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週刊『前進』(2277号9面1)(2007/01/01)
U 米帝の没落と「最弱の環」=日帝
(1)基軸帝国主義・米帝の世界支配の崩壊が進んだ
アメリカの中間選挙におけるブッシュの敗北は、第2次大戦後の帝国主義世界体制の基軸中の基軸であるアメリカ帝国主義が、ついに未曽有の破局的な危機爆発と没落の過程に突入したことを示した。このことは国際情勢を一変させ、巨大な世界史的激動を引き寄せるものとなっている。
起きたことの核心は何か。米帝のイラク侵略戦争の敗北と泥沼化が、米国内の労働者人民の巨大な反戦・厭戦(えんせん)意識とブッシュの内外政策への怒りの爆発を呼び起こす中で、アメリカ帝国主義の支配階級自身が混迷をきわめ、分裂するに至った。それは、01年9・11以来の米帝の戦争政策全体が、総破産に直面したことを示している。このことが、米帝・ブッシュ政権、ひいては米帝のブルジョア国家権力そのものに対して歴史的な一大ダメージを与えるものとなったのだ。
この中間選挙の結果はイラク情勢に逆流し、イラクは米帝の侵略戦争下で内戦の果てしない激化に突入している。だが米帝には、この泥沼から抜け出す道などどこにもない。
米帝は中東石油の独占的支配・再分割を狙ってイラク侵略戦争に突入したのであり、それを強引に推進するために、シーア派とクルド人勢力を巻き込んでスンニ派に打撃を集中する戦略をとってきた。米帝の軍事行動の大半は、ファルージャへの二度の総攻撃に見るように、シーア派などの「支持」を背景にした、スンニ派系の反米・反帝国主義のゲリラ勢力に対する徹底した大虐殺、せん滅戦争として行われた。
また米帝はイラクの「民主化」と称してかいらい政権の樹立を焦り、シーア派主導の新政権をデッチあげたが、それはシーア派民兵組織をイラク治安部隊の中心に組み込むものとなり、米軍と一体化しつつスンニ派系武装勢力への絶滅攻撃をしかけるものとなっていった。この構造の集積の結果が今日の「イラク内戦」と呼ばれる状況をつくり出したのだ。
米帝がイラクで陥ったこのぬきさしならない状況は、ブッシュに代わって民主党政権が誕生すれば解決できるようなものでは断じてない。イラクだけではない。アフガニスタンでも戦闘が再燃し、多国籍軍による軍事占領体制が崩壊のふちに立たされている。パレスチナ、レバノン、イラン情勢もすべて、米帝が抑え込めるような状況ではまったくない。
さらに、米帝が自らの裏庭と位置づけてきた中南米で反米左派政権が相次いで誕生し、「中南米失陥」とも言うべき事態が起きている。米帝の世界支配があらゆる面で破綻(はたん)し、崩れ落ちていくプロセスが始まっている。これらは今や、国際政治における米国の超大国としての制圧力、指導力の後退を生み出すまでに至っている。
中間選挙の結果はさらに、80年代レーガン反革命以来の米帝の国内労働者支配が歴史的な破産に直面し、労働者階級の怒りの爆発と大決起が始まったことを示した。
米の金融資本・巨大独占資本は、80年代の民営化・規制緩和に始まる大資本攻勢のもとで、大弾圧による労働組合破壊を繰り広げつつ、リストラに次ぐリストラをとおしてすさまじい低賃金・強労働を労働者階級に押しつけてきた。労働者階級の貧困化は恐るべき規模と勢いで進行し、今や日々の食事にも事欠く飢餓人口が3千数百万人にも上っている。そして今、アメリカ帝国主義全体の危機の中で、工場丸ごとの大量解雇や賃金の50%カット、医療や年金の全面カットといった、これまでをもはるかに上回る大攻撃が激しく襲いかかっている。
これに対して、移民労働者の大決起に見るように、闘って生きる以外にないというぎりぎりの決起がせきを切って始まっている。その最先端に、ILWUローカル10やAMFAを始めとした、アメリカ労働運動の最左派の闘いがある。それは、イラク反戦闘争の継続・強化・発展と結びつき、今や、レーガン以来の反労働者政治への積もりに積もった怒りの大爆発として、米帝の足元を大きく揺るがすものに発展してきている。
