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□世界金融不安か、米中崩壊か [インターネット行政調査新聞]
http://www.gyouseinews.com/international/apr2007/001.html
間もなく投票が行われる東京都知事選、4月22日投票の統一地方選、そして3カ月後には参院選と、日本の未来を左右する選挙が続くが、今年は海外もまた変化の多い年になっている。フランス、英国の選挙、中国の第17回共産党大会(今秋=5年ぶり)、韓国大統領選(年末)と続き、来年には台湾総統選、米大統領選がある。世界が変革する周期に突入しているのだ。国際情勢の変化は私たちの日々の生活に必ず大きな影響をもたらす。最近のさまざまな情勢を俯瞰しつつ、新たな生き様を考えてみたい。
世界金融不安か、米中崩壊か
2月27日に「上海発の世界同時株安」というニュースが駆け巡り、新聞の見出しを見た人々は衝撃を受けた。
この1週間前に日銀が公定歩合を引き上げたことが上海市場を刺激した等といった説も流され、日本を悪者にする米経済学者もいた。上海株安の前日2月26日にグリーンスパン(前FRB議長)が「米経済がリセッション局面に入る」と発言したことが株安局面を生み出したとの説も流された。中国経済がバブル崩壊に向かっているとか、米国経済の冷え込み――とくに建設バブル崩壊が世界同時株安に発展したと解説する学者先生もいた。しかし実際のところ、正確な分析は誰にもできていない。
新聞の見出しでは「世界同時株安」と表現されたが、表現が大袈裟すぎた。実体はそれほどのものではなかった。上海市場の下落率は僅か9%程度であり、ニューヨーク、東京は確かに下落を見せたもののすぐに復活。なにより欧州市場はまったく影響を受けなかった。
今回の同時株安で明確になったことがいくつかある。第一に、中国経済が間違いなくバブル期にあるということだ。これについては後に詳述するが、日本のバブル崩壊時とは様相がかなり異なり、強かな中国が浮き上がってくる。
第二に、米国経済が発展局面を終え停滞に向かうことだ。それは同時に、米国に籍を置く金融資本が海外に移動する可能性が高まったと言えるだろう。
第三に、これまで世界を動かしてきた「ドル一極支配体制」が崩壊を見せ始め、「ドル・ユーロ並立」もしくはさらなる「多極化」に向かいつつあることだ。
そして最大の懸念は、世界の通貨供給量が実体経済と大きく乖離していることが明らかにされたことだ。正確な数字を出すことは不可能だが、推定では実体経済の百倍程度のカネが世の中に出回っていると考えられる。
歴史をふり返ると、第一次大戦も第二次大戦も、実体経済と市場経済との乖離を「ご破算」にするために仕掛けられたと分析することも可能だ。市場経済がここまで肥大化し、世界が完全にグローバル化した現在は、第一次大戦、第二次大戦時よりも遥かに危険な状態にある。どこかで穴が穿けば、一瞬にすべてが崩壊する危険性を孕んでいる。実体経済との乖離を解消するための一つの解決策として、「中東発・世界大戦争」というシナリオが考えられないわけではない。しかしイラン情勢を精査すれば理解できるが大戦争勃発の可能性は非常に少ない。
それでは幻のように肥大化した市場経済はどうなるのか?どこかで「世界同時大暴落、大恐慌」が勃発するのが必然と考えて良いだろう。また、これまでは限られた人しか知らなかったこの事実が、今回の「同時株安」で世界的に広められたことに意味がある。大暴落、大崩壊の刻が極めて近いと考えて良い。
ご存じだろうが、最近、銀行ATMからの現金振込は10万円以内という制限が付けられた。テロ対策とか、振り込め詐欺対策などと説明されているが、それは単なる言い訳でしかない。現実は、やがて来る世界大恐慌あるいは経済不安に対処するための方策なのだ。
だがその恐怖の瞬間は、いつ、どんな形でやってくるのか?
