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(回答先: Re: テスト 投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 2 月 07 日 21:37:05)
http://www.jrcl.net/web/frame080211f.html
中東情勢 ジルベール・アシュカルとのインタビュー(上)泥沼にはまり込んだアメリカ「戦場」の拡大と絶対的兵員不足解説 中東全体の枠組みの中で問題をとらえるブッシュ米大統領は恒例の「年頭教書」で、イラクへの米軍の「増派」と首都バグダッドを中心にした「武装勢力掃討戦」によってイラクの治安が著しい改善を見せたとしてその「成果」を誇った。しかしそれが決してイラク情勢の構造的な安定化をもたらすものでないことはペンタゴンやCIA自身が知っていることである。 他方、イランの「核開発」をめぐって米・西欧のイランへの制裁が強化されている。イランは「核兵器」の開発を明確に否定し、米CIAの報告によってもイランの「核兵器」保有計画は放棄されたことが認められているにもかかわらず、ブッシュ政権とイスラエルはイランへの新たな軍事的攻撃の可能性を示唆している。 以下のジルベール・アシュカルへのインタビューはイラク、イラン、パレスチナを中心に中東全体の枠組みの中でこの問題に焦点をあてている。ジルベール・アシュカルはレバノン出身の国際政治学者で、パリ第8大学教員を務めてきた。現在ロンドンの中東・アフリカ研究スクールで教鞭を取っている。アシュカルは、イラク反戦運動などでも積極的に活動しており、邦訳書に『野蛮の衝突』(作品社刊)、編著に『エルネスト・マンデル――世界資本主義と二十世紀社会主義』(つげ書房新社刊)がある。このインタビューは「ステート・オブ・ネーション」のシハン・アクサンとジョン・バリーズが行ったもの。(本紙編集部) 米軍の占領と部族主義――二〇〇七年は、イラクの米軍にとって致命的なものとなるということが立証された年となりましたが、ブッシュ政権は、死者の数が減少し、アルカイダがバグダッドから追い出され、アンバル州とディヤラ州のスンニ派部族指導者が米軍と協力しているなどと述べ、これはすべて主要に米軍の増派と結びついていると、楽観的なことを言っています。最近のイラクでの事態の展開についてどのように評価しますか。 そうですね。ワシントンが発するあらゆる声明について否定することはありません。表面的にはそうでしょう。相対的には││あくまで相対的でしかないのですが││少なくとも記録の上では死者の数は減っています。バグダッドでの治安管理はある程度作動しているように見えますが、しかしそれもまたいわゆる米軍の「増派」が首都に集中したこと、ムクタダ・アル・サドルの「マハディ軍」が米軍との衝突の可能性があるあらゆる場所からの撤退を早期に決定したこと、そしてスンニ派の反対派グループもそうしたからです。 キルクークとクルド人問題失敗はまぎれもなく明らかです。制度的枠組みの中で活動しようと望んでいた様々な勢力間の、政府レベルでの矛盾がたくさんあります。こうした深刻な問題に、キルクークをめぐるクルド人とその他の勢力の間での予想される緊張を付け加えるべきでしょう。それはいまだ完全には前面に現れていません。「その他の勢力」という場合、私は他のイラク人コミュニティー、すなわちアラブ人多数派やトルクメン人少数派だけではなく、トルコのことについても言っているのです。トルコそれ自身は、イラク北部への軍事侵攻の脅しをエスカレートさせています。それは公式にはPKK(クルド労働者党)を理由にしていますが、実際には当初(二〇〇七年)十一月に計画され、その後延期された住民投票によってキルクーク問題を解決するということとの関係で進められています。これはトルコ政府が非常にナーバスになっている問題です。トルコは、キルクークが事実上のクルド人自治国家に引き渡されることを受け入れようとしないし、必要なあらゆる手段を通じてそれを阻止しようとしています。これは米国にとってさらに重大な問題です。これは二つの地域的同盟者、すなわちイラクにおけるクルド人の同盟者とトルコ軍部の衝突の可能性を含んでいるからです。 私がここに上げたすべてを考慮に入れれば、米国にとって完全なまでに惨憺たる失敗です。