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第二次大戦の真実は何か  【長周新聞】
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 12 月 29 日 17:16:04: ogcGl0q1DMbpk
 

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   第二次大戦の真実は何か

   福田主幹没5周年にあたって

                   戦争体験に基づく論議を 

   2006年12月22日付


 福田正義長周新聞社主幹の逝去から5周年を記念し、長周新聞社では来年前半年にかけて福田主幹顕彰の論議を訴えている。現代の日本社会をどう見るか、第2次大戦はいかなる性質の戦争であったか、戦後日本社会はどのような性質の社会であったか、戦後61年の大多数の人人の経験に基づく大論議を呼びかけている。そのために1983年に福田主幹が「戦争について小学生にわかりやすく話してほしい」という依頼に基づいて子どもたちに話した講演「戦争はなぜ起きたか」を再録したい。

 戦争はなぜ起きたか    
                1938年の講演 福田正義

 戦争の問題を考えるうえで重要なこと

 戦争の問題を考える場合、大局的な観点に立って考えることが大切です。人人の直接的な戦争体験は非常に貴重なものではありますが、個個のそうした体験は部分的・感性的なものです。これを大局的な観点と結びつけて理性化し、戦争はだれがなんのためにひき起こし、だれが犠牲になるのかということを明確にしなければ、どのように戦争に反対するのかもはっきりしません。

 たとえば、10数年まえに「靖国神社法案」の問題が起きたとき、これに反対するために、多くの人人の戦争体験を調べるということで、戦争遺族の人たちのなかに入って、どんなに深刻な戦争体験をしているかということを非常によく調べました。これは、大きな成果をあげました。だが、その戦争体験の問題も、それがいかに悲惨で苦しかったかということだけにとどめておいたのでは、その人民大衆の深刻な経験をよりどころにして、戦争の本質をはっきりさせ、帝国主義ブルジョアジーが仕組む戦争に反対するという理性的な認識に高めることはできません。戦争がいかに悲惨で苦しいものかということは、支配階級もけっこうマスコミを使ってやっています。

 しかし、それだけでは戦争を起こすものと、それに反対しているものとの区別がつきません。

 人民大衆の戦争体験を大局的な観点と結びつけて理性化しなければ、戦争に反対する力を真に強大なものにしていくことはできません。

 どんな戦争かをはっきりさせる

 1945(昭和20)年に日本が負けた戦争はどんな戦争で、その性質はどんなものであったかをはっきりさせることが大切です。

 その戦争によって、日本の人民大衆はどういう目にあったか、このことを知らないと、その当時の日本がどのようであったかということを知ることはできません。1945年に日本は戦争に負けた――その日本というのはどういう日本であったのか。つまり、日本のなかではだれが戦争をやり、だれが戦争の犠牲になったのか、だれが戦争をひき起こしそれを指導したのか、その結果、だれが殺されたり爆弾を落とされたり、家財道具を焼かれたりしたのか、ということを知らなければなりません。

 そのためには、戦争、戦争というが、その戦争は、どうして起こるかを考えなければなりません。戦争は、個人個人のあいだのけんかのように、国と国とのあいだでなにかいいあいをはじめ、それがだんだんひどくなって一方が他方をなぐる、そうすると他の方も相手をなぐり返すということから、だんだん争いが大きくなって戦争へ発展するというものではありません。

 戦争はなぜ起きるのか

 戦争は、だれがひき起こし、どのようにしてやるのか考えてみたことがありますか。なぜ戦争が起きるのか、その原因について考えてみなくてはなりません。

 ある日、きょうからどこかの国と戦争をやろうというふうに考えるようになり、戦争が始まるのか、そんなことはありません。今も戦争の危険が迫っていると多くの人がいっています。それはまさにそのとおりですが、それは1億1000万の日本の人民大衆はそんなことは思っていないどころか、戦争には反対です。にもかかわらず、戦争の危険は日ましに迫ってきつつあります。それはなぜか? それは一握りの支配階級がいて、彼らが戦争を望んでいるからです。だから彼らは、人民大衆に必要なことには金を使わないで、飛行機を買ったり軍艦を買ったり、自衛隊を強めるためには金を惜しげもなく使います。こうするのが支配階級です。