「中国経済」の底力
2008年の北京五輪、あるいは2010年の上海万博を契機として中国が崩壊するのではないかとの説が真剣に語られている。中国が崩壊すれば、間違いなく世界経済は壊滅状態に追い込まれる。では真相はどうなのか?
自国の実態すら把握しきれない状況にありながら隣国の正確な未来図がわかるはずはないのだが、情報通の意見や中国国内から漏れ伝えられる情報を下に分析してみよう。
五輪や万博だけではなく、中国では「新幹線開通」「広州アジア大会」とイベントが目白押しだ。では五輪や万博について中国のどの程度の人が興味を持っているだろうか――。
北京市民の半分は五輪開催という情報を知らない。上海市民の9割は五輪開催を知らない。全体として(正確な数字ではないが感覚的に)中国人の8割以上が北京五輪を知らず、知っている人でも五輪開催に興味を持っている者は限りなくゼロに近い。上海万博に関しても同様だ。
人々がまったく無関心である以上、中国の国内的要因として五輪や万博が経済崩壊の契機になることはない。ところで、五輪や万博に興味を持たない中国の庶民大衆はいったい何に興味を持っているのか? 答えは簡単明瞭、カネ儲けである。カネ儲け以外には何も考えられないというのが実態なのだ。
じつは、ここに中国の強さが隠されている。
中国経済がバブルを迎えているという認識を持ちながら、なお貪欲に、命懸けでカネに固執する人々。その姿は、好景気に浮かれて遊び狂った日本のバブル期の投資家たちとは異なる。中国には膨大量の不良債権があるが(推定5000億〜1兆ドル)、中国への資金流入、投資は西側諸国の予測を遥かに超えている。日本のバブル崩壊という歴史を正確に知りつつ、なお勝利に向かって驀進しているのだ。
現実に中国では、上海を中心として豪邸マンション(144平米以上)の即日完売状況が続き、売られた豪邸には夜でも灯りが灯らない。投機としてマンションを購入しているのだから住んでいるわけではないのだ。命懸けの真剣な投機が活発に行われている現状がここからも理解できるだろう。
株式市場にしても同様だ。日本では、新製品が開発されたとか、新工場が設立されたとか、企業の業績を勘案して株が売買されているが、中国ではそうした情報の上に、経営者が党の大物だとか、新工場長に党大物の縁戚が就いたとか、微細な人的情報、人間関係が調べあげられている。欧米スタイルにアジア的要素が加わり、そのうえカネに対する想像を絶する貪欲さがあるのだ。外国資本に旨い汁を吸われて簡単にバブル崩壊……といった日本の歴史が中国で再現されることは、まず考えられない。
真の大国へ変貌を遂げる中国
今秋、中国では5年ぶりの共産党大会(第17回)が開かれる。党内部での激烈な争闘がどのようになるか内外が注目しているところだ。対立とは具体的に、「江沢民+上海派」と「胡錦涛+ 庶民派」という構図になっている。
現在の政治局常務委員は9人。序列順に並べると以下のようになる。
胡錦涛 総書記・国家主席・軍事委員会主席
呉邦国 全人代常任委員長(元上海派・現在中立派)
温家宝 首相(天津出身)
賈慶林 政商協議会主席(江沢民派)
曾慶紅 国家副主席(元上海派黒幕・胡錦涛寄り)
黄菊 元上海書記(江沢民派・上海派)
呉官正 元山東書記(元上海派・現在中立派)
李長春 元広東書記 (上海派)
羅干 (李鵬の直系・守旧派)
この9人のうち、上位3人以外は今秋の党大会で引退する(曾慶紅が残る可能性はある)。その後釜に李克強、李源潮、胡春華、汪洋等々といった名前が並べられているが、江沢民+上海派に厳しい現状であることは間違いない。
