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http://0000000000.net/p-navi/info/news/200705092119.htm から転載。
「誰がこの苦しみを負うのか」 ─イスラエル軍のガス攻撃を受けて
昨日(8日・火)、エルサレムでイスラエル軍のブルドーザーが障害のある子どもたちのための協会が入っている建物を取り壊した というニュースが入っている。パレスチナに障害を持つ人は多い。イスラエル軍からの攻撃を受けて、一命を取り留めたものの、生涯に渡る傷を負うことがかなりあるからだ。生後9カ月のときにイスラエル軍のガス攻撃を受けて、全身麻痺になっているムハンマドくんの記事を読んだ。
生後9カ月だった5年前、ムハンマドくんは祖母と一緒にラマッラー郊外の自宅にいた。イスラエル軍は家のすぐ近くの丘に移動してきて、周辺に向けて、銃撃やガス弾発射を繰り広げていた。そのガスが自宅の居間に入り込んできて、赤ちゃんだったムハンマドは激しく身体を振るわせ、その後、広範囲に麻痺を引き起こす発作に襲われた。祖母はムハンマドくんに駆け寄ったが、自分自身もガスを吸い込み、全身に焼け付くような感覚を感じた。
ムハンマドくんが動かなくなったのを見た祖母は、外にいる兵士に懇願し、道を開けてもらい、病院へとムハンマドくんを運んだ。
病院でムハンマドくんは神経系統のひどい劣化によって、植物状態に陥っているという診断を受けた。
パレスチナ保健省とUNRWAはムハンマドくんに様々な検査を行い、彼の両親もムハンマドくんの症状を起こした原因に確信を持つようになった。遺伝子の検査の後、医師たちはムハンマドの状態が遺伝性のものではなく、染色体の異常でもなく、毒性のガスの結果であることを立証した。
それから、5年。その間に頑健だったムハンマドの祖父は精神的に参り、ガス事件の1年後に心臓病とストレスによって亡くなっている。ムハンマドは6歳になった。しかし、ひどい神経発達の遅延、ほとんどコントロールできないけいれん発作、視覚障害、普通にたべられることのできない状態によって、苦しんでいる。
ムハンマドくんは普通に食べる(嚥下する)ことができないので、直接胃まで到達する栄養カテーテルで、特別な処方の"Pediasure"を摂取している。しかし、これがパレスチナでは入手できないものなので、父親のサミーさんは3カ月ごとにヨルダンに処方と抗けいれん剤をもって出かけ、ムハンマドくん用の流動食を作ってもらっている。このヨルダンに出かける度に、サミーさんはイスラエルに関税を取られ、合計すると一年に数百ドルものお金を使っている。
さらに加えて、様々な出費をサミーさんたちは強いられている。流動食のための旅行代、おむつ、床ずれをふせぐための特製ベッドのメンテナンス、薬代。片時も離れることができない介護も家族が負っている。
ムハンマドくんの両親は、ムハンマドくんを世話するために大金を使っているので、息子をこのような身体にしたイスラエル軍に対する法的な措置を講じるための資金にも事欠いている。
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( Paralysis, prophets and forgiveness Anna Baltzer, 7 May 2007より 最初の部分をダイジェストで)
[たとえ、法的に訴えを行えたとしても、このムハンマドくん一家がイスラエルから被害を認められて補償を受けられるというような見通しはほとんど立たない。そうやって、放置されている人たちがどれだけいることか。
上記の記事はユダヤ系米国人の著者が、このように障害をもって生きているパレスチナ人を訪ね歩いた手記になっていて、ある青年が自分に障害を負わせた兵士に宛てた「赦し」の手紙も引用されている(これはとても心を揺り動かすものだ。また、紹介することができればよいのだけれど)。
それにしても、ムハンマドくんとその家族が背負っているものは、あまりにも重い。家族の絶え間ない努力だけで、ムハンマドくんは生きながらえている。この時期にイスラエル軍は「毒性ガス」と思われるものをガザでも西岸でも使用しているが、そのこと自体も問われなければいけないだろう。]