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イラク情勢 日本も米国追随を改める時だ
2007年2月20日
米軍の2万人増派が決まったイラクの首都バグダッドで、米・イラク両軍による武装勢力への大規模掃討作戦が始まっている。首都を10区域に分割し、民家を捜索、家屋を「不法占拠」している人々を追い出している。
しかし、この不法占拠者とは宗派対立による暴力激化を恐れ、チグリス川を挟んで東はイスラム教シーア派、西はスンニ派と住み分けざるを得なくなり、空き家や廃虚となったビルに身を寄せている人々だ。
米軍は「25日以内の退去」を求めているが、どこへ戻そうと考えているのか。イラクはもはや、米軍が武力で事態を沈静化できる状況ではない。
■手つけられぬ内戦に■
イラクでは宗派や民族間の対立が憎悪の連鎖を招いており、今では手のつけられない内戦状態だ。他宗派地区に住民を戻せば、虐殺される危険性が大きいことは容易に想像がつくはずだ。
米軍はイラン、シリア国境を封鎖した。これで宗派対立による虐殺から身を守る住民の最後の手段だったシリアへの国外脱出の道も奪ったといえる。
米軍によるイラク戦争開戦判断の誤り、その後の占領政策の失敗は米保守派も認めている。だが、ブッシュ政権は撤退どころか、増派で「泥沼」の状況を強行突破する道を選んだ。
イラク国民はどう見ているか。治安悪化の最大の原因に「占領軍の存在」(中東の衛星テレビ・アルジャジーラのインターネットアンケート)をあげており、増派が内戦状態をさらに加速させることは明らかである。
ブッシュ政権のイラク政策は理性的、合理的な判断で行われているのかとの疑いさえ抱かせる。共和党の支持者の中からも「狂信的なキリスト教右派が米軍を乗っ取ろうとしている」(元レーガン政権法律顧問のワインスタイン氏)という声さえ出ている。
■イラン攻撃への懸念■
米国はイランに対し、核開発問題とともにイラクのシーア派民兵組織に武器支援をしているとして非難を強めている。このことにより、米国がミサイルによる空爆などでイランへの攻撃に踏み切る可能性も懸念されている。
イラク駐留米軍当局は11日、イランが政府首脳公認のもとで高性能爆弾をイラクに密輸出しているとし、「証拠」のロケット弾などを公開した。
しかし、これをめぐってはイラク戦争開戦の大義として使われた大量破壊兵器の存在宣伝と同じように意図的な情報操作ではないかとの疑惑が浮上している。ニューヨーク・タイムズは「この政権が過去の失敗から何も学んでいないことは驚きだ」と批判している。
日本の自民党内からも、久間章生防衛相らによる米国のイラク政策批判発言が出てきている。今、これを言うのであれば、イラク戦争前に自民党幹部として体を張ってでも小泉前政権の姿勢をなぜ、戒めなかったのか。
だが、依然として米国に追随、「米国がかけがえのない同盟国であることも総合的に検討し、(イラク戦争を)支持した判断は間違いない」(13日の衆院予算委員会)と言い続ける安倍晋三首相に比べれば、イラク政策批判発言は「常識的な見解」を示した発言と評価できる。
チェイニー米副大統領の来日で、安倍政権はイラク政策では率直に戒めるべき点を伝えてほしい。同盟国として友好関係を維持することと、米国の外交・軍事政策に無批判に追随することが同義語であってはならないからだ。