中国国内情勢は不透明で、党大会以降にその方向性が定まるだろう。だが引き続き、華北経済圏・上海経済圏・珠海経済圏(広東)の三国志的対立の構図は継続されると考えられる。また、格差に対する不満解消の必要もあり、中央が力を入れている「天津開発」と「重慶開発」がこれに続く。天津開発(温家宝首相の故地)には300億ドル、重慶開発には380億ドルが投入されるが、到底足りるものではなく、ここに1円でも多くの外国(主に日本)資金を導入しようと躍起になっている。トヨタをターゲットにした天津―名古屋の定期便どころか、想像を絶するインフラまで登場するかもしれない。
外交面でも中国の強かさが目立っている。レバノンに1000名の兵を出兵させて国連での立場を強化するいっぽう、資源輸入国として、中東やアフリカ諸国へ急接近を図っている。いっぽうでは、フィリピンやマレーシア、インドネシアへの札束攻勢も抜かりなく、間違いなく「堂々たる大国」への道を歩み始めたと見て良い。
人民元の切り上げ問題に関しても実に巧妙な駆け引き、立ち回りを見せている。ポールソン米財務長官(親中国派・訪中歴700回以上)をはじめ米連邦議会が歯軋りするほどの狡猾さと表現できるほどだ。
「中国崩壊」を考える
渦巻く庶民大衆の不満を何とか押さえ込み、外国から流入してくる資金をブラックホールのように呑み込み、活発な外交を展開するいっぽうで軍事力を強大化させている中国は、ほんとうに大国として安定していくのだろうか。――現実はそれほど楽観できるものではない。
中国ウォッチャーたちが危惧している中国の不安は、概略以下の通りだ。それぞれが現体制を破壊できるパワーを持っているだけに、主導部が舵取り一つ間違えただけで大混乱が生じる。
不満、不安の蔓延……主に所得格差から生じる不満。ここに「法輪功」が加わり、「太平天国の乱」または「黄巾の乱」の直前的な雰囲気が国土に充満している。
水不足と環境汚染……黄河ではかなりの箇所で水が消えているが、長江(揚子江)も水不足が顕著。上流工業地帯の乱使用が下流の水不足を助長し水資源争い深刻化。大河の水不足が原因で東シナ海に赤潮が異常発生し、漁獲資源壊滅。
農村、農業問題の深刻化……砂漠化が進み農作物被害甚大。黄砂拡大も膨大。1億5000万人の農民が農地を捨てざるを得ない状況。民族大移動、流民の大量発生がいつ起きても不思議でない状況。
大量失業問題……大学卒470万人のうち、就職できる者は半分以下。反体制運動を主導するインテリ層の異常拡大。
小皇帝症候群問題……少子化政策(1人っ子政策)の結果、2人の祖父、2人の祖母、それに父母の計6人が一人の子供を溺愛する状況が続いた。結果、中国の若年世代は超我侭、超自分本位といった変形人間として成長。個人主義が徹底し、文化、民族、国家、人類…といった視野に立てる人間が皆無に。
経済格差の拡大……都市と農村の経済格差は4倍から10倍超へ。さらに上海経済圏の肥大化は上海憎悪に発展。華北・上海・広東の経済圏の独立を大衆レベルが了承できる状態に陥ってきた。
この他にも、「産業構造の変革」(近代化への対処不能)とか「無戸籍人間の増大」(2億人超)といった問題を抱えている。だが本紙が中国に対し最も危惧しているのは、中華文明そのものの崩壊である。
オリンピック、万博、新幹線開通、アジア大会……。現在の中国を鼓舞させているこれらの言葉は、日本だけではなく世界の多くの国々が通過してきたイベントであり、そこに魅力を感じる外国人はいない。いや、そんな単純なものだけではない。中国経済の原動力の一つとなっている造船も自動車も、すべて輸入技術に頼っている。船舶スクリューも自動車用鋼鈑も日本製だから、結果として日本を潤しているに過ぎない。現在の中国には、どこを捜しても「中華」がない。中国オリジナルがない。略字(新字)の採用により中国古典を学べる者はごく僅かだけになってしまった。――数千年の歴史を持つ中国文明は、いま継承者を失って、消滅への坂を転げ落ちているところなのだ。
北朝鮮の異常シグナルは何を意味するか
