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【総合面】2006年12月29日(金曜日)付
日米、軍事機密保全を強化 協定締結へ 罰則適用も拡大
政府は、米国が求めてきた防衛秘密の保全に関する規則を包括的に定める「軍事情報一般保全協定」(GSOMIA)の締結に応じる方針を決めた。これにより高度な軍事情報の共有が可能になり、米艦船の修理を中心に日本企業への委託も増える。一方で秘密保全の対象が作戦や訓練、武器技術などに拡大し、罰則の範囲も広がりそうだ。日米の軍事一体化が進み、国民の知る権利が制約される恐れがある。
秘密保全の仕組み、どう変わる?
政府はすでに、米政府との実務者レベルの協議で大筋で合意しており、来年1月にも米ワシントンで開催する日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、久間防衛庁長官が米側にその方針を表明する。来年前半にも正式に協定を締結、通常国会で承認を得たい考えだ。
現在の日米間の秘密保全の仕組みは限定的なものだ。「日米相互防衛援助協定」(MDA)に基づくMDA秘密保護法の対象は装備品情報に限定されており、自衛隊法も防衛庁・自衛隊と装備品調達の関係企業などに秘密保護を義務づけている。ミサイル防衛(MD)の日米共同開発などでは、個別案件ごとに了解覚書(MOU)を結んで対応している。
これに対してGSOMIAは、両政府や民間企業などに軍事情報の秘密保全を義務づけ、漏洩(ろうえい)を禁じる包括的な枠組みだ。保全対象は、作戦情報や訓練情報、武器技術なども含む。
秘密保全の仕組みが整うことで、米軍が日本に配備している艦船の修理をする際、日本企業が米企業から委託を受けやすくなる。これまでは、機密性の高い艦船を中心に米企業が米本土で修理をするケースがほとんどで、日本企業への委託は少なかった。
政府は協定締結を優先し、秘密を漏洩した場合の罰則も当面は現行制度を適用し、新規立法は見送る考えだ。ただ、日本側で企業参加や関連する省庁が広がることで、結果的に罰則の適用範囲が広がりそうだ。
この問題では、米政府が、米軍の再編やMDなど自衛隊との一体化を進めるうえで、強く締結を要請してきた。昨年10月に合意した米軍再編中間報告には「共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる」ことが明記された。今年度からMDの共同開発も始まり、両政府内には高度で広範な情報共有とともに、秘密保全の枠組みが必要だとの共通認識が高まっていた。
米国は現在、北大西洋条約機構(NATO)加盟国を中心に六十数カ国とGSOMIAを締結している。ただ、実際に情報を交換する際は個別の取り決めを改めて交わしているため、2国間の具体的な取り決め内容は明らかになっていない。
◆キーワード
〈軍事情報一般保全協定(GSOMIA=ジーソミア)〉 米国が同盟国の英国やフランス、韓国、イスラエルなど六十数カ国と結んでいる軍事秘密の漏洩防止のための協定。秘密保全対象は軍事技術だけでなく、研究開発、訓練情報、作戦情報など。情報を管理する人や情報にアクセスできる人を定め、保管の方法やコピーなどについても事細かく手続きを定める。情報の媒体は書類、写真、録音、図表、手紙など広範に及ぶ。General Security of Military Information Agreementの略。
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