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(回答先: Re: テスト 投稿者 熊野孤道 日時 2007 年 11 月 24 日 20:21:30)
市教委「スチューデントシティ・ファイナンスパーク事業」の問題点
http://sugakita.hp.infoseek.co.jp/newpage53.htm
*住民監査請求口頭陳述書
・事業の全容と問題点が全て分かる請求人の陳述書(2007.2.22)
http://sugakita.hp.infoseek.co.jp/SC%20chinjyutsu%20img042.pdf
陳述書
2007年2月22日
請求人 北上田 毅
ここでは、児童・生徒らは、単に企業の広告広報の対象として位置づけられ、教育現場が企業の宣伝の場とされてしまったのである。1
地方公共団体が公費で運営する公立学校は「公の性質を持つ」(教育基本法・旧法第6条、新法第6条2)もの
――――――――――――
1 私自身も、3年前までは京都市の職員だったが、たとえば職場に企業から提供されたカレンダー等を掲示しようとする場合も、特定の企業の宣伝になってはならないということで、カレンダー下部の企業名を切り取るなどの指示がされていた。友人の京都市の教員の話でも、教材の配布や職員室での掲示物などについて同じような配慮がされているとのことである。
2 教育基本法は昨年12月に「改正」されたが、この監査請求で問題となっている京都市長と「ジュニア・アチーブメント日本」との委託契約に伴う公金支出等は、それ以前の支出であるので、ここでは「改正」前の教育基本法のことである。なお、「改正」後の教育基本法について説明する場合は、「教育基本法(新法)」と表示する。
であり、公教育の理念である「公共性・公平性・中立性」が損なわれることがないよう留意しなければならないことは言うまでもない。たとえば教科書の検定基準でも、「図書の内容に、特定の営利企業、商品などの宣伝や非難になるおそれのあるところはないこと」(文部省告示「義務教育緒学校教科用図書検定基準」)とされているが、これは公教育全般に言えることである。公教育の場では、特定の企業の宣伝にあたる行為は禁じられているのは当然であり、今回の京都市教委の事業は違法なものである。
さらに、今回の事業では、出店だけではなく、「バインダ、観葉植物、時計」などのようなものまで企業の寄付を求めているが、これは大きな権限を持った行政による民間企業への「タカリ」としか言えず恥ずかしい限りである。
2−2.財界、特定の民間団体による公教育への介入
本事業では、京都市教委が、民間団体である「ジュニア・アチーブメント日本」と委託契約を締結し、「ジュニア・アチーブメント日本」から全てのプログラム・教材等の提供を受けて児童・生徒への授業がすすめられるという。
すでに実施校の小学5年生、中学1・2年生全員に『ワークブック』が配布され、教員らには「指導者マニュアル、指導用補助教材等」らが配布された。これらの教材は、昨年11月に、「ジュニア・アチーブメント日本」から直接、各学校に送られている、(事実証明書21)しかし京都市教委として、この『ワークブック』を使用するという決定手続きはとられていない。
契約書に添付されていた仕様書では、「京都市独自のプログラム作成は、京都市と『ジュニア・アチーブメント』が共同して行う」とされていたはずだが、
児童・生徒全員に配布された『ワークブック』には、全ページにわたって、下部に「著作権:『ジュニア・アチーブメント日本』」と表示され(事実証明書P、Q、R)、配布にあたって市教委から各学校長に出された文書でも、「これらの教材については、『ジュニア・アチーブメント日本』に知的財産権がありますので、取扱にはご注意ください。」と強調されている。(事実証明書 21)京都市も共同して作成したはずなのに、何故、全ての知的財産権が「ジュニア・アチーブメント日本」にあるというのか、これも納得できない。
また、「取扱にはご注意ください」という指示は、具体的にはどういうことを意味しているのかも不明である。
小学校5年生の児童の保護者からは、本事業でどのようなことをしているのか知りたいと子どもに尋ねたところ、「教材の持ち帰りは禁じられている」として、『ワークブック』を見ることもできないと苦情が寄せられている。保護者が、自分の子どもがどのような教材を使っているのかも知らされないというのはどういうことであろうか?
