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イランがペルシャ湾で腕力を見せ付けた意味
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投稿者 これは大変だ 日時 2007 年 4 月 11 日 21:21:52: Kq60bFHMy4Bd.
 

http://www.eis-world.com/iza/070407.html


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The Economist 2007年4月7日 (Leaders)
イランと西側 Iran and the West
イランに振り回されて All at sea over Iran  (2007年4月4日)

イランがペルシャ湾で腕力を見せ付けた意味

英海軍兵士は正当な任務の遂行中に拘束された、と英国は言う。国内ではかつての大国にとって屈辱的な事件だと多くの人が不平を漏らしてきた。しかし実は、英国の海軍力の衰退は以前からいわれていることで、今に始まったことではない。2週間前にイランが15人の英兵を拘束した事件で今までと違っているのは、中東での新たな勢力均衡の出現に関して――またこれに関連して、米国のグローバルパワーの衰退、あるいは少なくとも外見上の衰退について――イランが発したメッセージである。

イランのマフムード・アハマディネジャド大統領は問題を早めに終結させ、拘束されている英兵を解放し、勝利を宣言することにした。しかし、拘束事件のそもそもの動機を見抜くのは難しい。手違いだったのかもしれないし、意図的な挑発だったのかもしれないし、国連の経済制裁で感じている圧力に対抗しようとしたのかもしれない。動機が何であれ、明らかな教訓が1つある。イランを威嚇するのは難しいということだ。正直なところ、米国人を誘拐するより英国に手を出すほうが無難な策である。とはいえ英軍は、3重の信託を受けてイラクの国内と領海内で軍事行動を取っている。つまり、英軍は米国の最友好国の軍として、選挙で成立したイラク政府を支援するために、国連の命に従い行動しているのである。イランが進んで英国のみならず超大国の米国、イラク政府、国連安全保障理事会に真っ向から盾つくのは、これから中東で勢力を持つのはイランであるという確信の表れである。


イランの台頭は避けられない

そうかもしれない。アフガニスタンのタリバン、イラクのサダム・フセインに取り囲まれていたイランは、ジョージ・ブッシュが次々と2つの敵を倒すのを楽しげに見守ってきた。イランにはイラクのシーア派同胞が英国よりイランとの良好な関係を気にかけていることが分かっている。いずれにせよ、イラク南部に駐留している小規模の英軍部隊は、いずれ撤退する。イランは国連も恐れていない。最近、安保理が2度にわたってウラン濃縮停止を命じ、経済制裁を科したにもかかわらず、遠心分離機はまわり続けている。

イランの立場が良くなるにつれ、米国の立場は悪くなる。米国ほど敵を粉砕する軍事力がある国はないし、それだけの力を手に入れそうな国もない。しかし、超大国である米国がアフガニスタンとイラクで勝利しても、イラクでも、さらに広範な中東でも、パクスアメリカーナ[訳注:米国による平和]どころか、和平を押し付けることもできなかった。米国はシリアを脅えさせてイランとの同盟関係を終わらせることもできなかった。ブッシュ大統領はアラブ民主主義の大義を推進し、パレスチナに和平をもたらすことが目的だと表明したが、その目的を達成できずにいる。実際、昨年夏のレバノン戦争では、イスラエルがイランと同盟関係にあるヒズボラを粉砕できず、米国は落胆し、イランは勢いづいた。

時代の変化を確実に示す兆候をサウジアラビアの行動に見て取れる。湾岸アラブ諸国は同盟国に報酬を支払って、隣国イランを撃退してきた。その歴史は長い。1960年代までは英国が、1980年代はサダム・フセインが彼らの保護者であった。そして、サダム・フセインが1990年にクウェートに侵攻した後、サウジアラビアはフセイン打倒のために米国の支持を取り付けた。

だが今は、サウジアラビアでさえ超大国に頼るのが賢明なことなのかと疑問に思っている。米国はアラブ世界で人気がないだけでなく、その同盟国としての信頼性も疑問視されている。米国の有権者たちは外国での冒険に反対し、民主党はホワイト・ハウスが外交政策を支配することに異議を申し立てている(今週、ナンシー・ペロシ下院議長はブッシュ大統領を公然と無視、ダマスカスでシリアのバシャール・アサド大統領と会見した)。パレスチナとレバノンでは、サウジアラビアが米国と距離を置くかたわら、独自の立場で和平追求に乗り出した。アブドラ国王は、先週、アラブ連盟サミットの開会式で米軍のイラク駐留は「外国による不法占領」だと述べ、米政府の友人たちを驚かせた。

侵攻から4年が経ち、イラクでの大失敗は米国の外交をいたるところで苦しめ続けている。欧州で複数の地域が米国のミサイル防衛計画に反対しているのも、それが原因の1つである。また、英国が安保理に英兵拘束事件は「遺憾」であるとの表明を求めたのに熱意のある支持を得られず、代わりに「重大な懸念」であるとの表現に甘んじたのもそのためである。他の安保理常任理事国―ロ仏中―は2003年に米・英に願いを無視されたことを未だに恨んでいるので、いまアングロサクソンが困難を切り抜けるのを熱心に助けはしない。安保理は核開発問題でイランに制裁を科したが、ロ中は制裁範囲に制限をつけた。イランの核爆弾保有を歓迎する国はないが、米国が言うようにイランの核開発が明白な当面の危険だという意見にすべての国が同意しているわけではない。米国はイラクの時も全く同じことを言ったではないか。

イランにどう対応するか

世界がイランの判断に迷っているとすれば、米国自身も判断に迷っている。イランは好戦的で、石油成金の人口7千万人のイスラム神権政治の国で、大統領はホロコーストを否定し、イスラエルが消えてなくなることを切に願い、米国を大悪魔、英国を小悪魔と呼んでいる。イランが何らかの問題を呈している点が議論になっているのではない。この国をどうするかについて意見が分かれているのだ。

イランが地域の支配的勢力になるのは不可避なのだから、イラク問題に苦しんでいる米国としては、ちょうどリチャード・ニクソン氏とヘンリー・キッシンジャー氏がベトナムからの米軍撤退を容易にするために中国に手を差し伸べたのと同じように、イラクとの和解を求めるべきだ、とあるグループはいう。他のグループは米国が提案をすれば、それは弱さと見られるだろうと警告する。そもそも、こういう論争が起きるのは、イランの派閥政治と真意が全く分からないからである。イランは現実主義的な支配体制を持つ国で、米国がイランの正当性と地域での重要性を認めれば、その見返りに喜んで核開発をあきらめ、パレスチナに対する態度を和らげるだろうか。それとも、イランの革命のDNAには反西洋思想が永遠に組み込まれているのだろうか。英兵拘束問題は、少なくともイランの強力な派閥の1つが西側に公然と反抗するのを恐れていないということを除けば、ほとんど何の手がかりも与えてくれない。しかしこの場合でさえ、イランの大言壮語も悪行も、どこまでなら国際世論が離反しないかを抜け目なく計算した上でのことだった。

英兵が解放されている今、米国は中東地域で自らの姿勢を実際よりさらに弱く見せないよう、行動には十分に慎重を期すべきである。懇願する必要はない。米国は世界の他の国と共に、イランにウラン濃縮停止を要求し続けるべきである。しかし、イランが核兵器を求めてはいないし、パレスチナ問題での妥協を支持するという自らの主張を証明できるのなら、イランとの取引の可能性を探ってみてはどうだろう。そうすれば、イランの意図を試すだけでなく、イラン政府内での議論を正しい方向に向ける一助にさえなるかもしれない。


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