 1945(昭和20)年に日本は戦争に負けましたが、この戦争では、日本はすでに1931(昭和6)年に中国に対する侵略戦争を始めており、その後、中国に対する全面的な侵略戦争を展開し、さらに1941(昭和16)年からは、インドシナ(現在のベトナム)、フィリピン、タイ、ビルマ、マレーシア、インドネシアと侵略を広げ、同時に、これらの国を植民地として支配していたアメリカ、イギリス、フランス、オランダという国国とも戦争することになりました。また、終わりにソ連も参戦したので、わずかの期間これともたたかいました。

 前の戦争はづおして起きたのか

 日本という1つの国には1億という人がいました。この1億のなかの圧倒的な多数は、労働者であったり、農民であったり、漁民であったり、中小の商売人であったり、その他勤労によって生活する人民でした。ところが、これらの圧倒的多数の勤労人民を支配する者がいます。1945(昭和20)年以前の日本では、一握りの大資本家と、一握りの地主(土地をたくさん持っていて、その土地を耕作農民に貸して多額の小作料をとり、自分は遊んで生活をしている)がいました。そしてその2つの支配階級のうえに乗って、天皇が支配者として君臨していました。

 資本家は、労働者を搾取することによって肥え太っているのですから、労働者に対しては労働者が十分生活できるほどの賃金を払いません。非常にわずかしか払いません。

 当時の地主は(現在は農村においては地主はいないが)土地のない農民に土地を貸して耕作させ、自分は遊んでいて、できたコメの半分以上をとりあげます。金銭でとりあげる場合もあります。また農民に金を貸して高い利子をとりあげます。このように、労働者は賃金が安く、農民は耕作物を不当にとりあげられるので、労働者も農民もだんだん貧乏になっていきます。そうなると資本家が工場で品物をつくっても品物がだんだん売れなくなってきます。現在がそれに似ています。

 今は不景気で、商売人も品物が売れないといっています。なぜなら労働者や農民、漁民などの働く人たちの収入が少なくなっているからです。こうして資本主義の社会は、ちょっと景気がよいときがあるかと思うと、すぐに不景気が襲ってきます。不景気というのは、国民の圧倒的多数の勤労人民が、資本家や地主に搾取されて貧乏になり、物を買うことができないようになったときです。

 資本家は、自分たちの搾取によって国内で品物が売れなくなると、搾取を少なくするのではなく、今度はその品物を外国に売ってもうけようとします。それは日本だけではなく、アメリカもイギリスもフランスもドイツも、資本主義国はみんなそうです。

 そうなると、品物を売る場所をどちらがとるかということで争いになります。現在の例を見ても、アメリカと日本のあいだでも、アメリカは日本が自動車をアメリカに売りすぎるといって文句をいい、また、日本に対してオレンジや牛肉を買えといって文句をいいます。現在のアメリカと日本との関係ではまだこの程度の争いですが、これが世界中で、自分の品物を売るところ、すなわち市場を争奪することが非常に激しくなると、戦争という手段に訴えるようになります。つまり資本家は、戦争という手段によって、自分の支配する国や地域を広げていくのです。

 戦争には正義の戦争と不正義の戦争がある

 戦前の日本を見ると、日本の支配階級は武力で朝鮮を自分の植民地にし、朝鮮人民を過酷に搾取し抑圧しました。その後には中国を日本の植民地にするために、たくさんの軍隊を中国に派遣しました。これに対して、中国人民が自国を日本の侵略から守るために、人民の軍隊をつくって日本の侵略軍とたたかいました。これは、一つの戦争です。この場合の戦争は、日本の側からいえば侵略戦争であり、中国の側からいえば自国の独立を守るための民族解放戦争です。

