(特に年配の方)は、いまだに憤っているのです。

なぜか?

考えてみてください。

ロシアがソ連から独立する?

これって大英帝国からイギリスが独立する、大日本帝国から日本が独
立するのと同じくらい変なことでしょう?

(バルト3国がソ連から独立するとかは、自然な感覚)

「ロシアが統治していた世界最大の帝国を、エリツィンはわざわざ崩壊
させた」

これが、ロシア人の恨み1。


▼ロシア国民の恨み2−経済崩壊


ソ連が崩壊しても、豊かなら恨みも少なかったかもしれません。

エリツィンは、政権を奪取するまでの本能がすごかった。

しかし、経済のことはさっぱりわかりません。

年配の皆さんは、ソ連人がパンを買うために行列を作っている姿をみ
たことがあるでしょう。

私も並んだことがあります。

物不足がすごいロシアで、エリツィン政権は「価格の自由化」を実施。

高校生でもハイパーインフレになるのはわかります。

92年のGDP成長率は、マイナス14.5%(!!!)。

皆さんがロシア人でも、必ずエリツィンを恨むでしょう?

そして、同年のインフレ率は2600%(!!!)。

40年会社に勤めたAさんは、せっせと貯金に励み、1億ためて定年し
ました。

奥さんにいいます。

「今までかまってやれなくてごめんね。1億あるから、後は二人でまっ
たり暮らそう」

そこに2600%のハイパーインフレが襲った。

1億円の価値は、1年で380万円(涙)になってしまった。

まったり暮らせません。(涙)

今まで勤勉に働き、貯金に励んできたロシア国民は、極貧につきおと
されます。

国家財政は破綻し、年金もスズメの涙。

これがロシア国民の恨み2。


▼歴史的にみると


エリツィンさんの功績を一言でいえば、国民に自由を与えたことでしょう。

私がソ連に来たとき、先輩の外国人から「第1に公共の場で政治の
話はしないこと。第2に電話で大事な話をしないこと」と注意されまし
た。(どこでも聞かれている)

プーチンになって、「ソ連時代に回帰している」という人もいますが、当
時のことを知らないに違いありません。

例えば、

ソ連=共産党の一党独裁。
今=数え切れないほどの政党があり、下院は4党。


ソ連=テレビも新聞も国営。言論の自由一切なし。
今=クレムリンが3大テレビ局(ORT・RTR・NTV)を牛耳っているが、
その他は比較的自由。

日本の新聞(モスクワ支局)も、プーチン政権を好きに批判している。


ソ連=勝手に外国にいけない。
今=誰でも好きに外国にいける。


等々。

ロシア国民は年配の人を中心に、ソ連と経済を崩壊させたエリツィンを
うらんでいます。

しかし、ソ連を知らない若い世代は、「自由でよかったよね」と考えている。

そして、若い世代がドンドン増え、国が豊かになるにつれ、うらみは消え
ていくでしょう。

レーニンやスターリンの評価は時と共に下がり、エリツィンさんの評価は
時と共にあがっていくのです。


▼他の道はあったのか?


ソ連やロシアに他の道はあったのでしょうか?

私は、いくつかの可能性があったと思います。

第1に、ゴルバチョフが85年から中国型の改革をしていればどうでしょう
か。

グラスノスチとか、一党独裁の放棄はせず、段階的に経済だけ資本主
義化していく。

ゴルビーさんの失敗は、政治と経済をいきなり開放してしまったこと。


第2に、91年8月のクーデターが成功したら?

第3に、ゴルバチョフが決意してエリツィンを捕まえれば?(KGBはなん
どもオファーしていた)

第4に、新連邦条約が調印されていれば?


2〜4のパターンでは、一時しのぎに過ぎないかもしれません。

しかし、85年から中国型の改革をしていれば、ひょっとして、ソ連は恐ろ
しいほど強大になっていたかもしれません。

なんといっても、旧ソ連のカザフスタン・ウズベキスタン・トルクメニスタン
・アゼルバイジャンそしてロシアには、石油とガスがたっぷりあるのです
から。


▼日本にとっては?


ここまではロシア人の観点ですが、日本から見たらどうでしょう。

これは大恩人というべきでしょう。

1945年から91年まで、日本唯一の仮想敵はソ連でした。

エリツィンさんは、この巨大な北の白熊を殺した。

これは、西側陣営にとって「歴史的な偉業」です。


世界の構造は90年代初頭に変わりました。

ソ連は消滅し、日本ではバブルがはじけます。

東西ドイツは統一され、欧州は一つになりました。

仮想敵をなくしたアメリカは、遠慮なく日本を叩けるようになった。

「米国もまた、冷戦終結後の環境下において日本との関係の再検討を
迫られるだろう。

冷戦下にあって、米国政府は、日本との広範な安全保障関係を維持
するために、経済摩擦はできるだけ穏便に処理しようとしてきた。

いまや、そうした時期は過ぎ去ったように思われる。」
(冷戦後の日米同盟 フランシス・フクヤマ)

そして、クリントンは日本異質論者を使って叩きまくります。

日本もこれに反発し、アメリカに反抗的な細川さんや橋本さんが人気
を得ました。

90年代の首相たちは、アメリカばかりでなく、中国・ロシアとも良好な関
係を築こうとした。


エリツィンさんがぶち壊した世界システム。

しかし、今では各国がそれぞれのポジションを見つけています。

東西欧州は一体化し、EUは27カ国になっている。

中国はいつの間にかGDP世界4位、軍事費世界2位の大国になった。

ロシアもKGB軍団の返り咲きで、復活してきています。

日本だけは、いまだに迷走をつづけている。

どうすればいいのでしょうか?

長くなるので、下の情報を参考になさってください。(おわり)


【ロシア政治経済ジャーナル】NO455エリツィンさんの歴史的役割
http://www.mag2.com/m/0000012950.htm

 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ      HOME > 戦争91掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。