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(回答先: チョムスキー氏ら米政府の二重基準に抗議署名呼びかけ キューバ旅客機爆破犯の釈放に抗議 投稿者 これは大変だ 日時 2007 年 4 月 23 日 19:57:49)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070417/10220
「テロとの戦争」は崩壊寸前〜桜井春彦コラム
戦争拡大人脈がホワイトハウスをまだコントロールしているとは言うものの、アメリカ政府が掲げる「テロとの戦争」を取り巻く環境はますます厳しくなっている。例えば、「CIAのテロリスト」の扱いで迷走する一方、アフガニスタンやイラクでの戦争を指揮させる人物を見つけられないでいるのだ。
テキサス州の連邦判事、カサリーン・カードンが「CIAのテロリスト」ルイス・ポサダの保釈を認める裁決を出したのは4月6日のこと。ポサダは2005年5月にアメリカへ不法入国して逮捕されていた。この人物、1976年10月にキューバの旅客機CU455便を爆破して73名を殺害した犯人とされている。旅客機を爆破した直後、ベネズエラ当局に逮捕され、有罪判決を受けているのだ。逮捕の際、アメリカの首都・ワシントンDCの地図を持っていたのだが、そこには、ある亡命チリ人の移動ルートが書き込まれていた。
その亡命チリ人とは、サルバドール・アジェンデ政権の閣僚を務めたオルランド・レテリエル。1976年9月、キューバの旅客機が爆破される前の月にワシントンDCで暗殺された人物だ。なお、アジェンデ政権は1973年9月、CIAの支援を受けたアウグスト・ピノチェトのクーデターで倒されている。
旅客機爆破で有罪判決を受けた後、ポサダはベネズエラの刑務所に入れられたものの、1985年に脱獄、その後は中米でCIAの秘密工作に参加している。ニカラグアの反革命ゲリラ「コントラ」を支援していたのだが、このときにコカインの密輸に関係していたとも言われている。
その後もポサダは「テロ活動」を続け、2000年11月にはキューバのフィデル・カストロを暗殺しようと試みてパナマで逮捕され、2004年には懲役8年の判決を受けている。再び刑務所に入れられるのだが、その年の8月に恩赦で「自由の身」になっている。その当時、アメリカでは大統領選挙の真っ最中。亡命キューバ人の票を獲得するため、再選を狙うジョージ・W・ブッシュ大統領の陣営がパナマ政府に圧力を加えたのではないかともうわさされている。
もちろん、今でもベネズエラ政府はポサダを脱獄囚として追跡している。キューバ政府にも追われる身だ。「テロとの戦争」を掲げるブッシュ政権としては表に出てほしくない人物だが、ホンジュラスを経由して2005年3月にはフロリダ州マイアミに姿を現したとされている。密入国だ。そして逮捕、収監された。
そのポサダが保釈になれば、アメリカ政府と「テロリスト」との関係が注目されることは避けられない。密入国で有罪判決が出て国外追放にでもなれば、ベネズエラやキューバの政府が逮捕しようとするだろう。そうなるとポサダの口から何が飛び出してくるかわからない。
しかし、ポサダの件よりもブッシュ政権にとって深刻な問題はイラク情勢。4月12日には最も警備が厳重で安全だとされていたバグダッドの「グリーンゾーン」で爆破があり、議員を含む8名の死者が出ている。
アメリカ政府は軍隊のイラクへの増派を決めているのだが、それで情勢が好転するとは思えない。アメリカ軍の将軍たちもそう考えているようで、4月11日付のワシントンポスト紙によると、イラクとアフガニスタンでの戦闘を指揮する責任者を見つけられないでいる。就任要請を断った人物には、陸軍のジャック・キーン大将、空軍のジョセフ・ラルストン大将、そして海兵隊のジョン・シーハン大将が含まれていると伝えられている。
キーン大将はイラク増派を主張していた軍人で、ラルストン大将は昨年の夏、コンドリーザ・ライス国務長官の特使として活動していた。シーハン大将は国防政策委員会に所属していた経験があり、統合参謀本部議長の候補だったこともあると言われている。
ブッシュ政権が推進してきた「テロとの戦争」、つまりネオコン流の世界戦略は崩壊寸前にある。アメリカで権力バランスが変化していることを感じてなのか、安倍首相も若干の軌道修正を図っているようだが、ネオコン路線からは離脱できないでいる。
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桜井春彦(さくらい・はるひこ) 調査ジャーナリスト。早稲田大学理工学部卒。ロッキード事件の発覚を機に権力犯罪を調べ始める。1980年代半ばには大韓航空007便事件や大証券の不正をリサーチ。『軍事研究』誌で米情報機関のリポートを執筆。『世界』誌ではブッシュ政権の実態を発表。著書に『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房)、『アメリカ帝国はイランで墓穴を掘る』(洋泉社)がある。桜井ジャーナルでも「非公式情報」を発信中。