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褒めることのない私が無条件で敬服するひとりの日本人フォトジャーナリストがいる。広河隆一がその人だ
キブツ(ユダヤの集産的共同体)にあこがれてイスラエルに渡った広河は、その地が地図から抹殺されたパレスチナの村の上に築かれたことに気づく。なぜその村がなくなったのか。誰に聞いても答えは得られない。
以来四十余年、広河はイスラエル、パレスチナ、レバノンなどを往復し、写真を撮り、関係者にインタビューを重ねた。もちろん中東紛争の真っただ中に何度も身を置いて戦争の悲惨さを撮り続けた。その広河が今その人生を懸けてひとつの記録映画をつくろうとしている。
1月20日の夕、私は都内で開かれた「広河隆一パレスチナ記録フィルム試写会」に出かけた。そしてその記録映画の一部を見た。腰を抜かした。そして感動した。世界で誰ひとりとして取り組んだことのない「パレスチナの消えた村々」の記録をまとめ上げようとしているのだ。
彼は言う。「……勝者が歴史をつくる時代では被害者の歴史はかき消されていく……。パレスチナの村々の破壊と追放が知られていないのは勝者イスラエルがパレスチナの歴史を消し去ったためだった……」
時あたかも米国がイランの核施設を攻撃しようとしている。イラク攻撃。パレスチナ弾圧。レバノン戦争。そして今度はイラン攻撃だ。
なぜ中東に平和が来ないのか。すべては1948年のイスラエル建国に原因がある。その年にイスラエルで何が起ったのか。パレスチナの村はなぜ消滅したのか。これがわからない限り中東紛争はわからない。
30時間にも及ぶ広河の記録映画は世界で初めてのイスラエル・パレスチナ紛争史だ。完成すれば世界的な反響を呼ぶ作品になる。作り次第では米国、イスラエルの圧力をまともに受ける作品になる危険性がある
しかし、どんな圧力も広河の前では無力である。中東の手を汚していない日本。世界で唯一の被爆国日本。その日本のフォトジャーナリストが「共存」と「共生」を願って真実を世界に示そうとしているのだ。これほど強いものはない。私と一緒に広河を応援して欲しい。
(隔週月曜日掲載)「月刊ゲンダイ」1/30
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