 ところが、もう1つの戦争があります。それは中国なり東南アジアなりを、自分の支配下におこうとするための、日本の支配階級と同じような各国の支配階級とのあいだの戦争です。アメリカの支配階級も、イギリス、フランス、オランダの支配階級も、みな日本の支配階級と同じように、中国なり東南アジアなりを自分の支配下におくかということをめぐって争奪戦がおこなわれるようになります。第2次大戦まえの状態では、アメリカ、イギリス、フランス、オランダなどの方が早くからこれらの地域や国を侵略していたので、あとから侵略をはじめた日本とのあいだで戦争がおこなわれるようになりました。この戦争は、どちらの側からいっても帝国主義戦争であり、帝国主義同士のあいだの植民地・従属国の支配をどちらがするかという争奪の戦争です。

 これが、もっとも重要な問題です。資本家階級が人民大衆を搾取するから、日本国内の人民は貧乏になります。必要な品物が買えなくなります。資本家階級が、労働者に労働者の労働にふさわしい賃金を払ったり、農民を搾取しないようにすれば、日本の国内で品物が売れるようになるが、彼らはそういうようにはしないで、国内で売れなければ外国に持っていって売ろうとします。前にもいったようにほかの資本主義国も同じようにそうするので、外国での市場をめぐって激しい争奪がおこなわれるようになり、それは戦争へと発展します。

 資本家の起こす戦争で犠牲になるのはだれか

 そこで問題は、戦争をやるとなると武器を持って戦場に行くのはだれかということです。その場合、大きな資本家が自分で武器をかついで戦争をしに行くでしょうか。そんなことはありません。資本家階級から搾取され、抑圧されて、貧乏になっている労働者や農民やその他の勤労人民を「国のため」とあざむいて、戦争へ行かせるのです。

 こうして1945(昭和20)年までの戦争で、日本の人民大衆は320万人以上が殺されています。戦場で殺されているだけではありません。飛行機による爆撃や、広島、長崎の原子爆弾の投下などで何10万という人が殺されています。一握りの支配階級(このおもなものは一握りの資本家階級)のどん欲な金もうけのために、何100万という人民大衆が殺され、犠牲になります。これが戦争であり、帝国主義戦争です。

 1945(昭和20)年に、日本の支配階級がひき起こして負けた戦争というのはこのような戦争でした。この戦争のために日本の人民大衆は何100万人も殺されました。したがってこの戦争の経験から、人民大衆は再びこのような戦争が起こるようなことを許してはならない、これには断固として反対しなければならないと強く思っています。

 1945年当時、日本国土の都市の大部分は爆弾によって焼け野原になりました。東京も大阪も名古屋も、この下関も焼け野原になりました。人民大衆は一枚の召集令状によって戦争にかり出され、自分の親、兄弟や息子を殺されただけでなく、家屋敷や家財道具を爆弾で焼きはらわれて失いました。

 アメリカに占領支配された戦後の日本

 ところで、ここで1つの問題があります。この戦争をひき起こしたことによって、天皇をかしらとする日本の支配階級は、幾千万という人民大衆に筆や口でいいあらわすことができないほどの重大な損害を与えたうえに負けました。そうであれば、今度は人民が日本の主人公になるのが当然でしたが、そうはなりませんでした。日本の支配階級と、アジアの支配権をめぐって争奪しあったアメリカが日本を占領しました。

 このアメリカに負けて降参した日本の支配階級――天皇をかしらとする資本家階級は、今度はアメリカの後押しのもとで日本の人民の抑圧と搾取を始めました。

 アメリカはどう考えていたかというと、以前はアメリカの支配階級は、アジアにおける権益をめぐって日本の支配階級と戦争をしました。この戦争で勝ったら、日本の支配階級が再びアメリカに反対しないようにし、日本の支配階級を自分の手下にして、日本の支配階級と一緒になって日本人民を搾取し抑圧する道をとりました。現在でも沖縄、佐世保、岩国、横須賀、横田、三沢など全国いたるところに、軍事基地をおいています。こうして、戦争が終わってわずか5年目には、アメリカは朝鮮に対する侵略戦争を始めました。1960(昭和35)年以後にはベトナム侵略戦争をやります。