それでは、京都市教委が「世界最大の教育団体」ともちあげている「ジュニア・アチーブメント」とはいったいどういう団体なのか。
「ジュニア・アチーブメント」は、1919年にアメリカで発足した民間団体である。現在では、IBMをはじめ、ゼネラルモーターズなどの多国籍企業のトップが理事に名前を連ねている。最近では、シティバンク等のシティグループが財政的な支援を行っているという。日本でも、「経済同友会・教育委員会」の委員長を務めていた桜井修氏や、北城恪太郎日本IBM社長(経済同友会代表幹事)らが1995年に「ジュニア・アチーブメント日本」を立ち上げ、企業から学校に講師を派遣するプロジェクトなどを開始したのである。(斉藤貴男『機会不平等』)経済同友会系の財界が立ち上げた教育団体にすぎない。
「ジュニア・アチーブメント日本」の中許善弘専務理事は、「ジュニア・アチーブメント日本」の事業を、「子どもたちがいずれ社会に出ていくための準備」(同)と説明しているが、企業のための人材養成を目指すものである。
この桜井修氏は、1990年代当時から、これからの大企業が求める人物像を、「参謀本部」「マネジメントのプロと大量のスペシャリスト」「ロボットと末端の労働力」とし、学校教育をそのための人材育成の場にしようと主張していた。
この、同氏の主張は、「非才、無才は、実直な精神だけ養っておけ」(三浦朱門前教育課程審議会会長)という主張とも共通する。後述するような、本事業のコンビニエンスストアの出店で生徒たちが店員となって接客態度の練習をするのは、まさに「非才・無才」が「実直な精神」を養うための訓練であろう。(事実証明書PQ)
財界が公教育のあり方について多くの提言を出すようになったのは1990年代に入ってからである。
本事業を推進している堀場雅夫氏の息子・堀場厚氏は、現在、京都経済同友会の代表幹事であるが、この京都経済同友会は、かって地方の経営者団体では初めてという『世紀末の日本と教育改革---緊急提言』(2000年 9月)を出している。その提言では、教育基本法改悪を主張しただけではなく、「中学校の義務教育廃止」を訴え、「社会は多様な人材を必要としている。学力に自信がなければ手足を使う技能者・技術者として世に出ればよい。---勉強嫌いをいつまでも学校に引っ張り、やる気と自信を失わせ、いたずらに不登校を増やし、教師に苦労をかける無駄は、12歳で打ち止めとしたい。」とまで言い切っている。京都経済同友会にとって、コンビニでの接客訓練などは、このような「学力に自信がない、多様な人材」を育てるためのものとして位置づけられているのであろう。
まさに、「企業の論理が猛烈な勢いで小中学校の教育現場に注入されていく。---未熟な子どもを企業社会の価値観に染め上げる“洗脳”に通じかねない危険が歪めない」(同書)という危惧が現実のものとなろうとしている。
また、本事業では、教育の内容がほとんど特定の民間団体に委ねられており、個々の教員にはただそのプログラムや『指導者マニュアル』(事実証明書Q)が押しつけられているだけである。
憲法第23条の「学問の自由」は、教員らの「教授の自由」をも含んでいる。たとえば判例でも、「教師に対し教育ないし教授の自由が尊重されなければならない」(教科書裁判東京地裁杉本判決(1970.7.17))、「一定の範囲における教授の自由が保障されるべき」(最高裁北海道学力テスト判決(1976.5.21))と認められている。
本事業のような民間団体による教育内容への介入は、教員らの「教授の自由」を侵害し、教育基本法10条、(新法16条)が禁止する「不当な支配」に該当する。
また、本事業は、堀場雅夫京都商工会議所副会頭の提案、3000万円もの高額の寄付金により始まったものである。さらに京都市教委は、本年1月12日、同氏を本事業の施設の館長に起用した。単なる名誉館長ではなく、部長級としての職務権限を持った重要なポストである。(事実証明書L)特定の財界人を、ここまで公教育に係わらせるのは問題である。
2−3.教育委員会による教材(テキスト)の作成は違法
前述のように、この事業においては、「ジュニア・アチーブメント」と京都市教委によって、『ワークブック』と『指導者マニュアル』が作成されている。
こうした教材については、学校教育法21条で、「教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる」と定められている。そして、地教行法第23条の教育委員会の職務権限では、「教科書その他の取扱に関すること」と定められ、さらに同法第33条では、「教育委員会は、学校における教科書以外の教材の使用について、あらかじめ、教育委員会に届け出させ、又は教育委員会の承認を受けさせることとする定を設けるものとする。」とされている。
すなわち、教材に関する教育委員会の職務権限は、「取扱」や「届け出の承認」にすぎず、教材の作成権限はない。行政が、教材を作成できるというのなら、「主たる教材」である教科書も作成できることになってしまう。このことは、戦前の国家統制の教育の反省から戦後、教育基本法が定められたという趣旨からすれば、当然のことであろう。