こうした中で、アメリカ資本主義・帝国主義を成り立たせてきた根幹である「ドルの威信」が、ついに決定的に揺らぎ始める時が来た。すでに世界経済の分裂化・ブロック化はどんどん進行しているが、この間バブル的な延命に次ぐ延命によって繰り延べられてきたアメリカ経済そのものの危機がもはや限界状況に達し、ドルの大暴落がじわじわと迫ってきているのだ。
米経済は、06年に入って住宅バブルが本格的に崩壊した。4〜6月期の住宅関連投資は前期比9・8%減、95年以来の下落。7〜9月期には17・4%減と、15年半ぶりの落ち込みを記録した。この間の米経済のバブル的膨張を唯一支えてきた住宅バブルの崩壊は、極めて深刻な影響を呼び起こす。米貿易赤字の空前の巨大化もさらに進行中である。
この現実にもかかわらず、ニューヨーク株式市場は史上最高値を更新しているが、これは実は極端な貿易不均衡の中で、国外から過剰流動性をもった膨大な資金が流れ込むことを背景に、ヘッジファンドが投機的な資金を商品市場から株式市場にふりむけてきている状況のもとで生じていることだ。これこそ最も危険なバブル的投機の姿とみて間違いない。劇的な大崩壊を生む可能性はきわめて強くなっている。
いったんドル暴落へと転げ落ちれば、世界経済は一挙に奈落へ向かって突き進むことになる。世界大恐慌の全面爆発と、階級闘争の全世界的規模での内乱的激化は不可避な情勢に完全に入ったのだ。
(2)朝鮮侵略戦争・世界戦争へ突き進む米日帝国主義
今や、米帝の世界支配の崩壊過程が現実に始まり、その動揺と凶暴化が深まる中で、帝国主義間争闘戦はまったく新たな段階に入った。それは中国やロシアをも含めた世界の強国間の、それぞれの生き残りをかけた世界再分割のための対立と争闘へと発展し始めた。帝国主義が帝国主義である限り、究極的には新たな世界戦争による軍事的決着を求める以外にないプロセスが始まったのである。このことが、今日のあらゆる内外情勢の根底にある。
したがって、米帝によるイラク戦争の「戦略的転換」が叫ばれているが、米帝にとってイラクの泥沼から抜け出す方策などどこにもない。ますます深みにはまり、逆に中東全域に戦乱を拡大するしかない。他方でそれは、北朝鮮への制裁を掲げた朝鮮侵略戦争の発動へと不可避に突き進んでいく。諸勢力間の錯綜(さくそう)する力関係や国際関係の中で一定の妥協が成立したとしても、本質的には時間稼ぎでしかない。帝国主義がその利害を貫こうとする限り、侵略戦争とその拡大に果てしなくのめり込んでいく以外ないのだ。すでにさいは投げられている。
国連安保理の北朝鮮制裁決議が国連憲章第7章に基づく決議として強行されたことは、この意味で決定的である。これは米日帝による北朝鮮への侵略戦争の強行を、国際法的に「合法化」するとんでもない決議である。しかもそれは、現実の国際情勢の推移などおかまいなく、いつなんどきでも適用し、発動できる構造になっている。
今日進行する米軍再編、憲法9条の全面解体を含む日米安保の大改変は、まさにこの朝鮮侵略戦争を実際にやりぬく体制をつくり出すものだ。北朝鮮による核実験は、この重圧に追いつめられた金正日政権が絶望的な軍事的対抗政策に走ったものだ。それは労働者階級の国際的な反戦反核・反帝国主義の闘いを否定し、それに敵対するものでしかない。米日帝はこれを絶好の口実として、侵略戦争準備に今や決定的に拍車をかけている。
そもそも、米帝がイラク・中東に続いて朝鮮半島への侵略戦争に本格的に動き出した背景には、北朝鮮の国内危機が体制崩壊の寸前まで来ているという現実がある。長期にわたる帝国主義の重圧、とりわけ米帝による金融制裁の発動が、金正日政権を存亡の危機に追いこんでいるのだ。北朝鮮スターリン主義体制の崩壊は、南朝鮮・韓国における危機の爆発、さらには中国スターリン主義の大動揺に直結する。それは朝鮮半島と東アジア全域を一挙に、巨大な革命的情勢にたたきこむ。