 これらの戦争は、みな日本を基地として、日本の支配階級に手伝わせてやっています。

 アメリカの手下になった日本の支配階級

 日本の支配階級は戦争に負けると、今度はアメリカの指図に従うことによって、アメリカの尻馬に乗って、一緒になって日本人民を抑圧し、アジアを侵略するというようにやってきました。だから、日本の支配階級は戦争に負けて、だれもかれも無一物になったような宣伝をしていましたが、そういうことはありません。

 人民大衆は親兄弟や息子など働き手を失い、わずかの財産は使いはたしたり、爆弾にあったりして無一物にさせられましたが、資本家階級の方は、戦争が終わった時期の機械、工場、土地その他の自分の財産はそのまま自分のものとして持ち、さらに国有財産を盗んで自分のものにしました。また、アメリカの尻馬に乗って朝鮮戦争やベトナム戦争に加担することによって、朝鮮人民やベトナム人民の血のしたたるドルを手に入れ、戦争終了後五年か10年でばく大な財産を持つようになります。

 そうして、それだけでなく、日本は、再び戦争をしないと憲法にまで書いていながら、再び軍隊をつくりはじめました。戦後はじめて軍隊ができたのは朝鮮戦争のときで、アメリカがつくらせました。当時、これは警察予備隊といい、これが今日の自衛隊にまでなりました。

 米軍基地は何のためにあるのか

 戦争に負けて変わったことの1つは、日本人民を支配するものは、天皇を中心とする日本の支配階級だけでなく、その上にアメリカ帝国主義がやってきたことです。今でもアメリカの軍隊は、日本の首都である東京周辺の横田基地や横須賀の軍港を持っており、そのほか、まえにもいったとおり岩国、佐世保、沖縄、三沢などたくさんの軍事基地を持っています。外国軍隊がこんなにたくさんの基地を持っている国は、ほんとうの独立国とはいえません。アメリカに従属しているということです。いざというときには、アメリカの軍隊は日本を基地として他の国と戦争をするし、またこれが重要なことですが、日本の人民を弾圧するのです。日本にも自衛隊があって、今しきりに税金を使って軍備の拡大をやっていますが、その自衛隊そのものが、アメリカの軍隊の指導のもとに「韓国」の軍隊なども一緒に、しょっちゅう演習をやっています。つまりアメリカの軍隊に従属しているのです。

 沖縄は戦後も長いあいだ、完全なアメリカの占領支配下にあって、日本に対しては外国あつかいでした。その後、アメリカは沖縄を日本に還しましたが、しかし沖縄のアメリカの軍事基地は東部アジア最大で、アメリカはベトナム侵略戦争の全期間にわたってここを基地とし、ここから直接ベトナムを爆撃する飛行機を発進させてベトナム人民を殺傷しました。

 日本の勤労人民は、第2次世界大戦の敗戦のなかから立ち上がって、戦後の破壊された社会を復興させ、発展させてきました。しかし、日本の資本家階級は戦後はアメリカの手下になって、アメリカの援助のもとに、だれもが知っているように憲法にそむいて再軍備を公然と進めてきました。また、人民大衆をひきつづき搾取し支配しました。したがって、戦争によって大変な犠牲を強いられた日本の人民は、敗戦後もなかなか自分たちの生活を立てなおすことができず、失業者は街にあふれ、生活はきわめて困難でした。とくに戦争によって働き手をとられた人人の生活の立てなおしは困難をきわめました。

 広範な人民大衆の生活が繁栄し、平和な社会をつくるためには、資本家階級の戦争への道に反対する人人の力を強いものにしていかなければなりません。

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