★阿修羅♪ > 戦争88 > 623.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://nofrills.seesaa.net/article/33229179.html から転載。
2007年02月08日
「郵便爆弾事件」が続いている。
5日にロンドン中心部の会社で郵便物が爆発するという事件があった上に、今度はウェールズでも似たような「郵便爆弾」事件が発生した。が、実は今回の一連の(?)「郵便爆弾」事件は1月から続いているもののようだ。
といっても「連続爆弾事件」なのか、個別の事件がたまたまこの時期に集中したのかはわからない。
1月から2月にかけての7件の事件についてのまとめ記事が、BBCにあがっている。(関連記事へのリンクも記事内にある。)1月に起きた3件の事件には共通点があり、2月に起きた4件のうち3件には共通点があるが、記事を見る限り、1月の事件の共通点は2月のにはないようだ。
The seven UK mail bomb attacks
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/6339481.stm
この記事によると、7件の事件は:
1 Forensic Science Service, Chelmsley Wood - 18 Jan 2007
(バーミンガムの「科学捜査研究所」のようなところ。警察の捜査に関係。爆発せず。)
2 Orchid Cellmark, Abingdon, Oxon - 18 Jan 2007
(オクスフォードシャー、アビングドンにあるDNA検査を行なう会社。爆発し、女性社員1人が手に軽傷。)
3 LGC Forensics, Culham, nr Abingdon - 18 Jan 2007
(同、アビングドン近くの「科学捜査研究所」のようなところ。警察の捜査に関係。爆発せず。)
4 Private house, Folkestone, Kent - 3 Feb 2007
(ケント州、フォークストーンの個人宅。以前は警備会社の事務所だった。爆発し、この家に住む男性がごく軽傷。)
5 Capita, London - 5 Feb 2007 →この事件についての当ブログ過去記事
(ロンドン、アウトソーシングの会社。ロンドン市内の「渋滞税」ことコンジェスチョン・チャージの徴収などの業務を行なう。爆発し、女性社員1人が手に軽傷。)
6 Vantis, Wokingham, Berks - 6 Feb 2007
(バークシャー、ウォーキンガムの会社。郵便物はその会社ではなく、その住所を連絡先とするスピード違反の取締りカメラに関するところに宛てられていたらしい。爆発し、男性社員2人が手や上半身に軽傷。)
7 DVLA, Swansea - 7 Feb 2007
(ウェールズ、スウォンジーにある「運転免許庁 the Driver and Vehicle Licensing Authority」。爆発し、職員4人が負傷。軽傷なようだが、1人は切り傷の縫合などで入院中。)
以下にやや詳しく。
これらのうち2件目(1月18日)、オクスフォードシャーのOrchid Cellmarkでの事件では、アニマル・ライツ関係の過激派の関与が疑われている。
Extremists linked to letter bomb
Last Updated: Thursday, 18 January 2007, 18:17 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/oxfordshire/6274869.stm
また、同じ日に発生したバーミンガムの「科捜研」のようなところ(私営企業だが)へ送られた爆発物入りの郵便物には、2001年に死去したアニマル・ライツ活動家(爆弾事件で有罪判決を受けていた)の名前が書かれていたとのこと。
Third letter bomb sent to company
Last Updated: Friday, 19 January 2007, 16:58 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/oxfordshire/6279897.stm
この2件とオクスフォードシャーの「科捜研」のようなところを合わせた1月18日の3件の事件は、A5サイズの割れ物用の封筒(ジフィーバッグ)に花火状の爆発物が入っていて、開封して中身を取り出すと起爆するようになっていたようだ。警察ではこれら3件は関連ありと見ている。
一方、2月に入ってから最初、3日のフォークストンの事件では、同様の郵便物が個人宅に送られている。ただ、この家はかつて警備会社の本社事務所だったことがあり(この家の人が自宅を事務所として経営していたが、今はその会社はたたんでしまった)、宛名はその会社の "Senior Manager"(「部長様」とかいう感じ)となっていた。
こういう郵便物は、日本なら「宛て所にたずね当たりません」として差出人に返送されるかもしれないが、英国ではその住所が実際に存在すれば表札(住人)が誰であれとにかく配達してしまう。(だから「昔の住人に宛てた郵便物が届く」とか、「『現在の住人様』という宛名で届く」とかいったことになる。)
ともあれ、この「自宅で郵便物を開封したら爆発した」という男性は、インタビューで、「郵便物をチェックして居間に戻り、息子宛ての郵便物を妻に渡して、もう1通を開封したらいきなり爆発した」と当時の状況を説明している。男性は封筒に入っていた水薬の瓶の破片で怪我をしたものの、怪我は極めて軽微で、夫人は無傷だそうだ。
'I was injured by a letter bomb'
Last Updated: Wednesday, 7 February 2007, 14:42 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/talking_point/6338519.stm
この男性は現在も警備会社に勤めているが、かつて自営していた会社も、現在の会社も、交通関係の仕事はしていないという。
「交通関係の仕事をしている会社が狙われているのではないか」と考えられるのは、フォークストーンの事件の2日後に発生したロンドンのCapitaでの爆発物以降の3件だ。
5日に女性社員1人が軽傷を負ったロンドンのCapitaはアウトソーシングの会社で、ロンドン中心部に乗り入れる車両に課せられるコンジェスチョン・チャージ(「渋滞税」というか、一種のロード・プライシング)の徴収を請け負っている。
http://nofrills.seesaa.net/article/32930190.html
6日のウォーキンガムの事件は、Vantisという税務・会計の会社で起きているが、この会社は交通関係でもなければCapitaとの関連もない。ただ爆発した郵便物はこの会社に宛てられていたのではなく、この住所を連絡先とするクライアント宛てだったようだ。で、そのクライアントというのがスピード違反の取締りのカメラ(スピードカメラ)の運営をしている。
http://www.financialdirector.co.uk/accountancyage/news/2174363/details-emerge-vantis-bomb-case