このことは、帝国主義にとっても容易ならない情勢である。そもそもプロレタリア世界革命への裏切りの上に成立したスターリン主義は、帝国主義と対抗しつつも実際には、労働者階級や被抑圧民族の帝国主義打倒の決起を抑圧し続けることをとおして、帝国主義の世界支配を裏から支える役割を果たしてきた。したがってソ連の崩壊は、帝国主義の蓄積された諸矛盾が大爆発していく扉を開いた。崩壊した旧スターリン主義圏(その資源・市場)の争奪や、危機に立つ残存スターリン主義の体制転覆と再支配を狙う帝国主義間の争闘戦は一気に激化した。そして同時に、労働者階級人民の革命的反乱への弁を決定的に開け放つものとなったのである。
北朝鮮・中国という東アジアの残存スターリン主義の崩壊は、ソ連・東欧の崩壊時を上回る巨大な世界史的激動のふたを開けるものとなる。ひとつ間違えば帝国主義の世界支配全体の総崩壊につながる。これに恐怖した米帝と日帝は、金正日政権転覆の侵略戦争を先制的に発動し、帝国主義による朝鮮半島の直接的な再支配(再植民地化)に動こうとしている。それは究極的には、中国の国家体制転覆を目指す戦争をもにらんだものである。
いわゆる6カ国協議とは、この米・日と中国、ロシアという4大国が、それぞれの利害をかけて朝鮮情勢に介入し、朝鮮半島の支配権を互いに争う激突と駆け引きの場だ。新たな朝鮮戦争突入は不可避であり、事態はきわめて切迫してきている。
(3)安倍・御手洗路線粉砕し日帝打倒の突破口ひらけ
大恐慌と戦争の時代への突入は、日本帝国主義を、国際帝国主義の中で最も弱い存在へと一気にたたき落とすものとなっている。アメリカに次ぐ「世界第2位の経済大国」を誇ってきた日本の資本家階級は、ブロック化が進む世界経済の中でいまだに独自の円経済圏を形成できず、独力で侵略戦争にのりだす力も体制も持たない現実への激しい焦りにかられている。
日帝の「経済大国」的地位は、実際にはドルの世界支配の力に依拠したものでしかなく、そのドルが暴落すれば日本経済は破滅に向かうしかない。しかも日本の国家財政はすでに完全に破産を宣告された状態にある。さらに国内階級支配の危機は、95年以来の大資本攻勢と小泉政治の5年間でもはや臨界点に達している。そこに朝鮮危機の爆発と東アジア情勢の激動が大波となって押し寄せようとしているのだ。
いわば出口のない袋小路に追いつめられた中で、1930年代と同様に、凶暴な衝動が日帝ブルジョアジーの体内から噴き出している。新たな朝鮮・アジアへの侵略戦争(新たな15年戦争の開始だ)に一切の延命の道を求める衝動だ。小泉政権に続く安倍政権の登場は、日帝がこの方向へ決定的に踏み出したことを示している。
安倍は、都知事・石原などと同じく日帝の極右勢力を代表する政治家である。ブルジョアジーがこの安倍を政権の座につけた狙いはただ一つ、改憲攻撃を全面的に実行に移すことにある。改憲とは、第2次大戦で敗北した日帝が、戦後革命の嵐をのりきり延命したその代償として課せられてきた国際的・国内的制約を公然とかなぐり捨てるものである。その最大の柱が、戦争の放棄を規定した憲法9条の破棄である。
そしてこの9条破棄は、自衛隊を正式に軍隊としてその武力行使を可能にするにとどまらない。9条の存在を前提に形成された戦後日本の国家体制、統治形態、社会のあり方を根底からひっくり返す、一種の反革命クーデターだ。つまり1945年以前のような侵略戦争・世界戦争への徹底した国家総動員体制を再びつくり出し、それを可能にする軍事独裁国家の形成に必ず行きつくものである。
日帝は05年1月、日本経団連の改憲提言をもって9条改憲攻撃に総力を挙げてうって出た。05年秋には自民党新憲法草案を発表し、06年通常国会に改憲への外堀を埋める諸法案を次々と提出した。他方でイラク派兵をテコに日米同盟の枢軸的一体化を全力で進め、9条の実質的解体と自衛隊の侵略軍隊化、米軍再編と結合した基地強化に全力を挙げた。さらに規制緩和・民営化と労組破壊の攻撃を小泉構造改革攻撃として大々的に展開し、戦後労働運動が獲得した諸権利を奪いつくすことを狙うとともに、それを同時に戦争への国家大改造攻撃として推進した。