中国経済、中国政界の事情はともかく、世界情勢のなかで気にかかるのは、何と言っても北朝鮮だ。中東は相変わらずきな臭いが、北朝鮮も決して落ち着いているわけではない。
2月に再開された北朝鮮をめぐる6カ国協議とその進行状況だが、北朝鮮の強硬姿勢が目につく。反対に、米国のヒル国務次官補の憔悴ぶりは目を覆うばかりだ。2月に来日したヒル次官補は、「この仕事を終えたらこの問題には二度と関わるつもりはない。レッドソックスの本拠地のスタンドで松坂大輔のピッチングに見入っている私しか見かけることはないだろう。そこ以外には、私はもう公式の場に出るつもりがない」と冗談混じりで語ったが、この言葉にはヒルの苛立ちと憤懣が透けて見える。
ヒル次官補の苛立ちは北朝鮮政府に対するだけのものではない。米国内の「ネオコン派」対「国際協調派」の確執に翻弄されることに対する苛立ちのほうが大きいのだろう。
1月にドイツ・ベルリンで行われた米朝会談は予想以上の成果を両国にもたらした。これまで米朝は北京で会合を開いてきた。北京で米朝が話し合えば、その内容は当然ながら中国に筒抜けになる。中国が「盗聴器など仕掛けていない」と宣言しても、米朝両国ともそれを信用するはずはない。米朝協議がベルリンで開催されたことは、必然として両国に本音を語らせ、歩み寄りが可能になったと考えられる。
2月の6カ国協議では5つの作業部会の設置が決まり、先陣を切って3月上旬に米朝作業部会が開催された。米側は合意の前進を図るために金桂寛外務次官一行を最高度のVIP待遇でもてなし、具体的成果がなかったにも関わらず両国とも「建設的な会合だった」と評価している。ヒル次官補は、「会合の成功が非常に重要だと北朝鮮に力説した」と述べ、北朝鮮が寧辺の核施設の稼動停止、封印などを履行するかどうかを重視していると、従来どおり核開発計画に対する解明を最大の眼目としていると語っている。
ヒル次官補は日本が最重要テーマとしている拉致問題に関しては、日朝作業部会に預けるという姿勢を変えていない。
米朝作業部会の後に、これを受けた形で日朝国交正常化作業部会が3月7日にハノイの日本大使館で開催された。しかし拉致問題に関して、北朝鮮側は「解決済み」との姿勢をまったく崩さず、具体的進展を求める日本側と真っ向から対立。午後から予定されていた協議に出席しなかった。翌8日には北朝鮮大使館で話し合いが再開されたが、それも僅か45分で終了してしまった。
北朝鮮側は明らかに日朝作業部会を進展させようとする意思を持っていない。いわばアリバイ証明的に日本側との話し合いの場を持っただけなのだ。北朝鮮は、米国との交渉次第ですべての問題が解決すると考えているのだ。事実、北朝鮮は「日本は6カ国協議に参加する資格はない。なぜなら日本は米国の属国であって独立主権国家ではないからだ」と公言し、「米中露と共和国(北朝鮮)4カ国による北東アジア核保有国会議」が重要だと提言している。国際政治力学を考えればこれは現実的な認識であり、実際のところ米・中・露も本音ではそう考えているだろう。さらに3月30日に北朝鮮は、「6カ国協議は朝鮮半島非核化の実現に趣旨を置いており、6カ国協議共同宣言に基づく参加国の経済・エネルギー支援も、その一環のものだ」と発表。にもかかわらず、「協議に参加する資格も名分もない日本が公然と間に入り内外で画策していることは、大きな懸念である」と批判した。
これは北朝鮮が日本に対し、「米国に隷属している以上、今後ずっと属国の悲哀を味わうことになるぞ」と忠告しているとも考えられる。米国はそれを理解したうえで「日本が属国から脱却することを許さない」という立場をあからさまに見せつけている。米下院で慰安婦問題を「日本政府による軍の強制売春システム」と定義し、日本政府の公式謝罪と歴史責任の受諾を迫り、教育の場にまでそれを浸透させようとするのは、まさに安倍晋三政権の対米自立指向に対する強烈な圧力行動なのだ。