さらに、7日のスウォンジーの事件では、爆発物が送られたのが「運転免許庁 the Driver and Vehicle Licensing Authority」。これで2月の3件には「運転」とか「交通行政」といった共通点が浮かび上がった。
Letter bomb injures DVLA worker
Last Updated: Wednesday, 7 February 2007, 12:50 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/6338063.stm
この記事によると、英国の警察の「国内過激派対策部」が、これら3件とフォークストンの個人宅の事件との関連を調べているとのこと。(The specialist National Domestic Extremism Unit is trying to establish whether there is any connection between the three attacks on offices and the letter bomb received by the 53-year-old man, who suffered minor injuries.)
また、この同じ記事によると:
In a separate incident on Wednesday, a controlled explosion was carried out on a package found on a road in Havant, Hampshire.
Police said they were not linking this with the other four letter bombs.
水曜日、この事件とは別に、ハンプシャーのHavantの道路で爆発物が発見され、処理班が対処した。警察では4件の郵便爆弾事件とこの爆発物とは関係はないとしている。
なお、現時点で最も新しいBBCの記事は下記。
Warning after new mail bomb blast
Last Updated: Wednesday, 7 February 2007, 21:29 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/6338829.stm
ちょっと引用:
The investigation into the seven letter bombs is being co-ordinated by Acpo's national co-ordinator for domestic extremism (NCDE), Assistant Chief Constable Anton Setchell.
He told a press conference that the letter bombs did not contain "conventional explosives", but were made up of pyrotechnic material designed to shock or cause only minor injury.
He added that although animal rights and motorists' groups had been linked to the attacks "we have had no contact from any group or organisation claiming any responsibility or setting out their reason or motivations for the course of action that has been taken".
"However, there are clearly some priority lines of investigation."
つまり、爆発物は殺傷を目的とするようなものではなく、花火用の火薬を使い、ショックを与え軽微な怪我を負わせることを目的としたものである。これまでに動物愛護関連や自動車運転関連の活動家の団体の関連が指摘されてはいるが、今のところ誰からも犯行声明は出ていない。が、捜査の路線ははっきりしているものがある。
自動車運転関連の団体の人のコメントはガーディアンに。
Warning for public as 7th letter bomb raises fears of 'payback time' by extremist drivers
Duncan Campbell
Thursday February 8, 2007
http://www.guardian.co.uk/crime/article/0,,2008147,00.html
"What we are looking at now is a war on the motorist," said the man who represents Motorists Against Detection (Mad). "And the motorist is fighting back," he said. "It's payback time."
He said motorists were angry about the congestion charges and speed cameras. He also suggested that they had learned from Fathers4Justice, the organisation that campaigns for estranged fathers to have more access to their children, that the best way to attract publicity was by breaking the law.
He denied that he and his group were responsible for the letter bombs or had ever been responsible for attacking people rather than machines.
うーん、F4Jは確かに「私たちは怒っている」ということを示すためにあれこれやってきたけれど(極右が浸透工作を仕掛けたあとは過激化したこともあったようでよくわかんないけど)、基本的には「国会議事堂の議場で紫の粉をブレアに投げつける」とか、「ありえない場所でバットマンのコスプレ」とか、「ありえない場所でサンタのコスプレ」とかいった「恐怖を巻き起こすのではなく笑いを巻き起こすことで注目を集める」という「お笑いテロ」の団体だ。自称「F4J支持者」のワームが出たことはある(こういうのは本来のF4Jのやり方ではない)が、メールボムはやってないと思う。仮にあの人たちがメールボムやるとしたら、裁判所や政府機関に宛てて「紫に着色した小麦粉が噴出する」とか「パーティー用のクラッカーが鳴って『子供に会わせろ』というバナーを持ったピエロが飛び出す」とかいったものになりそうなものだ。