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□中国がイラン・イスラエルの仲裁に [JANJAN]
http://www.janjan.jp/world/0702/0701309091/1.php
中国がイラン・イスラエルの仲裁に 2007/02/02
【北京IPS=アントアネタ・ベツロヴァ、1月12日】
イランの核兵器獲得を阻止するため、イスラエルが戦術核兵器を使ってイランを攻撃する計画かもしれないとのセンセーショナルな報道がある中、中国はイランとイスラエルから指導者を相次いで北京に迎え、この2週間、中東紛争交渉者というこれまでにない役割を演じた。
イランの核交渉責任者アリ・ラリジャニ氏が先週北京を訪問したのに続き、今週は、拒否権を行使できる国連安保理常任理事国にイラン制裁の強化を働きかけることを目的に、イスラエルのエフード・オルメルト首相が中国を訪れた。
両政治家ともに、中国外交に感謝の意を示し、訪中は成功と評価した。オルメルト首相の訪中に先立ち、北東の都市ハルビンではユダヤ人共同墓地の修復が行われ、広く報道された。オルメルト首相の祖父母が19世紀ロシアでの迫害を逃れてハルビンに亡命、父親はイスラエルに移住するまでハルビンで育った。中国は大規模な修復工事に300万元(38万5,000米ドル)を投じた。
オルメルト首相は、中国指導者との会談は「期待以上」の成果を上げたと語った。「中国政府がイランの核武装を望まないとの考えを明らかにしていることは極めて重要」と、1月11日北京を離れる前に記者団に語った。
一方イランのラリジャニ氏は、北京滞在中、イランと中国の関係、とりわけ拡大しつつある商業関係は、たとえ中国政府がイランの核研究プログラム非難に米国をはじめとする安保理理事国と同調する決定を下しても、その影響は受けないことを強調しようと努めた。
「当然ながら、こうした制裁の背後にいるのは誰か承知している。だから誰のことも責めてはいない」とラリジャニ氏は先週記者会見で語った。さらに「長期の戦略的関係にある国は、戦術的な問題を理由に関係を改めることはしない。そしてこれは戦術的な問題であった」と述べた。
これまで厳しい制裁には消極的であった中国だが、イランがウラン濃縮プログラム停止の60日の期限を無視した場合にはイランへの制裁を強化するとした安保理の全会一致のイラン制裁決議に、先月、西側大国とともに賛成票を投じた。
この国連決議は「違法」とイラン外務省に否定され、爆弾製造の可能性があるプロセスである濃縮作業は中断されることなく継続されている。その結果、イランの核兵器獲得を阻止するため、イスラエルがイラン核施設の先制攻撃を検討する可能性もあるとの憶測を呼ぶに至った。
イスラエル政府は、「イスラエルを地図から消し去るべき」とマフムード・アフマディネジャード大統領が発言したイランで核兵器が製造されることは決して許さないと繰り返し警告している。
英国のメディアは先週、国連のイラン制裁が失敗に終わるなら、戦術核兵器を使ってイランのウラン濃縮工場を破壊する非常事態計画があることをイスラエルの軍事筋が明らかにしたと報じた。
英国の週刊紙『サンデータイムズ』は、計画を明かしたのは、イラン政府に対しウラン濃縮を停止するよう、また米国に対してはより積極的な姿勢をとるよう圧力をかけることを目的とするものだと報じた。米国のロバート・ゲイツ新国防長官は、イランに対する軍事行動は「あくまでも最後の手段」と述べ、イスラエル高官に孤立感を味合わせた。
イスラエル軍がイランの核施設を攻撃することになったとしても、それは予測される核の脅威に対し先制攻撃を仕掛ける初の試みではない。イスラエルには1981年、サダム・フセインの核兵器取得を阻むためオシラクの原子炉を空爆した前歴がある。
イランの核交渉責任者に続いて北京を訪れたイスラエルのオルメト首相は、議論の的となっているイランの核プログラムについて中国が明らかにした立場に「驚きかつ力を得た」と述べた。
オルメルト首相は、「中国は、核爆弾取得という意味でのイランの核武装に反対であることを全面的に明確にした」と述べた。
イランの核プログラム阻止のための国連の制裁強化を支持する中国の姿勢は、中国のイランとの経済関係を考えると、イスラエルの高官にとって驚きであったのかもしれない。イランからの石油輸入高は現在、中国の重油輸入の12%を占め、今後中国経済の成長に伴いさらに増大すると見込まれる。
先週北京を訪れたラリジャニ氏には、中国指導者は、国連制裁への賛成票は不拡散保障措置に関する中国政府の懸念を反映したものであると伝えた。胡錦涛国家主席は、国連制裁に対する「真剣な対応」を要望したと新華通信社に報じられた。
しかしイランに対し国連に対する抵抗をやめるよう警告した中国であるが、テヘランとのビジネスは変わらず続けることを明確にした。イランが制裁の対象となる可能性を米国が警告しているにもかかわらず、中国はイランと160億ドル相当のガス契約締結を進めている。
先月、イランと中国最大の海洋石油生産会社である中国海洋石油総公司(CNNOC)は、ペルシャ湾にあるイラン・ノースパルス天然ガス田開発の予備契約締結を発表した。液化天然ガス生産の投資は、中国が負担すると思われる。
こうした契約に、米国は、強硬姿勢を崩さず核プログラムを継続するイランを孤立化させようという努力に反するものと批判しているが、中国政府は契約を正当化している。
中国外交部の劉建超報道官は、1月11日の北京での定例記者会見で、「この種の協力や関係は合法であると考える。通常の協力は妨害されるべきではない」と述べた。(原文へ)
翻訳=坪沼悦子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩
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(IPSJapan)