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毎日【国連:イラク政府を批判「市民犠牲隠ぺい」】
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http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20070426k0000e030063000c.html
国連:イラク政府を批判「市民犠牲隠ぺい」
【ニューヨーク小倉孝保】国連は25日に発表したイラクの人権状況に関する報告の中で、市民の犠牲者数などの情報を隠しているとイラク政府を批判し、透明性確保を求めた。一方、イラク側は、国連の情報は不適当と反論しており、情報の透明性を巡って両者の対立が鮮明になった。
国連によると、イラク政府は今年1〜3月の市民の犠牲者数を国連に報告しなかった。また、国連は2月に始まった安定化作戦で犠牲者数はいったん減少したものの「3月になって増えた」との疑念を示した。国連は「イラク政府は、データが人権状況の悪化を印象付けることを恐れ、隠している」と指摘し、イラク政府に透明性の確保を求めた。
また、ロイター通信によると、国連筋はイラク政府がデータを隠す正当な理由はまったくない、と批判。さらに、国連イラク支援団(UNAMI)の人権担当者は25日、バグダッドで会見し「イラク政府から、『数字が不愉快な状況を印象付けることになるのを懸念している』と言われた」と明らかにしたほか、「情報隠匿が宗派間対立につながっている」と強い不満を示した。
国連には、イラク政府が正確な情報を出さないことが国民に相互不信を植え付け、イスラム教シーア派と同スンニ派の宗派間対立の要因の一つになっているとの危機感がある。一方、イラク政府は「報告には信頼度の低い内容が含まれている」と国連の報告を真っ向から批判した。
UNAMIは1月、06年のイラク市民の死者を3万4452人、負傷者を3万6000人以上と発表。この時も、マリキ首相は、国連が犠牲者数を誇張したと批判した。
国連報告はまた、知識層や少数民族などが殺害される例が増加していると指摘、バグダッドの安定化作戦による拘束者の処遇に懸念を表明した。
◇「楽観論」強調で米・イラク一致
【カイロ高橋宗男】イラク政府が民間犠牲者数などの情報を隠ぺいしていると国連が指摘した背景として、イラク戦争への批判をかわしたい米国と、当事者能力への疑念を一掃したいイラク政府双方が、楽観論を強調したい点で利害を一致させていることが挙げられる。国連の指摘は、米国やイラク政府の「プロパガンダ(宣伝)」の陰で、情勢が泥沼化していることへの懸念の表れとも言える。
イラクのマリキ首相は今年2月中旬のバグダッド治安安定化作戦の本格化以降、「(イスラム教シーア派とスンニ派の)宗派間抗争は管理可能な状況」と作戦の成果を強調している。しかし、スンニ派住民にはシーア派主導の現政府に対する不信感が根強く残る。政府とスンニ派武装勢力が接触しているとの報道もあるが、これが直接国民融和につながるとの見方は少ない。
今年1月の米国のイラク新政策発表以降、イラク政府の発表には「見切り発車」が目立つのも事実だ。国内18県の公平な石油利益分配を目指す石油法も今年2月に閣議承認されたものの、連邦議会にまだ送付されておらず、依然としてクルド人勢力が自派の権益確保を狙っている。また(旧政権の)バース党追放政策を見直す法改正についても、足元のシーア派から異論が噴出している。
ブッシュ米政権は新政策の公表にあたり、今年6月までに成果を出すようマリキ首相に圧力をかけたとされる。イラク政府が肯定的な側面を強調する背景には、一向に好転しない国内状況への焦燥感があるとみられる。
毎日新聞 2007年4月26日 12時43分 (最終更新時間 4月26日 12時45分)
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