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イラク戦争 従軍拒む日系現役将校【エレン・ワタダ中尉】―東京新聞 (特報)
http://www.asyura2.com/07/war88/msg/601.html
投稿者 天木ファン 日時 2007 年 2 月 08 日 09:11:57: 2nLReFHhGZ7P6
 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20070208/mng_____tokuho__000.shtml

イラク戦争 従軍拒む日系現役将校

 米憲法を侵害

 戦死者が三千人を上回り泥沼化の一途をたどるイラク戦争。ブッシュ米大統領がさらなる増派を掲げる中、従軍を拒否した初の現役将校として全米の注目を集めている日系三世のエレン・ワタダ中尉(28)への軍法会議が同国シアトルで今週から始まった。判決を前に、現地在住のフリージャーナリスト横田亘生氏(52)がワタダ氏の胸中を聞いた。

 米ワシントン州フォート・ルイス陸軍基地に勤務するハワイ出身のワタダ氏は昨年六月七日、「イラク戦争は道徳的に誤っているだけでなく、米国の憲法をも侵害している」とし、派遣の拒否を表明した。

 その後、所属する陸軍第二歩兵師団第三旅団のイラク出征準備に同行せず、軍事司法統一法典の「移動不履行」「将校にふさわしくない不作法行為」などにより起訴された。今年一月二十九日、米軍は最高四年の刑を求めている。

 判決直前のインタビューは、今月三日、ワタダ氏の講演会が行われたシアトルの教会待合室で行われた。

 ――軍法会議直前の心境は。

 私の考えは全く変わらない、このまま自分を信じて進むだけです。

 ――あなたは、アフガニスタンへの従軍は認め、イラク戦争は違憲としているが、違いはどこにあるのか。

 アフガニスタンでの戦闘は、アメリカ人の多くが思うように中枢同時テロにかかわる明白な戦いであると考えている。しかし、イラクには侵攻の理由となった大量破壊兵器の保有も、過激派組織アルカイダとの関係も証明されず、明らかに違法だ。

 ――日本の防衛庁が今年初め省に昇格し、海外派遣を業務として正式に行えるようになった。歓迎すべきか。

 日本が洋上で補給船と護衛艦を派遣し、米軍をサポートしていることは知っていたが、省に昇格したことは知らなかった。自衛隊は少し積極的(アグレッシブ)になっているが、どうして海外まで行く必要があるのか。理解はできない。

■日本は米をただす立場

 ――イラク戦争を支持している日本政府、また日本国民へのメッセージを。

 日本とアメリカの関係が非常に大切で、密接なことはとても理解できる。しかし、イラク戦争は後世の人々に説明できないほど違法な戦争であり、本来なら日本がわが国に対し、その違法性をただす立場にあるのではないかと思う。だから、日本の国民にも、もっと声を出してもらいたい。

 ワタダ氏は二〇〇一年九月十一日の中枢同時テロ後、多くのアメリカの若者がそうしたように志願兵として陸軍に入隊した。これまで陸軍士官として韓国などに赴任し、上官からの評価も高く、将来を嘱望される有望な幹部候補だったという。

 しかし米軍のイラク侵攻後、継続する戦闘や戦争の大義であった大量破壊兵器問題などに疑問を持ち「重大な不正義に対して発言することは、アメリカ合衆国陸軍の一将校である私の義務である」とし昨年一月、上官に対し質問状を提出。イラクではなくアフガニスタンへの従軍を自ら志願した。しかし、却下され抗議のために退役を求めていたが、これも拒否されたという。

 そして先月十六日、軍裁判官のジョン・ヘッド判事はワタダ氏側が求めていた、イラク戦争の合法性にかかわる審議には踏み込まず「政治的な問題は今回の訴追とは無関係だ」とし、ワタダ氏の要請を全面的に拒否した。

 ワタダ氏の決意表明後、支援とともに反戦団体の動きが全米に広がっている。

 先月二十七日には首都ワシントンで一万人以上がイラクへの米軍増派に反対し、米軍の即時撤退を求める反戦デモを開催。ベトナム反戦運動以来三十四年ぶりに集会に参加した女優のジェーン・フォンダさんをはじめ、ワタダ氏の父ボブ・ワタダ氏(67)も「息子はまだ声を出していない多くの人たちの声を待っている」と述べ、支援を求めた。

 またこの日、ワシントン州シアトル市でも約二千人が参加して反戦集会が行われた。海軍の新兵募集事務所前では、三千人を超えたイラクでの米兵の戦死者名簿をイラク帰還兵らが掲げるなど、抗議行動を行った。

■沈黙は裏切り

 そして集会の最後にワタダ氏が「今のイラクはベトナム戦争のように泥沼化している。今同じ間違いを繰り返さないためにも、民主主義国家ではあなた方すべてが政治家なのだから、声を出すべきだ」と述べ、最後にマーチン・ルーサー・キング牧師の言葉を引用、「沈黙が、裏切りであるときが来た」と支持を求めた。

 「(戦争が無くなる世の中に)変えるのは、あなた。私の行動はイラクで死んだ三千以上の兵士たちと将来の子どもたちのためのトライだ」。今月三日、シアトルの講演会でこう呼び掛けたワタダ氏は、インタビューした横田氏に、日本との関係に対し「私は日本人の父を持つ三世ですが日本語はしゃべれません。知っているのは『どーも』と『ありがとう』ぐらいかな」と照れながら答えたという。

 現地などの報道では、イラク戦争の現地から脱走し、カナダなどへ逃亡している米兵は百−二百五十人ともいわれ、イラク派兵に反対する現役米兵がつくるサイトでは、ワタダ氏を含め三十六人が実名で戦争への反対を表明している。

 横田氏によると、現在行われている軍法会議では「ワタダ氏は命令拒否という個人の問題を、一般大衆を巻き込み論議させようとしている」などの批判が行われ、ワタダ氏側は一方的な防戦に立たされているという。審議では、イラク戦争の是非論はまったくフタがされている状態だという。

■反戦広がる中週末にも判決

 八日には、ワタダ氏自身による弁論が行われ、今週末にも判決が言い渡される見通しだ。

 ワタダ氏の講演でも聴衆から「ベトナム戦争の時代は徴兵制度だったが、今はあなたのような志願兵が戦地に向かっている。(主張は)説得力が薄い」との指摘もあった。

 しかし、ワタダ氏はこう訴えたという。

 「今日の志願兵のほとんどは、職も無い貧困な地域から戦地に向かっている若者が大半だ。この現実は、まさにアメリカの経済を反映している問題でもあるのです」

<デスクメモ> 南太平洋諸国の若者たちは、米国の大学への入学と引き換えに米軍に入隊し、イラクへ行き命を落としていた。狙われる「職のない貧困な地域」は米国内だけではない。格差社会の“総本山”でもある米国のブッシュ大統領から、日本の若者へこう、呼びかけがあるかも。「米国の大学へ行きたいなら米軍へ」(蒲)

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