イラクでの失敗だけではありません。実際は米国の中東政策全体の破滅なのです。 パキスタンとアフガニスタン「広域中東」と言われる地域全体をとってみれば、その破綻はいっそう明白になります。アフガニスタンを見れば、タリバンの復活には目を見張るものがあります。そして今やパキスタンはまさに混沌の間際にあり、それは米国にとって不安の種です。パキスタンは米国の重要な同盟国であるだけではなく、核保有国家でもあるからです。もし、最終的にパキスタンを混沌が支配することになれば、それがアフガニスタン、イラク、イランにどのような結果をもたらすかを想像できるでしょう。イラン政府は、米国がこうした諸問題の泥沼にはまりこんでいることを良く知っており、したがってイランは米国の脅しを深刻なものとして受け取ってはおらず、少なくともこうした脅しで思いとどまりはしないことを示しています。私たちはここに、米国のパワーの信頼性といわれる問題を見ています。それはブッシュ政権の破滅的なバランスシートによって大きく影響を受けています。ブッシュ政権は、米国が冷戦の終焉とソ連の崩壊によって得た資産のほとんどを使い果たしてしまいました。 ソ連の麻痺と崩壊は、レーガンの時代に構築された米国の巨大な火力と新鋭兵器を圧倒的に見せつけたイラクへの最初の戦争と時期を同じくしていました。そこからもたらされた全体的なイメージは、米国は以前よりもさらに強力になり、ソ連が核兵器を手に入れた前世紀の中葉以後のどの時点よりも、世界の他のどの国をも大きく引き離してしまった、というものでした。ジョージ・W・ブッシュは、ソ連崩壊以後の全年月を通じて増強してきたこの軍事的優位性だけではなく、米国の歴史上最も長期にわたる経済成長をも引き継いだのです。 したがって米国が優位性を享受する多くの要素があったのです。ブッシユ政権は、この巨大な資産を運営する責任があり、そして米帝国の収支勘定を赤字にしてしまうという偉大な「業績」を達成しました。これはまさしく「業績」です! ブッシュ政権は、米国で最も反動的な政権である――彼はすでにスタート地点からこの記録を更新しました――というだけではなく、米帝国のプロジェクトにとって最も破滅的だという点でも、確実に歴史に名を残すことでしょう。このことはまったく明らかであると私は思います。 サドルとマハディ軍の関係――あなたは、ムクタダ・アル・サドルとマハディ軍が米国との衝突を避けるために撤退したことに言及しましたね。サドルはさる八月、軍を「そのイデオロギー的イメージを守りながら再建する」ためにマハディ軍の作戦を六カ月間停止することを命じました。この命令は、カルバラでの対立するシーア派分派との二日間の衝突の後に出されたものです。この衝突では五十人以上の生命を奪い、聖地から数十万人もの巡礼者を追い払うことになりました。サドルにとって「再建」とは何なのでしょうか。彼はマハディ軍全体の統制を保てるのでしょうか。彼の長期的目標は何でしょうか。 彼にとって統制は非常に難しいことです。というのは、マハディ軍は初めからならず者の集まりであり、サドルはサダム・フセインの打倒後に登場したにすぎないきわめて若い人物で、彼が頼ることができる組織や指揮官のネットワークを持っていません。 アメリカとイランの思惑――米国は、一九七九年の革命と米大使館占拠による危機以来の最も厳しい経済制裁を、イランに対して一方的に課しています。欧州諸国の政府、とりわけイギリス、フランス、ドイツは米国のキャンペーンを支持しているように見えます。米国以外の多国籍企業は、もしテヘランとのビジネスを続けるのならば、米国に関する彼らの利害が危機にさらされるというリスクを負うことになるという、ワシントンからの脅しにさらされています。イランに対する経済的圧力に続いて軍事行動が取られるという可能性はどの程度でしょうか。 まず最初にイランの観点から見てみましょう。イランは何が進行していると認識しているのでしょうか。彼らは米国がイラクとアフガニスタンで泥沼にはまりこみ、米軍がすでにその人的資源の点で手足を伸ばしすぎた状況に直面していることを知っています。 イスラエルとブッシュ政権ここでワシントンの側から見える展望について検討しましょう。まず最初に私は、私がここで挙げた諸要因についてブッシュ政権が十分に気づいていると言いたいのです。