米朝秘密交渉の成果
米財務省は3月14日に、北朝鮮に対する金融制裁の一環として行っていたマカオの口座凍結を解除すると発表した。
これはバンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮関連口座2400万ドルのうちの約半分、1200万ドル分に関し、凍結を解除するとしたものだが、その最終判断はBDAに任せられた形になっている。一部では半分ではなく全面解除になるのではないかとの予測も流されている。2400万ドルと言えば日本円にして28億円。たしかに巨額だが、ヒル国務次官補が大好きな松坂大輔がレッドソックスと交わした契約金(60億円+α)の半分以下の額。北朝鮮にとってみれば大金かもしれないが、現実にはこの程度のカネで北朝鮮が苦しむほどのものではない。今回の凍結口座の解除は、金額の問題以上に米朝両国の政治力学の問題なのだ。
3月29日には米ライス国務長官が記者会見で、「北朝鮮が原子炉の稼働を停止し、来月中にも北朝鮮核兵器計画の最終的解体に着手できることに依然、希望を持っている」と強調。米朝間の交渉がうまく流れていることを印象づけようと必死になっている。今年最初のベルリンでの米朝会談以降、国際情勢分析家たちのなかには、「北朝鮮の全面勝利。米国は北朝鮮に使いこなされて、言わば北のパシリ、北の下請けになっているのでは」と酷評する者まで出ているほどだ。
明らかに米朝間に何らかの秘密合議がなされたと考えて良い。その結果が、にこやかに笑顔をふりまく金桂寛外務次官の態度に表れているのだろう。では、米朝間の秘密合意とはいったい何か? 残念ながら想像することは難しい。ただしこの件に関して、本紙として一つ気にかかる問題があるのだ。それは横田めぐみさん情報である。
横田めぐみさん情報
3月25日に、拉致被害者家族会代表の横田滋さん(74歳)が、「年内に代表を退く意向を固めた」という記事が流された。報道によると、代表引退については4月下旬の拉致被害者家族会総会の場で提案する予定だという。
滋さんは「体調が芳しくなく、業務が集まる代表職は体力的にきつい。いつまでも続けるのは良くない」と語り、妻の早紀江さんも「体力的にもう限界という思いがあり、区切りのいい時だと思う」と語っている。さらに早紀江さんは、「不思議なことが起きるかもしれない」「めぐみが生還することを期待しています」と期待を籠めて話している。ここにきて、なお愛娘が生きて還ることを切望する言葉に胸が詰まる思いがする。
横田めぐみさんに関しては、これまでに無数の情報が流出してきた。橋本龍太郎政権時代の平成10年(1998年)には、「日本から共和国に来た少女が成人し、結婚して子供ももうけた。だがその結婚は不幸な結果となり、母親は一人になって毎晩泣いている」という話が流れてきた。「できることなら彼女の両親を平壌に連れてくるか、または中国などで会わせることはできないだろうか」といった話もあった。その後しばらくは、この物語の延長上にある女性の情報が流れ、それが横田めぐみさんを指すものだと推測されていた。これらはすべて、北朝鮮が流した情報だ。
平成14年(2002年)9月の小泉純一郎による訪朝、日朝平壌宣言、拉致被害者5人の帰還という流れのなかでは、公式的には横田めぐみさん死亡の情報が流されていた。だが日本政府の内部でも、ウラ情報として、めぐみさんが生存していることが囁かれていた。そうしたなかで、横田めぐみさん遺骨問題が発生する。
