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□イラク:スンニ派指導者に集まる支持の声 [JANJAN]
http://www.janjan.jp/world/0612/0612176628/1.php
スンニ派指導者に集まる支持の声 2006/12/21
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【バグダッドIPS=ダール・ジャマイル、アリ・ファディール、11月20日】
スンニ派指導者ハーリス・アル・ダーリ師に対し先週イラク政府から出された逮捕令状は政府に波紋を及ぼし、スンニ派の多くの人々を大いに刺激した。
イラクのジャワド・ボラニ内務相は、テロと暴力を扇動しているとしてアル・ダーリ師が指名手配されたと記者に述べる一方で、タリク・ハシム副大統領は、逮捕令状は「国内の融和計画を破壊するもの」と語った。
スンニ派有力組織イスラム聖職者協会(AMS)を率いるアル・ダーリ師(65)は、身の安全を懸念して5カ月前にイラクを出て、現在はヨルダンにいる。AMSはイラクの抵抗運動との関係を知られており、米国の占領と米国が支援するイラク政府に一貫して反対している。
AMSは、占領下での政治活動への参加をこれまで拒否し続けており、選挙その他の活動の「公正と透明性」を確保できるよう米軍の撤退を強く求めている。
アル・ダーリ師は、逮捕令状は「イラク政府の失敗と混乱の証」と非難し、民兵組織と警察の関係を示す治安不祥事から注意をそらそうとするシーア派閣僚の企てだと示唆した。
スンニ派は、横行している「暗殺団」によるスンニ派殺害はシーア派主体の政府に責任があるとしている。シーア派は、イスラム教第2の宗派で、預言者ムハンマドの継承者として、スンニ派の言うカリフではなくムハンマドの従兄弟であるアリーのみを支持する人々である。イラクでは、シーア派が人口2500万人のうちおよそ60%を占めている。スンニ派イスラム教徒であるサダム・フセインの政権下では、少数派であるスンニ派が政治の主導権を握っていた。
アル・ダーリ師は、イラク人民に自制を求め、こうした「陰謀」にはまらないように呼びかけた。彼は、政府高官も同じ法廷に出廷し、イラク人民に対する犯罪について尋問を受けるのならば、自分も出廷するとしている。他方スンニ派政党は、不安定な政権から離脱すると脅している。
イラク政府のこの動きは、多くのシーア派の怒りもかっている。バグダッドにおいてジャワド・アル・カリシ師が率いるシーア派の運動アルカリシヤは、逮捕令状に反対を表明した。このグループはまた、AMSやIraqi Foundation Conferenceの一員である他の指導者とともに、占領にも反対している。
アル・カリシ師は、「腐敗した政府に対する怒りを増幅させるだけの愚かな令状だ」と衛星放送アルシャルキヤで語った。師は続けて、宗派や宗教にかかわらずイラク人民を擁護するアル・ダーリ師を称賛した。
他のグループもこのスンニ派指導者を支援している。イラク共産党のタラル・サイェド氏はバグダッドでIPSの取材に応え、「アル・ダーリはスンニ派の中心的人物であり、彼の組織は地域でスンニ派を代表する主要組織と考えられている」と述べ、「いかなる行政機構も代表する者でないにもかかわらず、アル・ダーリ師は広く認められた指導者として域内諸国の政府から正式な招待を受けてきた。彼はスンニ派だけのために発言したことはなく、常にすべてのイラク人民に対し宗派間の殺害を禁じてきた」と語った。
ハーリス・アル・ダーリ師の名声は、ひとつには、祖父ダーリ師から受け継いだものだ。20世紀初頭、英国によるイラク占領に対するレジスタンスを率い、高まる抵抗運動を鎮圧するためにファルージャに派遣された英国軍のジェラルド・リーチマン少佐を殺害したのが、祖父ダーリ師である。
アル・ダーリ師は占領に一貫して反対しており、このことから彼は米国とイラクのその協力者の敵と見なされている一方で、大半のスンニ派と多くのシーア派の政治・宗教指導者から広く尊敬を集めているのである。
CIAとのつながりが深いイヤド・アラウィ元暫定政権首相も、アル・ダーリ師に対する逮捕令状を非難している。
シーア派最高指導者アリ・アルシスタニ師のスポークスマン、アリ・カルバライ師は、逮捕令状を強く非難し、かかる行為はイラク人民の連帯と安全を脅かす危険があることを認識すべきと政府に呼びかけた。
他方、イランとの密接な関係をしばしば非難されている与党シーア派政党とその指導者は、アル・ダーリ師を厳しく攻撃し、宗派間の争いを扇動していると非難している。これらのグループは、タラバニ大統領とクルド政党の支持を得ている。(原文へ)
翻訳/サマリー=坪沼悦子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩
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(IPSJapan)