だが小泉政権下で一挙に進行し始めたこれらの攻撃は、労働者階級の抵抗の前に行きづまり、逆に日帝の政治支配の危機に転化し始めた。90年代以来の大資本攻勢のもとで積もりに積もった労働者人民の怒りが、ついにせきを切ってあふれ出す情勢に入ったのだ。
また日帝は、米帝の世界戦争戦略に自己を限りなく一体化させることで今日の世界危機と帝国主義間争闘戦の激化に対応しようとしているが、他方で日米枢軸に依拠すればするほど、日帝自身の敗戦帝国主義としての弱点をいやというほどつきつけられるジレンマに直面している。その中から、日帝独自で戦争をやれる国家体制をつくり出したいという極反動的な衝動が、支配階級の分裂を伴って猛然と噴き出してくる過程に入っている。
安倍政権は、まさにこれらの危機を暴力的に突破するための改憲突撃内閣として登場したのである。
安倍が「戦後体制からの脱却」を第一のスローガンに掲げたことは、その意味で実に重大だ。これはかつて、1930年代のナチス・ドイツが掲げた「ベルサイユ体制打破」のスローガンをほうふつとさせる。最も恐るべきことは、北朝鮮核実験への対抗を口実に、安倍政権の中心部から日本の核武装を求める声が飛び出してきたことだ。中川昭一自民党政調会長などの一連の発言は、単なる個人の主張では断じてない。安倍自身が容認し、けしかける中で生じている。
安倍はすでに、「自分の任期中(2期・6年以内)に改憲をやる」と米英のメディアに公言している。そして、安倍の側近である首相補佐官と内閣官房のもとに「教育再生会議」や日本版NSC(国家安全保障会議)の準備会議を設置し、「官邸主導」の政治ですべてを動かそうとしている。大統領型独裁体制への移行を狙うものである。その背後で攻撃の最大の推進役になっているのは、「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次ら、札つきのファシスト連中だ。彼らは、これまでの日帝支配体制を支えてきた霞が関の行政官僚や自民党内の他のグループとも激しい対立を演じながら、戦後の国家・社会とその価値観を破壊して戦争第一の国家体制をつくり出すことに一切をかけて臨んでいる。
(4)労組絶滅攻撃を打ち破り日本労働運動の再生を
安倍の改憲攻撃の突破口に位置づけられているのが、集団的自衛権の解禁と、教育基本法の改悪に始まる「教育改革」である。そしてその核心中の核心は、自治労や日教組など4大産別の労働組合の破壊を最大の柱とする全労働運動の絶滅にある。元首相の森喜朗は、「日教組、自治労を壊滅できるかどうかが次の参院選の争点」と言い放った。改憲をやるためにはそれが一切の出発点だということである。
実際に、安倍の掲げる「教育改革」の最大の狙いが日教組つぶしであることは、昨秋の国会審議で明白になった。政府・自民党は、教基法改悪の狙いは9・21判決を二度と出させないことだと明言した。中川昭一は「デモをする教員は免許剥奪(はくだつ)」の暴言を吐き、教育再生会議は「不適格教員の排除」を「学校再生」の最重要課題と位置づけた。
これは、かつての国鉄分割・民営化時に国鉄労働者に対して行われたいわゆる「血の入れ替え」とほとんど同じではないか。当時の中曽根首相は、分割・民営化で国労をつぶして総評をつぶすと言い、JR移行時の徹底した採用差別によって国労組合員を大量に職場から追放した。同じように、日教組30万組合員を始め戦争教育に批判的な教員は一人残らず学校からたたき出し、あるいは奴隷的な服従を誓わせるということだ。
同様の攻撃は、自治体労働者にも激しく襲いかかっている。安倍政権は「最大の抵抗勢力は官公労」と言い、公務員労働者の闘いと組織を圧殺することが現政権の最大課題であると宣言してきた。その焦点は100万自治労の解体である。
