★阿修羅♪ > 戦争91 > 479.html
 ★阿修羅♪
地球温暖化は「大量破壊兵器」か〜国連安保理ではじめて議題に[JANJAN]
http://www.asyura2.com/07/war91/msg/479.html
投稿者 中田英寿 日時 2007 年 4 月 20 日 23:45:44: McoerUaxt7HLY
 

地球温暖化は「大量破壊兵器」か〜国連安保理ではじめて議題に

こんな文章がありました、なぜでしょうね。

 「仮に、冷戦時代、ソビエト連邦が秘密裏に、致命的な大量破壊兵器を新たに開発して配備していたことを、CIAが発見したと想定してみよう。……ソ連以外の生態系を、すべて破壊させることができる生物兵器(筆者注:地球温暖化の時限爆弾のこと)である。……

 今日世界で起こっている出来事を参考にすれば、それに対する報復を想像するのはたやすい。……1962年のキューバのミサイル危機も、これと比べればとるに足らない諍いのように見えたはずである。

 ところが、環境面での安全保障については、私たちがまったく異なる対応をするのはなぜだろうか?というのも、今述べた『大量破壊兵器』は、超大国が開発したわけではないものの、今現在、この地球上に存在しているからである。さらにまずいことに、この大量破壊兵器は、効果を発揮し始めている」(『ピーク・オイル・パニック』ジェレミー・レゲット著より)

 この疑問からすると、不思議なことに4月17日に初めて、安保理(国連安全保障理事会)の議題に「エネルギー、安全保障と気候」として、地球温暖化問題が取り上げられました。これは、2000年に初めてHIV/AIDS問題が安保理の議題として取り上げられたのを機会に、取り組みの優先順位が上がったことを先例としているのだそうです。

 僕がこの機関に関心を持ったのは、米国のイラク侵略の頃ですから、2002年から2003年に掛けてのことでしょう。世界大戦の再発を防ぐための機関が、危うく戦争の口実に使われかねない危機であり、拒否権を持つ常任理事国の鼎の軽重が問われた事件でした。

 これまでの経緯から類推すれば、どことは言いませんが、一部の常任理事国が猜疑心の塊になって、地球温暖化は実際に旧ソ連時代の気象兵器開発が原因なんだ、という陰謀論に基づいて議論を吹っかけ始めるかもしれません。

 それとも核軍縮のように、力のある国同士が、相手国の保有する火力発電所の数に上限を設けようとか、主要な大気汚染国同士でいわば経済的な軍縮交渉を始めよう、などということになるのでしょうか。

 残念ながら話はそこまでは進んでいないようです。たとえば水資源を巡る紛争や環境難民の流出、海面上昇による国境線の変更の問題のように、世界の紛争に気候変動が及ぼす悪影響が大きいことから、地球温暖化を安保理での議題にしていこう、という趣旨の提案だったようです。

 17日の第1回目の会合の様子が国連のホームページで放送されています。

 英語版 3時間17分 (安保理の放送のアーカイブはこちら)

 ベケット議長(イギリス)が口火を切り、延べ40カ国とグループから成る代表(及びオブザーバー)が意見を1回述べた後、会合の結論文書を作ることなく、次回会合へと延期されました。4月中には次回会合は予定されていないようですが、5月の議長国が続きをやると決めれば続いていくものなのか?それとも一旦終了なのか、は分かりません。
 
 読売:安保理が気候変動で初の公開討論、各国で立場に相違
 日経:温暖化、安保理で初討議・「国際紛争招く脅威」
 時事:国連安保理が初の気象変動問題討議

 などと、国内の新聞でも取り上げられています。

 議論での多数派は、紛争予防で関連はあるかも知れませんが、国連のほかの機関が正統的に扱っている問題なので、代表が15カ国に限られている安保理が出張ってくるのはおかしい、という趣旨のようです。

 但し、小島嶼国連合の国々は、海面上昇で危機をこうむりつつあるとして、対応を求める意見を数多く出していました。

 新聞報道では個別の国の意向が紹介されていますが、大きな動きを各国の国連代表がいきなり、ポンと表明することはありそうもなく、トップの政治家の出席と見解表明がないので、各国とも落としどころを探るための機会として今回の会合を利用しているものと思われます。

参考:

国連ニュースセンターによる発表:
Secretary-General calls for unity against climate change, better access to resources
国連事務総長パンギムン氏のスピーチ
国連安全保障理事会ホームページ

関連英文記事:
Climate change threatens security, UK tells UN
Beckett defends UN debate on climate change and conflict
Analysis: UN's climate-change debate
Britain hopes UN climate debate spurs policy push

 ブレアは有終の美を飾れるか

 今回の安保理で温暖化問題を討議するという動きを主導したのは、イギリスのブレア首相とマーガレット・ベケット外相でした。2人とも、一昨年の英国グレンイーグルスサミットで英国がG8の議長国をした年から、米国のブッシュ大統領を地球温暖化対策の国際的な枠組である京都議定書に引き戻すことを目指して働きかけてきました(ベケット外相は当時は環境相)。

 英国は新たな国内法で、2050年にCO2排出量の60%削減を目指すことになっており、温暖化対策のフロントランナーと言っても過言ではありません。とはいえ、ブレア首相はいつしかミイラ取りがミイラとなり、ここ1年くらいは米国が賛同できる枠組でさえあれば、どんなものも受け入れるかのような発言をし始めていたため、英国の環境NGOなどからは米国追従の姿勢ではダメだ、と見放されていました。

 その状況が一変したのは、米国内のさまざまな変化、つまり一昨年の[ハリケーン・カトリーナ」、昨年の中間選挙での共和党の退潮やアル・ゴアの映画『不都合な真実』の大ヒット、州政府による温暖化対策政策の林立といった動きによるのでしょう。

 ブレア首相は今年のG8サミットを花道として10年の長期政権から退く予定ですが、上記のような米国国内の動きのお陰で、米国を巻き込んだ合意という成果に、かつてなく近づいていると認識しているようです。

 今回の安保理での議論は、どのような成果が外に見える形で出るのかよく分かりませんが、6月にドイツで開催されるG8サミットでは温暖化問題が主要な課題とされていることから、サミット前の重要な前哨戦として一定の役割を果たしたものと思われます。

 問題は、どんな内容でも国際的な合意が出来さえすれば前進だ、といえる時期ではなくなっていることです。イラク戦争で米国のブッシュ政権に追従したことで、ブレア首相の歴史的な評価はすでに定まっているのでしょうが、米国の最も密接な同盟国という立場をテコにして、意味のある合意をブッシュ政権から取り付けて、世界をアッと言わせて有終の美を飾ってほしいものです。

 意味のある合意でなければ、ブッシュ後に(そして2008年の大統領選挙にアル・ゴアが出馬することに)期待した方がましです。アル・ゴアを選挙で勝たせたくないばかりに、ブッシュが温暖化政策の大転換を発表する、なんてことがあれば痛快なんですがね。

P.S.最初に紹介した疑問「環境面での安全保障については、私たちがまったく異なる対応をするのはなぜだろうか?」についてのありそうな答えは、こちら「「割引率」再々論−どうして夏休みの宿題はどたばたで仕上げるのか」をご覧ください。

 人類は進化の過程で、短期的な脅威により強く反応する本能が組み込まれているからだ、という説明ができるようです。だとすれば、地球温暖化の「結果の時代」に入っていく年ごとに、世間の反応の激しさはどんどん強まっていくことが想定されます。

(小倉正)

http://www.janjan.jp/world/0704/0704194037/1.php

 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ      HOME > 戦争91掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。