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フセイン元大統領処刑:アメリカから学んだ「民主主義」は私刑
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200701021053042
リンチ(私刑)...
まちがいなくマーリキーと彼の側近は精神病の変質者だ。これは本当に類をみない卑劣なことだ。イード(イスラームの祭)期間中の処刑執行など常軌を逸している。世界中(イランは除くけど)のイスラーム教徒は激怒している。イードは平和な時だ。少なくともイードの間くらいは口論や怒りなどは脇においておくものだ。
これは来るべき年が良くないことの予兆だ。実際、狂人たちが聖日の期間中にこんなことをするなんて誰も想像していなかった。それは宗教的に容認できることではないという以前に憲法違反だ。私たちは少なくとも何日間かの平和と、新年と同時のイードの休日を楽しむことができると思っていた。 私たちは聖なる休日の最初の2日間を汚らわしい私刑の場面を見ることに費やせられたのだ。
救世主アメリカ・・・およそ4年経って、ブッシュがイラクでしてきた一番の業績はリンチだったってわけね。ブラボー、アメリカ人たちよ。
マーリキーは彼の生涯の誤りを犯した。特にイード・アル=アドハー(何百万ものムスリムたちがメッカへの聖地巡礼をする)の最初の日の、彼の署名とこの処刑全てにわたって見せたおおっぴらな喜びようは、彼のすでにボロボロになっている評判にますますダメージを与えるだけでは済まなくなるだろう。彼はまるでスーツを着たハゲタカ(そうでなければ、頭のはげかかったイタチ)のようだ。それにはほとんど恥ずかしくなってしまうくらいだ。彼が死刑執行文書に署名している時に口の端から流れ出るよだれを、今にもムワーファク・アッ=ルバーイが駈け寄って拭くのではないかと私は思った。こんな人たちが新生イラクを代表する人たちなの? 私たちはこれまで考えた以上に大変な窮地に立たされている。
BBCが報道しているようなお祝い騒ぎはまったくない。 少しの地域を除いて通りには人影も見えない。
さてCNNはどうか。CNNのジャーナリストたちよ、怠慢に恥を知るがいい。処刑についての話を書くのであれば、最低限最期の言葉くらい正確にしてほしいものだわ。あなたがたの記事は世界中で読まれていて、参照されるものとして将来にわたって歴史に残るのよ。世界最大のネットワークなんだから、マシな翻訳者を雇うくらいのことぐらいできるでしょ。以下の記事によれば、サッダームの最期の言葉は「ムクタダ・アッ=サドル」だとムニール・ハッダードは主張しているようだけど、それは間違いよ。少なくとも、テレビで映していたそのところを見さえすれば、誰にだってそれがわかるわ。
「目撃者であるイラク人裁判官のムニール・ハッダードによれば、死刑執行人のひとりがフセインに対して、元独裁者であるあなたがイラクを破壊したのだと言ったところ、それがきっかけになって部屋にいた何人かの政府の役人が参加した口論に火がついた。
そしてフセインの首の周りにロープが締められたとき、死刑執行人のひとりが“ムクタダ・アッ=サドル万歳”と叫んだとハッダードは言う。強力な反米のシーア派の宗教指導者のことである。
ハッダードの説明によれば、スンニであるフセインは死ぬ直前に、バカにした調子で“ムクタダ・アッ=サドル”と最期の言葉を発した。
リークされたビデオでは、「ムクタダ・アッ=サドル万歳」と大声で言ったのは死刑執行人ではなかった。どう、これがマーリキー政権のもうひとつの救いようのない下劣さよ。彼らは自分たちに好都合な野次馬たちを処刑の場に居合わさせていたのよ。マーリキーは、彼らは「裁判の証人たち」だと主張したけど、彼らは明らかに野次るための人間だった。
サッダームの首の周りに輪縄が巻きつけられるとすぐに、彼らは唱和し始めた。「モハンマドと彼の家族の上に神のご加護あれ...」その他うまく聞き取れなかったけれど(でもとても組織的だった)、続いて「ムクタダ、ムクタダ、ムクタダ!」と。彼らのひとりがサッダームに大声で叫んだ。「地獄へ行け…」 (アラビア語で)。サッダームは軽蔑して下を向いて言った。「ヒヤ ハイル マルジャラー…?」 「それがおまえの男らしさか?」というような意味だ。
少しは心ある者が野次る者に叫んだ「頼むよ、お願いだ、この男は処刑されようとしているんだ!」わずかに静かになり、そしてサッダームは立って言った「アシュハドゥ アッラー イラーハ イッラッラー、ワ アシュハドゥ アンナ ムハンマダン ラスールッラー…」これは「アッラー以外に神はなく、モハンマドは神の使徒であることを証言します」という意味だ。これらはイスラーム教徒(スンニ派もシーア派も同様に)が死に際して言うべき言葉だ。もう一度とてもはっきりとこれを繰り返したけれど、言い終わる前に彼は殺された。
だから、CNNは間違っているわ。彼の最期の言葉は、馬鹿にした調子の「ムクタダ・アッ=サドル」ではなかった。ただの想像なんだから誰か訂正しなくてはだめよ。(あなた方、この記事を書いた6人の人たちに言ってるのよ!)
あるいはまた、間違った情報を彼らに与えたのは裁判官のほうだったということができるかもしれない。 イラク上訴法廷の判事、処刑命令を承認した判事団の一人ということになる。アメリカが後見している判事団は絶対に嘘をつかないと誰もが思ってるんだから―それでCNNの混乱を説明できるわね。
ムワーファク・アッ=ルバーイは「サッダームは弱々しく怯えていた」と言った。 ルバーイは違う私刑を見たらしい。なぜなら、リークされたビデオによれば、彼は全く怯えていなかったもの。彼の声は震えてなどいなくて、黒い覆面を被るのを拒否した。 彼は運命を享受しているように見え、野次られている時には相変わらず挑戦的に見えた。 (昨年、アメリカ人に家を襲われたときにムフスィン・アブドゥル・ハミードの見せた有名なヒステリー発作と対照的だわね。)
ひとつ、私兵集団を人殺しに参加させること。これが言わゆるアメリカ人の誇る民主主義だ。私たちはこれほど血に飢えた恐ろしいものになってしまったの?これがいまのイラクを表しているということなの?処刑?他のアラブ諸国にさぞ感銘を与えることでしょうね。
世界で最も進んだ国のひとつは、イラクを再建するのを助けもせず、ちゃんとした憲法を作ることすら手助けしなかった。それどころか、彼らはとてもうまくでっちあげ裁判と私刑に貢献したわ。リンチはアメリカのイラクでの最も大きい業績として歴史に残されるだろう。そして次は誰? この戦争と占領の直接の結果として死んだ何十万もの人びとのために誰が絞首刑になるの? ブッシュ?ブレア? マーリキー? ジャファリ? アラウィー? チャラビ?
間違いなく2006年は、マーリキーと彼の政府で象徴される。今までになかったほどの人殺しとリンチでのしめくくり。いたるところ死と破壊に満ちている。わたしはもうこれらすべてに疲れ果ててしまった...
リバー 午後10時12分
(翻訳:リバーベンド・プロジェクト/ヤスミン植月千春)
*バグダードに住む若いイラク女性、リバーベンドのブログ、前便に続き12月31日付けのポストです。
(この記事は、TUPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです)原サイト:http://riverbendblog.blogspot.com/
日本語サイト:http://www.geocities.jp/riverbendblog/
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