教労や自治体、全逓、国鉄の4大産別の労働者は、80年代の国鉄分割・民営化によって総評労働運動が解体されて以降も、指導部の屈服にもかかわらず労働組合としての団結を基本的なところで維持してきた。それは、連合の改憲勢力化をぎりぎりのところで阻止する歯止めとなってきた。だからこそ日帝は今日、この4大産別の労働組合に憎悪と敵意を集中し、その「壊滅」を絶対課題としているのだ。
そもそも80年代のサッチャー、レーガンに始まる規制緩和・民営化などの「新自由主義」攻撃は、帝国主義が内乱と革命防止のためにとってきた1930年代以来の国家独占資本主義的政策をもはや続けられなくなり、それを暴力的に破棄する一個の反革命として展開されてきたものだ。それは、労働者階級が2世紀をかけて闘いとった血と汗の獲得物をすべて奪い、時代を一挙に逆行させ、文字どおり「工場法以前」に戻すことで資本の無制限の搾取を野放しにする攻撃だ。その核心が労働組合の破壊と労働運動の絶滅だ。ここに、95年日経連報告や小泉構造改革にみる日帝の路線の本質がある。
しかもそれは、帝国主義の階級支配がすでに破綻に直面し、労働者階級の反乱への恐怖に駆り立てられている中での絶望的な反革命である。その未曽有の凶暴さ、激しさはここに起因するのだ。したがって、体制内改良主義を掲げるものや労資協調型の組合であったとしても、「労働組合」としての基礎的団結形態を残すものである限り、その存在自体を日帝はもはや認めることができない。なぜなら、たとえあらゆる闘いを圧殺しても労働者の団結が残っていれば、そこから必ず資本の支配を打ち倒す新たな革命の火が燃え上がることを知っているからだ。一切を根絶・一掃する以外にないのである。
また、15年戦争時を上回る新たな侵略戦争・世界戦争に突き進む上でも、労働組合的なもの、その思想や運動や組織を残したままでは国家総動員体制が成り立たない。この恐るべき階級絶滅攻撃との攻防の最先端が今、4大産別決戦として爆発しているのだ。
組合権力の奪還を
問題は、帝国主義とその攻撃に屈服してきた総評・民同以来の既成の労働運動指導部によって、労働組合の闘う力が奪われ、労働者階級の団結がその内部から形骸化されて解体され、労働運動への絶望が組織されてきたことだ。この突破に一切のかぎがある。
国会での巨大与党のほしいままな政治を許しているのは、労働者階級の怒りが弱いからでも、闘う力がないからでも断じてない。一切は民主党を軸とした全野党と連合・全労連中央の、帝国主義にあらかじめ屈服し、腐敗し堕落したあり方にある。
昨秋国会決戦の過程をみても、安倍が北朝鮮への排外主義を猛然とあおって日米軍事同盟強化と侵略戦争発動に動いたことに、野党は日本共産党や社民党を含めて北朝鮮核実験糾弾・国連制裁決議支持の大合唱を繰り広げた。この面では完全に安倍の応援団となったのだ。まさに、戦争突入前夜において、かつて第1次大戦時にドイツ社会民主党など当時の第2インターナショナル指導部が行った大裏切りの歴史を再現するに等しい。
こんな体たらくで、9条改憲や戦争国家化攻撃と正面から対決できるわけがない。まして日帝のかさにかかった資本攻勢や、労働組合破壊攻撃と闘えるわけがないのだ。そのことを典型的に示したのが昨秋11月、教基法改悪阻止決戦のさなかに日教組の森越委員長がとった行動だ。
11月25日、「朝まで生テレビ」に出演した森越はなんと、日教組組合員の国会前での座り込みへの八木秀次らの誹謗(ひぼう)中傷に対して「すみません」と謝り、「先週でやめました」と二度とやらないことを誓約したのである。これは、安倍政権や八木ら極右ファシスト分子の突撃と脅迫にたじろぎ、もう闘えないとして、その前に土下座して命乞いをするものだ。
現場労働者が今こそ総決起し、こういう腐敗し転向した既成幹部から組合権力を奪い取り、たたき出して、真に闘う執行部を打ち立てることがもはや待ったなしに求められている。日教組だけのことではない。自治労でも全逓(JPU)や国労でも、完全に同じ問題が突きつけられている。
