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日中などが領有権を主張する東シナ海の尖閣諸島(沖縄県)に中国が武力侵攻し、日米が共同で対処する想定の演習を、海上自衛隊と米海軍が11月に硫黄島(東京都)近海の太平洋上などで実施していたことが29日、日米の複数の関係者の話で分かった。
陸自と米海兵隊は1月、米国で離島への武力侵攻や武装ゲリラの潜入に対処する共同訓練を行ったが、具体的に中国による侵攻を想定した大掛かりなシナリオに基づく日米共同の演習が明らかになったのは初めて。
中国の軍事的台頭への日米の強い警戒感を浮き彫りにした形で、日中関係にも微妙な影響を与えそうだ。
日米の演習は、海自のイージス艦など約90隻、P3C哨戒機など約170機が参加した「海上自衛隊演習」の期間中に実施。海自のほか米海軍の空母キティホークなど10数隻が加わった。
関係者は、尖閣有事は複数の想定の一つだったとした上で「特定の国を敵視した印象を避けるため、中国を「オレンジ」、日本を「青」、米国を「緑」などと、計8つの国と地域を色に置き換えた」と説明。シナリオは中国−台湾情勢の緊迫化を前提に(1)オレンジ国が尖閣諸島に武力侵攻(2)青国と緑国が海上交通路を確保し、青国が輸送艦で地上部隊を緊急展開(3)青国軍が尖閣諸島を奪還する−という流れ。
実際の部隊の展開は、硫黄島を沖縄本島、沖ノ鳥島を尖閣諸島、四国沖の太平洋を東シナ海に見立てて実施。海自の輸送艦が、陸自の西部方面普通科連隊(長崎県)と第12普通科連隊(鹿児島県)の計約150人を乗せ、佐世保基地(長崎県)から硫黄島に向かった。
米空母を中心とする日米艦艇が輸送艦を重要対象として護衛。オレンジ国軍役の海自潜水艦などとの戦闘訓練も行った。
硫黄島沖で横須賀基地(神奈川県)からの増援部隊と合流、沖ノ鳥島付近で訓練を終えたという。
【尖閣諸島】 沖縄本島の西約400キロの東シナ海に浮かぶ無人の小島群の総称で、最も西に位置する面積約3・8平方キロの魚釣島が最大。1895年に沖縄県に編入され、現在は同県石垣市に属する。第2次大戦後、米国の施政権下となったが、1972年に沖縄とともに返還された。周辺海域で石油などの埋蔵資源が見つかった70年ごろから、中国と台湾が領有権を主張し始めたとされる。中国は92年に「釣魚島」の名称で、同諸島を中国領と明記した領海法を制定。日本政府は同諸島の一部を土地所有者から賃借し、立ち入りを禁止している。
http://www.chunichi.co.jp/00/kok/20061230/mng_____kok_____001.shtml