その上、大統領は政治的に末期症状を呈しています。彼は、議会の多数派を失い、世論調査での支持率はぞっとするほど低く、彼への信頼も極度に低下しています。したがって、アメリカの支配体制の中ではイランに対する制裁の強化を支持するという、ある種の超党派的一致が見られますが、いまだ何らかの軍事的行動についての合意がないのは確かなことです。したがって、こうした要素をすべて考慮すれば、イランに対する軍事的攻撃の可能性はきわめて低いと私は思います。少なくとも合理的な基準を取れば、それは極めて低いのです。この政権は、完全に合理性に従って行動するわけではなかったことが明らかになっているので、私は「少なくとも」という言葉を使ったのですが。それでは、彼らが何らかの常軌をはずれた新たな冒険主義作戦を取るでしょうか。ペンタゴンの気が進まず、あるいは敵対的である時に、再びそうしたことをやると認識するのは難しいですね。 事実上、イランに対する軍事攻撃に最も利害関心を持っているのはイスラエルの体制です。イスラエルの支配体制は、米国の政権がイスラエルに対して借りがあると感じています。なぜなら、彼らはイラク侵攻以前に、真の敵はイランであると考えていると米国に主張し、ブッシュは彼らに対してこの次はイランだと語っていたからです。 今や彼らは、ブッシュ政権が「ベトナム・シンドローム」の大規模な再来といった破局的なバランスシートを持って、この戦場から速やかに離脱することになるだろうと感じています。レーガンの時代にもそうであったように、何らかの将来に米国政府が大規模な軍事作戦に参加する可能性は、きわめて限られています。イスラエルがブッシュ政権に対して、この政権の最後の年にあたって、去っていく前に約束を履行するよう望んでいるのはそのためです。ブッシュ政権との、あるいは少なくともその一部との何らかの秘密了解の後に、イスラエルがイニシアティブを取る可能性さえあります。 しかし、このシナリオの形式的側面にも問題があります。イスラエルが空からイランを攻撃するには、トルコ、ヨルダン、サウジ王国といった諸国によるゴーサインを得ることがなければ大きなリスクを伴うからです。そしてもちろん、イラク上空は米国が支配しているので、もしイスラエルがこのルートを取ることになれば、それは米国が結託していることの明白な証拠となります。 イスラエルは全状況に点火するためにミサイル攻撃に依拠することもできるでしょう。しかし彼らが、そのレベルで何らかの意味ある結果を達成する手段を持っているかどうか私には定かではありません。そしてもしイラン国内のターゲットに対していかなる重要な軍事的打撃をももたらさないまま、この地域に火を放っただけだというのなら、彼らはいったい何を達成したというのでしょうか。それは、イスラエルの攻撃を将来ありうる核攻撃の先触れと見なして核兵器を手に入れようとするイランの意向を強めることになるだけです。 シーア派コミュニティー――ブッシュ政権は、イラン革命防衛隊をテロリズムの支援者だと名指しました。主権国家の軍隊にテロリスト組織だとのラベルを貼ったのは初めてです。革命防衛隊はどの程度まで中東全体の動きに関与しているのでしょうか。 ここ数年、イランの外部での公然たる直接的な関与はありません。しかしイラン政府はもちろん、人目につかない方法でイラク、レバノンなどの諸国に積極的に介入しています。これらの諸国にはイランが容易に接触できる強力な同盟者がいます。パレスチナの一九六七年占領地にもハマスのような同盟者がいますが、そこでは相互協力の可能性はきわめて限られており、イラク、レバノンなどとは違います。 同盟軍としてのハマス・ヒズボラ――イランの地域的願望にとって、超国家的なシーア派コミュニティーはどれほど重要なものなのでしょうか。 イランは、同時に使えるようにしたいと願っている異なったカードを用いています。地域的に言えば、一方でシーア派という要素は重要なものです。したがってそれが、イランの影響力を拡大する上で最も「自然な」ネットワークであることには明白な理由があります。しかし汎イスラム的要素も存在しており、シーア派国家としてのイランは、ムスリムの圧倒的多数派であるスンニ派の中の反シーアの宗派的感情を促すことで自らを孤立化させようとするあらゆる試みに立ち向かうのに必死になっています。 |