連合中央はそもそも、一昨年の7・14見解で9条改憲と海外派兵容認に転換し、今日では高木体制のもとで小沢・民主党との一体化の動きを強めている。民主党が本年7月の参院選に向けて発表した基本政策は、集団的自衛権の行使を禁じた政府解釈の見直しを要求し、自衛隊の武力行使を積極的に支持するものとなっている。この民主党を連合が支持すること自体が、連合の改憲推進派への完全な転落だ。労働組合を変質させて日帝ブルジョアジーの手先に変え、労働者を侵略戦争に駆り立てる役割を担うものである。
日本共産党と全労連は、昨年1月の第24回党大会で不破に代わる志位体制を確立して以降、「資本主義の枠内での民主的改革」という、帝国主義打倒の立場を完全に放棄した路線をますます突っ走っている。「民主的ルールのもとでの大企業との共存」をうたい、日本の資本家階級が対米従属をやめて「アジア諸国とともに生きる」道を選択すれば、平和で豊かな日本が築けるなどという話をふりまいている。
だがこれは、帝国主義の現実の危機と戦争の切迫をおよそ無視した空論であるだけではない。現に今、多数の労働者が恐るべき低賃金・無権利の労働地獄に投げ込まれている時に、その元凶である日帝の大資本と闘うのではなく逆に「共存」を呼びかけているのだ! さらに、日帝が目指すアジアの勢力圏化を全面賛美し、そのお先棒をかつぐ役割をかって出るものだ。
しかも志位ら日本共産党中央は、9条改憲阻止の大統一戦線に対し、動労千葉などの排除を叫んでその発展に敵対している。階級闘争の勝利よりも自らのセクト的利害を優先し、大衆運動を選挙の票として利用するにすぎないというスターリン主義の本質は、何も変わってはいない。
こうした民主党・連合、日本共産党・全労連、社民党その他一切の闘わない既成野党や労組幹部をはねとばし、現場労働者の下からの決起で労働運動の現状を革命的にぬりかえよう。そこにこそ勝利のかぎがある。4大産別決戦の大爆発を先頭に、日本労働運動の再生をここで絶対にかちとろう。
(5)朝鮮・日本革命を拠点に21世紀世界革命へ進もう
今や、プロレタリア世界革命が完全に日程に上っている。世界の労働者階級と被抑圧民族人民の決起はすでに陸続と開始されている。その先頭に日本の労働者階級が立つ展望と現実性を、ついにつかみとることのできる情勢に突入した。
今始まっているのは、帝国主義が20世紀初頭以来、1世紀をこえて蓄積してきた諸矛盾の歴史的大爆発である。
帝国主義とは、資本主義の最高の発展段階であり、同時にその没落期の、死滅しつつある資本主義である。だがこの帝国主義は、プロレタリア革命によって打倒されない限り、生き続け、最後はその矛盾を世界戦争として爆発させ、全世界の労働者人民を地獄の底に引きずりこむ。1917年のロシア革命は帝国主義戦争を内乱に転化し、史上初の労働者国家を打ち立てることで世界革命の出発点を切り開いた。しかし革命を変質させたスターリン主義の裏切りによって帝国主義は基本的に延命し、第2次大戦へと突き進んだ。そして戦後革命の敗北によって再度生き延びた。だが今日、その命脈は尽きはて、最末期の腐敗した姿をさらけだしている。
現に今、帝国主義のもとで世界はどんな状態にたたき込まれているか。貧富の差のすさまじい拡大、労働者階級の恐るべき貧困化がいたるところで進行している。失業、飢餓、過労死が日常化し、社会の崩壊が日に日に深まっている。差別があおられ、他民族への抑圧が激化し、金権腐敗と強権の政治が横行し、世界各地で帝国主義の侵略と戦争による殺りくと破壊が繰り広げられている。
今日の帝国主義は、この現実を生み出しただけでなく、それを継続し拡大し続けることなしにはもはや一日も成り立たない。一刻も早く打ち倒す以外にないのだ。必要なのは、労働者階級の国境をこえた団結と、プロレタリア世界革命に向けての目的意識的な闘いの開始である。
