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9・11テロ犯の告白と拷問
キューバのグアンタナモ米軍基地で行われた特別軍事法廷の予備尋問の中で、テロ組織アルカイダの幹部とされるカリド・シェイク・モハメド容疑者が、2001年9月11日の米国大規模テロの首謀者であったことを認め、ロンドンのヒースロー空港やビッグ・ベンを破壊する計画があった、と述べたそうだ。
これは、米国防省が14日公表した尋問記録の一部。モハメド容疑者は、アルカイダのトップとされるオサマ・ビンラディンの参謀役として、約3000人が亡くなった米テロ計画を立案、資金調達、実行の一部を担ったと告白した。テロの犠牲者に対しては、「残念だ」と述べたという。2003年からグアンタナモ基地収容所に拘留されてきた人物。
BBCや他のテレビなどでもこのニュースを見ていると、果たして彼の言ったことをそのまま信じていいのかどうか?と、一定の疑問が表明されている。
なにしろ、9・11テロばかりか、カーター元米大統領やローマ教皇(前の)も暗殺しようとした、というのだ。ある意味荒唐無稽ではないか。どんどん羅列されていて、どうなのか?と思った。漫画チックなほどに「悪者」だ。米国人ジャーナリスト、ダニエル・パール氏の首を切ったのも、自分ということになっている。
チャンネル4に、「アルカイダ専門家」ジェーソン・バーク氏が出ていた。バーク氏はオブザーバーに良く書いていて、自分でもアルカイダについての本を書いている。彼によると、モハメド容疑者が「欧州に行ったかどうかは不明」で、ヒースロー空港やビッグベンを破壊しようとしたかに関しては疑問符がつくそうだ。今回の自白・告白には、「信憑性が高いものと低いものがばらばらに混じっている」。
このところ、拷問に関する本を読んでいて、拷問をして得られた情報の使用に関して考えている。
紹介されているモハメド容疑者の顔写真などを見ると、殴打されたあるいもっと手荒いことされたことは明らかだ。2003年に拘束されて、「2001年テロをやったのは自分」と言うまでに4年。何故これほど時間がかかったのか。
英国では、今回の証言(一部だけの公開)は拷問を使って得られたものではないか、という懸念が高まっている。アムネスティーやヒューマンライツウオッチなどがこうした懸念を表明。つまり、モハメド容疑者が何を言ったかというよりも、どうやってこの証言が得られたのか、非人間的な扱いを受けたのではないかが1つの焦点となっているように見受けられる。
拷問を禁止する条約があるわけで、英国では拷問を使って得られた情報を法廷で証拠として使ってはいけないことになっていると記憶している。それでも、CIAや他の情報機関が拷問も含めた手段を使って得た情報を、知識として得ること自体は違法とはされないそうだ、英外務省によると。怖いことだが、拷問によって得られた情報かそうでないか、受け取り手の英国は分からない(分かろうともしない)し、巨大な情報収集ネットワークを持つ米国と諜報情報をシェアしている英国は、「ところで、これってどうやって集めたの?」と相手に正すことなど、できるような立場にはないそうだーー元ウズベキスタンの英大使だった、クレイグ・マレー氏によると、である。
こういうことを言っているのはマレー氏だけでないが、氏は「サマルカンドの殺人」Murder in Samarkandで、こうした点を詳細に書いている。ウズベキスタンがいかに「テロの戦争」の協力者として持ち上げられたか、いかに拷問を使っての嘘の情報が正当な情報として使われているかの舞台裏を描いている。
諜報情報を得るための拷問の使用のよし悪しに関して、たまに英国でも議論がある。拷問などを使わないと情報が取れないのではないか、また拷問とは一体何を指すのか(眠りを奪うことは拷問に入るかどうか)、その情報の精度はどうなのか、など。
一般的に、拷問を使って得た、もしかしたら精度が低い(あるいは嘘のレベルの)情報が、正当な情報として英国に伝わり、こうした情報を元にして様々な政策が決められている、というのはほぼ真実と言っていいようだ。個人の冤罪もつらく苦しいが、9・11テロ後の場合、拷問が情報収集の一手段としてますます組織的に行われているようであることが、まさに怖い。もしかして精度が低いあるいは嘘なのではないかと思えるような情報でも、「構わない」という考え方が、米英政府にある、とマレー氏は主張している。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/americas/6455307.stm