その前後から、主にロシア発の情報として、「めぐみさんは生存」「平壌で政府情報関係の職務に就いている」というものが流れてきた。すると続いて、めぐみさんはヨーロッパで活動中とか、めぐみさんは諜報関係の部署に就いているという興味深い情報が囁かれるようになる。その最終形のように出てきた情報が「横田めぐみさんは北朝鮮国家安全保安部局長」という仰天情報だった。ちなみに国家安全保安部とは北朝鮮の最高情報機関で、その局長ともなれば国家の中枢。北朝鮮の本質的な頭脳にあたる部署だ。
だがさらに衝撃的な話が続く。さまざまな形で漏洩してきた「横田めぐみさんは北朝鮮の重要ポストに就いている」という情報の出所は、すべて北朝鮮発のものだったということだ。
北朝鮮に対する制裁が続き、万景峰号が日本にやって来ない状況が続いた。その結果、実際のところ、日本の情報機関には北朝鮮情報がまったく入らなくなってしまった。いま北の情報は、韓国や中国、あるいは米露等から漏れてくるものに頼るだけの現実なのだ。ところが、さらなる衝撃情報が本紙にもたらされた。情報の出所を明らかにすることはできないが、欧州関係の国家的諜報機関からの情報と考えていただきたい。その情報によると、「横田めぐみさんは欧州の某国にいる。彼女の立場は、国家安全保安部局長よりも高位」というものなのだ。国家安全保安部局長よりも高位となれば、金正日に匹敵する。
話は変わる。3月初旬の米朝作業部会を終えた段階で、米国のヒル国務次官補は拉致問題について、「その問題は日朝作業部会に預ける」と語ったが、その後に興味深い発言をしている。それは、「拉致問題全体にこだわるのではなく、横田めぐみさんはどこにいるのか?という問題だけに絞って北を問い詰めてみなさい」というものだ。
これは何を意味しているのか?残念ながらハノイでの日朝国交正常化部会で、日本側がこの一点に絞って問い詰めたという話はない。もし日本が独自の諜報能力で横田めぐみさんの居所を察知できれば、問題は一気に解決に向かうかもしれないのだ。
いくつかの情報を整理して、本紙はある恐ろしい推測を導き出した。導き出すに至る経緯を詳述できない点が辛いのだが、結論だけ述べておこう。
横田めぐみさんは欧州におり、すでに米軍がその身柄を確保している!
日朝交渉を正常な形に戻そうと努力を重ねる政府関係者、全員の生還を願う拉致被害者家族会の方々、そして何より愛娘の無事を祈る横田夫妻のことを思えば、不謹慎な無責任情報だとお叱りを受けるだろう。だが、金桂寛外務次官の態度、北朝鮮の余裕、米国との奇妙な関係……それら全体を俯瞰すると、本紙はこの推測がかなり正確なものだと考えざるを得ない。「不思議なことが起きて…生還する…」横田早紀江さんの言葉が女性特有の霊感に導かれたものであることに期待したい。
世界的大混乱の幕開け
イラク戦では米兵は公式には3400名以上の死者を出している。重傷を負い中東地域外に運び出されて死亡した兵士の数は正確にはわからないが、1万人を遥かに越えているとの話もある。手足を失うなどの肉体的損傷を受けた兵士の数は公式発表では2万4000人超。そしてこの数字の10倍のアラブ人たちが死んでいった。
そうしたなか、今年1月末に新たな闘争集団が名乗りをあげた。イラク政府はこれについて、以下のような公式発表を行っている。
「シーア派最大の宗教行事であるアシュラが最高潮を迎える1月29日、『天国の兵士』と名乗る武装集団が1000人の戦闘員を動員してナジャフ北方の聖地カルバラを襲撃して、宗教行事の妨害と宗教指導者たちの殺害を計画していた。イラク軍と米軍の合同部隊が事前に計画を察知、掃討作戦に踏み切った。この大規模な戦闘で同組織の200人以上が死亡した」。
この発表には異論も出ている。巡礼者がイラク軍の検問と揉めているときに米軍が介入して虐殺事件を引き起こしたという説もある。そうではなくてアルカイダとの戦闘だったとの説もある。事実を正確に把握することは困難なのだが、重要なことは『天国の兵士』(Jund al-Samaa)と名乗る武装集団がこのとき初めて出現し、その後あちこちで激烈なジハード(聖戦)を繰り返しているという事実だ。
