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目下の世界情勢は、ユーロとドルの通貨覇権争いが展開される中、中国、ロシア、インド、ブラジル、南ア共和国などのBRICS(s)諸国の経済的台頭が著しく、そのあとにはメキシコ、イラン、パキスタン、トルコ、エジプト、ナイジェリア、韓国、インドネシア、フイリピン、ベトナム、バングラデシュなどの Next Eleven が控えている。世界はルーブルや元の台頭と並んで多極化時代を迎え、米国の衰退、ドル一極支配構造の破綻が進行する中で、画一的なグローバル化の波が次第に終焉に近付きつつあるように思われる。
このような世界情勢の進展を背景に、新たな再編も進行している。欧州のEU経済圏,北米大陸のNAFTA経済圏と並んで、興隆する東アジア諸国の経済統合を目指して、東アジア経済圏の構築が展望される。その中核として、ASEAN諸国の統合一体化、東アジア共同体構築の展望が模索されている。正に、世界経済は多極化していくと共に、新たな地域ブロック経済へと、歴史的な流れの大転換期に来ているように思われる。
ところで、EUは多様な言語が氾濫しているとはいえ、キリスト教文化圏として価値観を共有している。また、イギリス、アイルランド、アイスランドのような例外はあっても、原則的・概略的には大陸系諸国から成るということもあって、一つにまとまっていく背景が充分にある。今後とも、EU経済圏は、ますます拡大、進展して行くであろう。東方への拡大のみならず、トルコを始め、一部のイスラム圏すら飲み込んで行きかねない情勢だ。それに北アフリカ地域も視野に入っているようだ。何れも大量の移民を受け入れている背景もあろう。
ところで、2005年秋に欧州憲法案がフランスとオランダの国民投票で否決されたことについては、「憲法」などと言うから警戒されたのであり、単に「条約」と言っておけば可決されたであろう、との有識者の楽観論もあり、今度は国民投票無しの欧州条約案を提案するとの方途も検討されている。果たして如何なる展開が待っていることか。
思うに、矢張り、EUの政治統合は各国の国民感情から言ってまだ時期尚早であり、ましてや軍事統合は不可能であろうと思われる。精々が現在の経済統合、通貨統合までが限界であろうと思われる。それでも、背景には米国主導のNATO体制と絡みあいながら、東方に拡大していく傾向がある。NATOが対峙する向こうにはロシアが控えており、その更に東には中国、中央アジアなどを巻き込んだ上海協力機構(SCO)が存在する。両陣営の新たな不穏な対立軸も見えてくる。既にロシアからEUへの原油供給パイプラインの閉鎖などを示唆するロシアとEUや東欧、旧ソ連邦諸国との間で軋轢が始まっている有り様だ。
なお、米国、カナダ、メキシコから成るNAFTA(北米自由貿易協定)も、言語上英語とスペイン語だけで、それほど多様でなく、同じキリスト教文明諸国であり、かつ地続きの北米大陸にあるという地政学的な背景もあって、統合は容易であろう。もしかしたら、ドル崩壊と共にNAFTA経済圏の統合から、EUに倣って、米国、カナダ、メキシコの政治統合へと突き進む可能性もある。即ち、
ただ、現在は、メキシコから米国への不法入国者が毎年100万人にも上るという問題が発生している。メキシコと米国国境に長大なフェンスを建設するという話しも漏れ伝わってくる有り様だ。そして、米国内でも、英語が通じない地域が拡大し、英語圏と非英語圏の新たな南北戦争前夜だ、との深刻な問題の指摘もなされている。それでも、NAFTAが一大経済圏を形成し、今後も益々発展、拡大して行くであろうことは間違いない。