米日帝の朝鮮侵略戦争切迫下で日韓米労働者の不抜の国際的団結を闘いとった今、日帝打倒、米帝打倒、さらに北朝鮮・中国スターリン主義打倒、朝鮮半島における労働者革命を基礎にした南北の革命的統一、それらを軸とする全アジアの解放に向けて、新たな挑戦を直ちに開始しなくてはならない。
とりわけ日本革命と朝鮮革命は、労働者階級の闘いとして、本質的にも現実的にも一体だ。戦後革命期の闘いが両者の分断とスターリン主義の裏切りによって敗北した痛苦な歴史をのりこえて、今度こそ勝利をかちとろう。民主労総ソウル地域本部を先頭とした闘う韓国労働者との同志的連帯を打ち固め、東アジアを新たな世界革命の根拠地とするために闘おう。
V 「闘う労働組合」を取りもどそう
(1)階級的団結よみがえらせ職場支配権の獲得へ
07年は、朝鮮侵略戦争攻撃、改憲攻撃、民営化・労組破壊攻撃との一大階級決戦の年になる。日帝の全面的な政治経済攻撃との激突になる。
日本経団連の御手洗会長は、「希望の国、日本」と題する1・1新ビジョンを発表し、その貫徹に07年の冒頭から突き進むことを宣言している。そこで御手洗は、今後の5年・10年の間に達成すべき課題として、「2010年代初頭までに憲法改正」「愛国心に根ざす公徳心の涵養(かんよう)」を挙げた。9条改憲を強行して対外侵略戦争に全面突入することを中心目標に掲げたのだ。
そしてそれと一体で、日帝が「労働ビッグバン」と呼ぶ労働市場の規制緩和=戦後労働法制の全面解体を叫んでいる。御手洗は「非正規雇用は格差社会の原因ではなく、もっと拡大すべきだ」と主張して回っている。さらに法人税率の10%引き下げなど企業への大規模減税を要求する一方、消費税率を2011年度までにまず7%にせよと打ち出した。道州制の導入、東アジアのブロック化促進も掲げている。
まさに〈外への侵略戦争と内への階級戦争〉を日帝の全体重をかけて一気に推し進めようというのである。安倍政権は、反動の極致が出そろったこの御手洗ビジョンを、強権をもって押し通すことを使命としている。07年は、この安倍=御手洗との一大激突の決戦の年となる。
07春闘はしたがって、それ自身が一個の巨大な階級決戦である。安倍政権の掲げる「成長戦略」とは、労働者階級への一層極限的な搾取と収奪の強化によって、日帝の大資本に世界市場を制覇できる国際競争力をつけさせようというものだ。それが「労働ビッグバン」であり、その柱が労働契約法の制定である。
労働契約法は、労働組合との団体交渉を排除して、労働者の労働条件を資本が一方的に決めることを可能にする。団結権の存在そのものを否定し、憲法28条に規定された労働基本権の完全解体を狙うものである。労働基準法の労働時間規制を全面撤廃する「エグゼンプション」制度の導入や、労働者派遣法の大改悪が、これとセットで狙われている。資本による解雇、出向・配転、不払い残業などをやりたい放題にし、休憩時間すらない恐るべき労働強化と過労死の地獄に労働者を追い込むものとなるのは間違いない。
こんなことを許したら、労働者の生命と生活は完全に破壊され、ボロボロにされる。エンゲルスが19世紀に『イギリスにおける労働者階級の状態』で描き出したのとまったく同じ情景が、現代の日本社会を覆うことになる。
さらに、07年の通常国会は、再び教育決戦国会となる。共謀罪を始めとする治安立法、改憲国民投票法案もますます焦点化する。米軍再編関連法、自衛隊派兵恒久法なども次々と決戦課題に上ってくるのは間違いない。
すでに多くの労働者階級人民は、民主党・連合の裏切りや日本共産党・社民党などの動揺と屈服をのりこえ、続々と決起を開始している。6000万労働者とその家族の「このままでは殺される」という叫びが、もはや押しとどめることのできない勢いで爆発し始めている。必要なのは階級的団結の回復とその強化であり、この道を進めば勝てるという行動方針だ。
(写真 教基法改悪案の参院特別委採択を弾劾【12月14日】)
労働者自己解放の道