この組織がアルカイダ同様、西側の情報組織が生み出したものである可能性もあるが、そうではなく、アラブ世界に自発的に発生した動きとも読める。情報通の話によると、この組織は「隠れイマーム」からメッセージを受けているとされる。「イマーム」とはシーア派最高権威者。「隠れイマーム」とは、預言者ムハンマドの血脈を持つ第12番目の権威者で、アッラーの意思により隠されているとされる。
『天国の兵士』の指導者と考えられている人物は何人もいる。カルト系イスラム聖職者デヤー・アブドルザハル・カディム師や、アハマド・イスマイル・カテーアではないかと噂されているが、他にも候補はたくさんいるらしい。彼らは古くからイラクの田園地帯で隠れるようにして集団で生活していたので、その実態はあまり知られていないのだ。
『天国の兵士』の背景やその活動には目を向けていただきたいのだが、同時に現在の世界情勢を大きな目で俯瞰していただきたい。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という根源的には同じ一神教の世界には、表現は異なるが、最後の審判が下る直前に、偽預言者、偽キリストが出現すると言われている。あそこにも、ここにも、正義を語り民衆を導く偽預言者が現れる……。彼らは正しい道を説き、人々はその言葉に涙する。――騙される大衆は、地獄への道が花で埋め尽くされていることを知らないのだろうか。偽預言者はあそこにも、ここにも、日本にも出現し、多くの大衆を惑わしているのではないのか……。
本紙は一神教の教団でもなければオカルトのグループでもない。しかし今世紀に入ってからの世界の動きは、明らかにこれまでの流れから外れている。尋常なものではない変革の刻が間近に迫っていることを、感性の鋭い人々が実感していると理解できるのだ。その変革の恐怖が人々を思いがけない方向に進ませている。世界政治も経済も……。
二酸化炭素の排出量が激増し、環境汚染が進み、地球規模での温暖化に繋がっていると言われる。その事実に間違いはない。だが、人間レベルの環境破壊が本当に地球破壊に直結しているのだろうか。人間程度が壊した環境を修復できないほど地球は微力なのだろうか。たかが人間が、二酸化炭素の量を増やした程度だったら、地球はその身をブルッと震わせるだけで元の状態くらいに復元する力を内在しているに違いない。
一部では「フォトン・ベルト」の恐怖が語られている。フォトン・ベルトとは銀河系宇宙のなかに存在する高エネルギーの光子の帯地帯のことで、2万6000年周期で地球がその地域に突入するというものだ。計算上では2012年12月にフォトン・ベルトに突入するとされるが、じつはフォトン・ベルトの存在そのものが未確認なのだ。これも「偽預言」の一つなのだろうか……。しかし、2012年という年号には、妙な説得力もある。
今年2月末に、アーミテージ元国務副長官を中心とする超党派の外交・安保専門家たちが、ブッシュ政権に対して2020年までの「対日戦略に対する報告書」を提出した。これは2000年に公表された『アジア2025』(アーミテージ・ナイ報告)の第二弾で、中国とインドの台頭を懸念しつつ書かれているものだが、このレポートからも2010年以降の東アジアの激動が想定される。――いや東アジアだけではない。全世界が混乱の坩堝に投げ込まれる可能性が高い。
能登半島で大地震が起きたと思ったら、4月2日には太平洋ソロモン諸島沖で巨大地震が勃発した。秋には東海、東南海が危ないという噂も実しやかに流れている。偽預言者の妄言に惑わされることなく、しかし世界の全体の動きを見てとり、身近な動きにも神経を鋭敏に研ぎ澄まして、揺るぐことのない未来像を見つめていきたい。■