七月七日から予定されている洞爺湖サミットは、四月五日の東京での閣僚級会議・開発相会議を皮切りに日本各地で閣僚級会議が予定されている。二〇〇〇年の沖縄サミットの翌年の二〇〇一年イタリア・ジェノバサミットを二十万人で包囲した闘い以降、G8サミットは行く先々で万を下らない民衆によって激しく抗議され、包囲されてきた。 二〇〇八年の年頭に当たり、日本共産青年同盟は日本と世界のすべての青年に、洞爺湖G8サミットを包囲する闘いにたちあがることを呼びかける。 No Global War! 中東・世界軍事支配と 植民地主義の「戦争会議」 二〇〇一年の9・11同時多発テロ、そして二〇〇三年のイラク開戦以降、このG8サミットやAPEC(アジア太平洋経済協力)などのこのての国際会議の最大のテーマは「テロとの戦い」である、とされている。しかし、実際に話し合われているのは、米ブッシュ政権の強い意向によるイラク・アフガンへの具体的な各国部隊の派兵についてであり、派兵しない国による「復興支援」という名の占領事業への投資についてである。 とりわけ、イラクは石油が強奪されているのみならず、イラク国内の電気・水道・道路整備などの生活インフラ部門が、ことごとくアメリカをはじめとする各国のグローバル企業に払い下げられている。G8サミットでは、アメリカがイラク占領に「理解」を求め、その引き換えとしてグローバル企業が巣食う「甘いケーキ」となったイラクにおける占領事業の利益分配・調整は「裏」の最大のテーマである。 言うまでもなく「G8の戦争屋」は、ブッシュだけではない!イラクにおける最大の同盟者・イギリス、この「21世紀の植民地主義」=占領事業の最大のスポンサー・日本、「私ならイラク戦争に参戦した」と口を滑らせ、外相が「イランの核を排除するためなら戦争も辞さない」と宣言したフランス・サルコジ政権、チェチェンで暴虐の限りを尽くし、人々を踏みにじり続けるロシア・プーチン後継政権などなど、血塗られた政府の権力者たちが、互いの「軍事バランス」を気にしつつ、上手に戦争による利益の分配を図ろうという「戦争会議」が、G8サミットの本質である。 イラク・アフガンの軍事占領をただちに止めよ!占領軍は撤退せよ! アジア・中東に米軍基地はいらない!米軍基地は再編でなく撤去せよ! すべての核兵器をただちに廃棄せよ! GANG8の戦争会議はいらない! このようなスローガンによって、この「戦争会議」の包囲を準備しよう! No Global Warming! 地球を食らい尽くす「グローバル企業 の代理人」による「環境破壊会議」 温室効果ガスによる地球温暖化の対策が世界的な課題に上っている中での、この洞爺湖G8サミットは、「環境が最大のテーマ」などと喧伝されている。しかし、実際は実効ある温暖化対策の取り組みを拒否し続けるアメリカ・ブッシュ政権と、そのブッシュをサポートし国内の財界の意を汲んで「CO2排出権取引」の導入すら拒否する日本政府など、かれらに温暖化対策に取り組むという意思も能力もない。かれらにあるのは、グローバル企業の経済活動になんらの支障も規制ももたらさないように、いかに「ちょっとは考えている」フリをするか、だけである。 ならば、ヨーロッパ諸国の政府は、マスメディアの言うように「環境」や「CO2対策」に熱心なのか?断じて否である。フランス、ドイツなどは、従来の「脱原発」政策を転換し、原子力回帰を求める声が政府内で強くなっている。それを正当化する理屈として「CO2排出を減らすため」などとしている。原発は火力発電からの供給のもとで稼動し、おなじ発電量でも水力風力と比較にならないほどのCO2を排出する「地球かじり虫」である。また、ヨーロッパ諸国は二〇〇七年G8での「原発を含めたクリーン・エネルギーへの転換の促進」という結論では一致している。 また、EU諸国は「CO2排出権取引」における国際的な「取引の管理」を世界銀行に委ねることを提案している。IMF(国際通貨基金)世銀の無理な構造調整プログラムによって、第三世界諸国の環境がどれだけ破壊されてきたか。グローバル企業の進出の露払い役として機能し、貧しい国の人々を破滅させてきたIMF世銀は「環境」など語る資格もなければ、関わらせてはならないのである。IMF世銀はG8とともに消えてなくなれ! G8サミットで語られるのは、「環境」についてではなく、このようなエコ・ビジネス=地球を食らい尽くすまでの金儲けのための「環境破壊会議」である。 No Globalization! 労働者の権利と民主主義を破壊する 「新世界無秩序」のための会議 G8サミットは、ここ数年かならず「WTOによる自由主義経済の促進」を会議の最後に合意して閉幕する。その内容は、グローバル企業の展開のために、どこの国でどれだけの規制緩和が可能であり、どの産業部門の民営化が可能であるか、そのなかでどれだけ「新自由主義」という名の無秩序な「自由競争」のために各国の社会と世界を作り変えられるか、の相談である。そこで集中的な攻撃の的にされるのは、労働者の権利である。 また、「国際的な反テロ体制の構築」も、G8サミットの必須のお題目となっている。それは、世界の民衆を「60億のテロリスト予備軍」に見たてて、民衆が戦争と新自由主義の「新世界無秩序」に反対し、「帝国」に反旗を翻す前に、出入国管理の徹底や悪名高い共謀罪のような治安立法を各国に促すことによって未然に押さえ込む役割を果たしている。 その「監視社会のグローバル化」によって、グローバル企業が「永遠の夢」を見続ける体制を確立しようというのが、G8サミットである。しかしそのG8サミットは、行く先々で各国の民衆の激しい反対と抵抗に直面している。この当然の抗議を「暴力デモが起きる」とでっち上げて、戒厳令並みの厳戒態勢を敷き、活動家の国境を越えた移動を入念にチェックすることでG8サミット開催そのものを「民衆監視体制」の先取りとしているのが、ここ数年のお決まりのパターンとなっている。 しかし、G8サミットのような世界について何かを決定する権限があるはずもない「権力者の饗宴」が、戦争と環境破壊、労働者の権利の破壊を決定していくという非民主的なあり方が大きな抗議に直面するのは当然のことである。日本でのみG8サミットが平穏なままに開催されるならば、それは恥ずべきことであり、問われるのは民衆の「民主主義意識」である。平和と人権、民主主義と公正な社会のために起ちあがり、このG8サミットという「権力者の饗宴」を包囲する世界の数百万の人々の輪に加わろう!この世界のあり方を転換させる一つの契機として、G8サミットを包囲する巨大なレジスタンス運動を作り出そう! 日本共産青年同盟は、日本と世界のすべての青年に訴える。もう一つの世界は可能だ! そして、もう一つの世界が必要だ! G8の世界支配体制を打ち倒そう!
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