革共同は、すべての労働者に、とりわけ日帝ブルジョアジーの凶暴な攻撃に最も激しくさらされている青年労働者に、心の底から訴える。
第一に、労働組合こそ資本・権力と対決する労働者階級の最も基礎的な団結形態であり、帝国主義による差別・抑圧の分断支配と闘う砦(とりで)だ。今こそ6000万労働者の手に本来の労働組合を取り戻そう。
この社会を実際に成り立たせ、動かしているのは労働者階級である。だが資本主義のもとでは労働者は、社会の真の主人公でありながら、資本を増殖し一握りの支配階級の利益を増大し続ける限りにおいてその生存が許されるという存在に転落している。資本の搾取は、労働者が団結して闘わなければ無制限に拡大し、最後は労働者とその家族を丸ごと死に追いやるところまで行きつく。だが労働者は、階級として一つに団結することで、この資本の支配を根底から覆す力を自分自身の中に持っている。労働者階級の解放は、同時に階級社会のもとで抑圧されてきた他のすべての人びとの究極的・人間的解放につながるものとなる。
労働組合とは、労働者階級が職場生産点での団結形成をテコに、資本との日常的なゲリラ戦を闘うと同時に、自らの究極的な解放へ向けて闘うための組織である。だがこの労働組合本来の姿は今日、資本に買収された労働貴族や体制内改良主義に転落した多くの組合幹部のもとで、大きくゆがめられてしまっている。青年労働者を先頭とする現場労働者の総決起でこの現状を断固として打ち破り、闘わない組合を闘う組合によみがえらせよう。さらに、労働組合のないところには新たに組合を組織して闘おう。
第二に、動労千葉を始めとして、関西生コン、港合同、全金本山など、日帝資本との非和解的な対決を貫いてきた労組の闘いから学ぶことだ。とりわけ、動労千葉労働運動の歴史と実践から貪欲(どんよく)に学ぶことを訴えたい。
動労千葉は、国鉄分割・民営化による国鉄労働運動絶滅攻撃と唯一、真っ向から2波のストライキで闘って勝利し、生き残った組合である。当時、40万人いた国鉄労働者が大量首切りによって21万5千人に減らされる中、国鉄最大の労働組合だった国労は一発のストも打てないまま、わずか5年間に23万人の組合員が4万4千人に激減した。なぜ動労千葉だけがこの嵐をくぐりぬけて生き残り、その団結を一層強化して闘い続けることができたのか。
それは何よりも、当局・資本と職場で日常的に闘い、かつ労働組合の原則をどんな時にも絶対に曲げず、貫き通して闘ってきたからだ。二つ目にマルクス主義で武装し、体制内労働運動と決別して、帝国主義に屈服するあらゆる思想・運動との非妥協的な党派闘争を貫いて闘ってきた。三つ目に、プロレタリア国際主義と労農連帯を正面から掲げ、それを徹底的に実践する中で組合を強化して闘ってきたことだ。
動労千葉とともに闘う関西生コン、港合同の2労組や全金本山もそれぞれ、資本・権力の激しい攻撃の前に労働運動の原則をねじ曲げようとする潮流と非妥協的に闘って、組合の団結を守り強化してきた。これらの闘いからとことん学び、実践していこう。
第三に、職場闘争の実践と現場労働者の団結形成を土台に、職場支配権の獲得、組合権力奪取への挑戦に断固として踏み出すことである。
労働組合に階級性を取り戻すこと。労働運動の階級的再生をかちとること。その一切は、ランク・アンド・ファイル(一般組合員)の決起にかかっている。組合は資本のおこぼれにあずかろうとする一部幹部の利益のためにあるのではない。一人ひとりの労働者のかけがえのない団結の場であり、資本の職場支配を実力で打ち破るためにあるのだ。腐敗した幹部を打倒し、組合を現場労働者の手に取り戻そう。その先頭に青年労働者が立とう。
闘う労働組合の全国ネットワークを拡大強化し、階級的労働運動の大発展をつくり出そう。全国労組交流センターはその中心となって職場生産点からこの闘いを担い、発展させよう。
http://www.zenshin.org/f_zenshin/f_back_no07/f2277b.htm#a9_1