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http://www.msf.or.jp/2007/01/11/5709/msf200610.php
MSF、「2006年、10の最も報じられなかった人道的危機」を発表
情報発信日 2007年01月11日
国境なき医師団(MSF)は「2006年、10の最も報じられなかった人道的危機」を9日発表した。年始に発表するこのリストには、結核や栄養失調による膨大な人的犠牲や、中央アフリカ共和国(CAR)、スリランカ、コンゴ民主共和国(DRC)での紛争によって引き起こされた惨状などが含まれている。
今回で9回目となる恒例のこのリストは、ハイチ、ソマリア、コロンビア、チェチェン、インド中央部において紛争による影響を受けている人びとの苦境に対するメディアの注目が欠けていることも浮き彫りにしている。
MSFアメリカ支部の事務局長、ニコラス・デ・トレンテは述べる。「世界各地で起きている多くの紛争は数百万の人びとに大きな影響を与えていますが、これらの人びとはほとんど公にされていません。例えば、ハイチはアメリカからわずか80kmあまりの距離ですが、不安定な状態にある首都ポルトープランスで過酷な暴力に耐えている人びとの苦境は、アメリカのテレビ局で1年間のうちわずか30秒間放送されただけです。」
アメリカのテレビニュースを分析するオンラインジャーナル、The Tyndall Reportを発行するアンドリュー・ティンドル氏によると、MSFがこのリストで浮き彫りにする10の国や状況は、アメリカの3大テレビネットワークが2006年に放送した夜のニュースの合計時間1万4千5百12分のうち、わずか7.2分しか占めなかった。栄養失調と結核の治療、そしてチェチェンの情勢は取り上げられたものの、他の項目において短く触れられただけであった。MSFがリストに上げた他の5つの国が報じられることは一度もなかった。
「2006年、10の最も報じられなかった人道的危機」は結核と栄養失調によって引き起こされた惨状にも焦点を当てている。
世界各地における結核の恐るべき状況は、2006年に第一選択薬と第二選択薬の両方に耐性を持つ超薬剤耐性結核(XDR-TB)が出現したことにより、さらに悪化した。くわえて、現在開発中の結核治療薬も期待はできるものの、そのどれもが近い将来に結核治療を劇的に改善することはできないだろう。MSFの必須医薬品キャンペーンのディレクター、ティド・フォン・シェーン・アンゲラー医師はこう述べる。「結核は毎年数百万の人びとの命を奪いますが、この病気に取り組むために必要な緊急性が見られません。」
しかし、栄養失調に関しては、期待の兆しは見えている。「プランピーナッツ」のようなそのまま食べられる治療食(RUTF)を利用した外来患者治療に基づく新たな方策が、大きな成功を示している。残念ながらこの方策は幅広く実行されていない。トレンテは述べる。「急性栄養失調は毎年数百万人の子どもの死因となっています。中程度および重度の急性栄養失調を治療する新たな戦略は、MSFが過去2年以上にわたりニジェールで行っている15万人以上の子どもの治療に役立っています。もしこの新たな戦略が幅広く実行されれば、世界各地の数百万人以上の子どもたちが恩恵を受けられるでしょう。」
2006年にはスーダンのダルフール地方およびチャド東部における紛争が大きなメディアの注目を得たものの、一定の関心は紛争に巻き込まれた人びとの状況を改善するには至らなかった。トレンテは述べる。「その他の危機よりもダルフール地方については報道されましたが、同地方の状況はMSFや他の援助団体がプログラムを縮小せざるを得ないほどに悪化し続けています。私たちはメディアが報道することだけで状況の改善がもたらされないことは分かっています。しかし、報道で取り上げられることはしばしば援助と政治的関心を増やす前提条件となります。完全に見すごされ、忘れ去られることより酷いことはないかもしれません。」