★阿修羅♪ > 戦争88 > 895.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://teanotwar.seesaa.net/article/33757045.html から転載。
2007年02月15日
兵士の増派と暴力の悪化
日経新聞でも報道されましたが、2月7日から、米軍はバグダード周辺で「攻撃」を強めています。「米軍増派は、さらなる暴力と虐殺、イラクの人々のさらなる苦しみを意味する」。『ファルージャ2004年4月』の著者の一人ダール・ジャマイルとイラク人記者アル・アリ=ファディリーの記事(「バグダードに落とされる爆弾」の続きはとぎれています。すみません)
==============================
兵士の増派と暴力の悪化
ダール・ジャマイル&アル・アリ=ファディリー
2007年2月13日
Electronic Iraq 原文
バグダード発IPS。4年近く前、イラク占領が始まって以来のイラク駐留米軍の人数は、平均1カ月に14万2000人に達する。占領期間を通して、米兵に対する暴力も、イラクの民間人に対する暴力も、増加の一途をたどってきた。
自由と民主主義と解放の約束とは逆に、イラクの人々は、米軍主導の占領が始まって以来、安全とサービス、インフラ、社会の結束の悪化に苦しんでいる。
イラク人の多くは、米軍兵士の数が増えることで事態はますます悪化するだろうと考えている。
「米軍兵士の数を増やすことで、もとから現場にいる兵士の状況が改善されるのは確かだろうが、状況を敗北から勝利に変えるためには2万人をはるかに超す数の兵士が必要になるだろう」と退役したイラク人将校アフメド・アル=イッサはIPSに語る。
「米軍がイラク全土で戦争に負けたことについては議論の余地はない。米軍に残された策は二つだけで、一つは兵士を20万人増やすこと、もう一つはイラクでの犠牲者と大きな混乱を避けるためにイラク人戦士と何らかの協定をして予定を立てて撤退することだ」。
ワシントンにあるブルッキングズ研究所が2月5日に出した報告書「Tracking Variables of Reconstruction and Security in Post-Saddam Iraq」によると、2007年1月時点で、13万2000人の米軍兵士がイラクに駐留している。2万1500人の兵士を増派しても、2005年12月の16万人という最大兵指数には至らない。
同レポートはまた、他の国々から派遣されてイラクに駐留している兵士の数は1万4650人で、これまでで最低であるという。
イラク人軍事戦略家の中には、今回の兵士増強は、全てのイラク人の安全と繁栄が目的であるとするならば、まったく無意味であると述べる者もいる。
「米軍の目的は、できるだけたくさんの反対派を粉砕することです」。イラク北部のモスルからバグダードを訪れていた46歳の弁護士で軍事アナリストでもあるデュライド・アジズはこうIPSに語った。「米軍の治安計画第一段階は、(バグダードの)スンニ派アダミヤ地区を襲撃することで、その間、メフディ(ムクタダ・アル=サドル師のシーア派民兵)死の部隊は、米軍が見ている中でイラク人を殺し続けるのです」。
アジズは、米軍がバドル旅団といった民兵にイラクを手渡そうと計画しているのではないかと考えている。バドル旅団は、現政権の主導的シーア派政党でイラン寄りのイスラム革命最高評議会の武装部門である。
「米軍兵士の増派は、単に、占領に抵抗する人々を誰彼かまわず殺すことになるだけです」とアジズは言う。
このところ、米軍兵士は、バグダードのスンニ派地区数カ所を襲撃している。その一つがアダミヤ地区である。
2月7日、イラク駐留米軍の主席報道官は記者団に対し、米軍とイラク軍によるバグダード確保奪回計画が始まったと発表している。「まさに今、計画が全面的に実行されている」とウィリアム・B・カルドウェル少佐は記者団に語ったのである。
イラク人の多くはそれがうまく行くとは考えておらず、デュライド・アジズと意見を同じくしている。
「これはジェノサイドです。きちんと見れば、誰にだってそれがわかるはずです」と、バグダードの人権活動家ムハマド・ハダドは言う。
バグダード南部のイスカンダリヤで高校教師をしているカミル・アッバスはIPSに対し、米軍とイラク軍は「最近ナジャフで殺戮を行ったのに続いて、さらにもう一つ虐殺を犯した」と述べ、その虐殺は、「バグダードの南にあるサマラで」犯されたと説明する。
「彼ら(米軍とイラク軍の兵士たち)が虐殺を続けているのは、自由な人間であると感じるイラク人が一人でもいることが許せないためです」と彼は続ける。
ブルッキングズ研究所の報告は、2006年12月の1カ月に米軍とイラク治安部隊に加えられた185件の攻撃をリストしている。同研究所によると、これは過去最大である。
最近4カ月で殺された米軍兵士の数は、2003年4月に占領が始まって以来最大である。
イラク当局は2月5日、それまでの1週間で政治的暴力により殺されたイラク人の数は少なくとも1000人にのぼると発表した。
「米軍兵士の数が増えれば、イラクの人々の苦しみが大きくなるだけです」。バグダード大学で研究するサラム・アル=デュライミ博士はIPSにこう語る。
「どんなに戦争の犠牲者が増えようと、ブッシュ大統領はただ猛進を続けて奇跡が起こるのを待とうとするだけです。今回の米兵増派は、イラクにさらなる騒乱を引き起こす要因ですし、イラクの人々の血をもって時間稼ぎをしているだけです」。
イラク軍と米軍が新たな「治安計画」を発動して以来、スンニ派地域の人々は苦しいときを過ごしている。スンニ派全域で、人々は、兵士の増強と治安取締りは、自分たちの生活を脅かすために向けられていると考えている。
イラクに駐留する米軍兵士が増えても、レジスタンスは驚いていないようで合うr。「ブッシュにアホたれどもをもっとイラクに送り込ませましょう」。バグダードを訪れていたファルージャの青年はこう語った。「私たちは、全員を地獄に送り込みます。これらの人々は、過去の教訓から十分学んでいないようです。私たちの学校は今も開校中というわけです」。
けれども、この動乱で大きな犠牲となっているのはイラクの人々である。国連の関係者によると、イラク人の7人に一人が自宅を離れたという。これは、1948年にイスラエル国家を創り出すことになった戦争で人々が難民となって以来、中東で最大の人々の移動である。
暴力により、毎日、推定1300人のイラク人が家を離れざるを得なくなっている。170万人以上の人々が、これまでに家から追放された。
All rights reserved, IPS Inter Press Service( 2007) . Total or partial publication, retransmission or sale forbidden .
投稿者:益岡