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最早、米国はドル崩壊を放置して、自壊、自滅の道を選択し、対イラン攻撃はないのだろうか
http://www.asyura2.com/07/war90/msg/481.html
投稿者 不動明王 日時 2007 年 3 月 30 日 23:43:28: Wge0l2yvbkAIg
 

太田述正コラムからの転載

 米国の対イラン攻撃はない(その1)(2007.3.28公開)

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1 対イラン攻撃間近か?

 ベトナム戦争の時のミライ虐殺事件や、先般のアブグレイブでの囚人虐待のすっぱ抜きで有名な米ハーシュ(Seymour Hersh)記者(コラム#772、1172、1178)が、ニューヨーカー誌で、米統合参謀本部に、命令が下ったら24時間後にイランを爆撃する計画を策定するためのプロジェクトチームが何ヶ月か前に設けられたと報じました。
 このチームでは、当初はイランの核関連施設とイランの現政府転覆に焦点をあてていたところ、最近ではイラクの不穏分子に武器を供給したり支援をしたりしていることに関わっているイラン内の目標に重点が移行しつつある、というのです。
 ハーシュはまた、イランやシリアやレバノンで米国は活発に諜報工作を展開していて、スンニ過激派への肩入れすら行っており、また、米軍の特殊部隊がイランの敵性分子を追跡するため、あるいは情報収集のため、イラン国内に侵入しているとも報じています。
 これらの秘密活動に、イラク復興資金の一部が横流しされており、また、サウディアラビアが協力し、資金提供も行っている、というのです。
 また、ブッシュ大統領の承認の下、チェイニー副大統領がこの一切を取り仕切っており、前サウディアラビアの安全保障顧問で前駐米大使のサルタン王子(Prince Bandar
bin Sultan)が協力しているというのです。
 この記事が出たのが、チェイニー副大統領が、イランが核計画を放棄しなければ戦争も辞さないことをほのめかす発言を行った直後であっただけに、やはり、ブッシュ政権は対イラン戦に近々踏み切るのでは、という憶測が米英のメディアを賑わしました。
 (以上、
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-
iranbomb25feb25,0,1436460,print.story?coll=la-home-headlines、
http://www.guardian.co.uk/iran/story/0,,2021434,00.html
http://www.guardian.co.uk/iran/story/0,,2021437,00.html
(いずれも2月26日アクセス)による。)

2 対イラン攻撃はない

 しかし、米国が対イラン攻撃することはありえません。
 英日曜紙サンデー・タイムズは、ブッシュ米政権がイランに対する軍事攻撃を命じた場合、最大で5人の米軍司令官が、無謀な作戦に従うよりも辞任する意向だと報じました(
http://www.sankei.co.jp/kokusai/middleeast/070226/mda070226000.htm
。2月26日アクセス)。
 これが事実だとすれば、それは、対イラン攻撃が差し迫っていることを示すものと言うよりは、対イラン攻撃の非現実性を示すものであると言えるでしょう。
 そもそも、改めて、米国防省の広報官は、対イラン攻撃を計画してはおらず、外交的に問題を解決することとしている、とハーシュの記事を全面否定しました(ロサンゼルスタイムス上掲)し、ペース統合参謀本部議長も、議会証言で、この記事について、「これは事実ではありません。絶対に。(It is not true. Categorically.)」と答え
ています(
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-
diplo28feb28,0,2516047,print.story?coll=la-home-headlines
。2月28日アクセス)。
 米国で、国防省の広報官がウソをついたり、統合参謀本部議長が議会で偽証したりすることは、まずありえません。
 これだけでも、対イラン攻撃はない、ということになります。
 もう少し傍証を積み上げてみましょう。
 ニューヨークタイムスは、ある政府高官が、ブッシュ政権は、何らかの形でのイラン及びシリアとの対話を模索しているが、それが米国の弱さの表れだと受け止められることのないよう、この何週間かイラン等に対する敵対的言辞を弄している、と打ち明けたと報じました(http://www.nytimes.com/2007/02/27/washington/27cnd-diplo.html?
_r=1&hp=&oref=slogin&pagewanted=print。2月28日アクセス)。
 もう一つ、米国防省の内部情報に通じているとかねてから私が一目置いている、米軍事評論家のアーキン(William M. Arkin)(コラム#1435)が、「<対イラン>戦争は計画されているか? つまり、軍と国家安全保障機構に動員をかけているか、戦争目的を確立しているか、十分な兵力を準備しているか、具体的な攻勢戦争計画を実際に策定し、実際に戦争を遂行するためのあらゆる関連措置に係る業務万般が完了しているか?
 答えは、明白に否だ。」と言っている(http://blog.washingtonpost.com/earlywarning/
。2月27日アクセス)以上、もはや議論の余地はないでしょう。

 現時点では対イラン攻撃はないかもしれないが、イラン内拠点がイラクの不穏分子による対米軍攻撃に直接関与していることが明らかになったり、イランの核開発をめぐって国連安保理で、武力攻撃を容認する決議がなされた場合は対イラン攻撃に踏み切るのではないか、と思っておられる方もいらっしゃることでしょう。
 それもない、と申し上げておきます。
 いまだに米国は、対米軍攻撃へのイランの関与の証明に成功しておらず、また、イランは核兵器保有の意思を明確に否定しており、ウラン濃縮にもまだ成功していない(http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-
usiran25feb25,1,1269733,print.story?coll=la-headlines-world
。2月26日アクセス)からです。
 今後イランは、不穏分子による対米攻撃への加担で尻尾を捕まれるようなことは絶対に避けるでしょうし、ロシアや中共が、イランへの武力攻撃を容認するような安保理決議に賛成するはずがないからです。

 ただし、何度も繰り返しているように、このことは、イスラエルが対イラン攻撃をしない、ということではありません。
 逆に、絶対に早晩対イラン核関連施設攻撃を行う、と思っています(コラム#1624等参照)。
 イスラエルの国家としての生存がかかっており、イスラエルの核抑止力がイランには通用しないとイスラエルは考えており、また、イスラエルのアロー・ミサイルによるミサイル防衛も完璧なものではない(
http://www.csmonitor.com/2007/0227/p09s01-coop.htm
。2月27日アクセス)からです。

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