なお、昨年の「ジュニア日本文化検定」に関する住民監査請求において、京都市監査委員会は、この問題について一定の判断を示しているので、その点に触れておきたい。
そこで、京都市監査委員会は、「考えるに、行政が作成した図書その他の資料であっても、学校の権限においてこれを教材として選択し、使用する限り、教材を介した教育内容への介入の問題が生じる余地はない」ので、「教材の作成主体は問題とはならない。」と判断した。
この判断は、「ジュニア日本文化検定」のテキストがどのように使用されたのかを具体的に検証したものではない。行政が作成した教材の場合であっても、各学校が主体的に採択して使用することは理屈の上ではあり得るという一般論を述べたものにすぎない。
この監査結果は2つの点で間違っている。
1.まず、教材の採択方法や使用のされ方は、作成とは別の問題である。地教行法に、教材の作成主体が明記されていないのは、戦前の教育の反省から生み出された教育基本法の趣旨から、国定教科書が廃止されている以上、行政は教材も作成することはできないというのはまさに自明の理であるからであった。教育委員会の職務権限に教材の作成が入っていない以上、教育基本法の趣旨から、教育委員会の教材作成は違法である。それがどう使われたかで、違法な教材作成が合法となるものではない。
2.「ジュニア日本文化検定」のテキストは、「学校の権限において教材として選択し、使用した」ものではない。従って、事実を具体的に検証すれば、「教材を介した教育内容への介入」であったことは明らかである。
本事業においても、教育委員会が民間団体に『ワークブック』等の教材の作成を委託したことは違法であるし、その配布のされ方も違法である。
2−4.企業活動のための「研修」が、何故、「生き方探求」なのか? そしてあまりに杜撰な内容
京都市教委は、子どもたちが「自らの生き方を探求」するために、施設の名称を「生き方探求館」と命名したという。
京都市長と「ジュニア・アチーブメント日本」との委託契約書の決定書(事実証明書C)では、この事業の目的を次のように記している。
「児童・生徒が、社会の仕組みや経済の動き、地域社会における個人の役割を理解するとともに、豊な人間性を育成し、自らの行き方を主体的に考えるための基礎的教養を習得することを目的とする」
しかし、子どもたちに配布された『ワークブック』などをとおして、この事業の実際の姿を見ると、上記のような「事業の目的・趣旨」とのあまりの乖離に驚かざるを得ない。
たとえば、携帯電話会社の出店。市教委の「ジュニア日本文化検定」のテキストでは、「ドコモ」の大きな広告を掲載させて問題となったが、この事業では、「KDDI au(エーユー)」が出店を出している。(事実証明書Q)
子どもたちは、このブースで、マネージャー、会計担当、会社担当、個人客担当などに分かれ、個人向け携帯電話の機能を説明したり、小物等を販売する。また、「KDDI au(エーユー)」の新聞広告を作り、京都新聞社に渡す。このような出店の企業の新聞広告作成は、他の多くの出店でも行われている。現在、大きな問題となっている子どもたちと携帯電話、インターネットの問題を考えることもなく、子どもたちは、ただ、他のブースの会社に「KDDI au(エーユー)」の携帯電話の宣伝をし、新聞広告を作成するだけである。そして、仮想の売上高を処理していく。単なる、社員教育、それも単純業務の訓練にすぎない。
また、コンビニエンスストアの出店(事実証明書P)では、接客態度の訓練が中心となっている。
さらに、ファイナンスパークの『ワークブック』を見よう。たとえば、「生活設計シュミレーション」。(事実証明書R)
一人ひとりに個人情報カードが渡され、子どもたちは、それにもとづいて、全く架空の、配偶者の氏名・年齢、子どもの氏名・年齢などを記入して、「私のプロフィール」を作成していく。
これだけでもくだらない内容だが、このシュミレーションでは、「私」は、皆、3社の株式を持つこととなっている。しかし、その株式シュミレーションの対象となる企業は、大阪ガス、三井不動産ら、この事業にブースを出している8社と、何故かブースを出していないが、本事業のために3000万円もの寄付をした堀場雅夫が最高顧問となっている堀場製作所の9社からしか選択できない。こうした会社の株式を子どもたちが持っていると想定させ、株価の上下に一喜一憂させるのである。
特定の企業のブースで、その企業の法被を着て、その会社の新聞広告を作成し、接客態度の訓練をさせる。そしてその企業の株式を持たせることなどが、何故、「生き方の探求」となるのか?将来、子どもたちがコンビニなどにアルバイトに行く際に、少しは役立つとしても、そんなことが、何故、「豊な人間性」を育成し、「自らの生き方を主体的に考えるための基礎的教養」となるというのか?
そもそも、社会は、企業でのみなりたっているのではない。それぞれの子どもたちが生き方を探るというのなら、企業だけではなく、社会には、いろいろなNGOや社会団体等も存在し、企業はそのうちのほんの一部の存在にすぎないことを教えなければならない。また、実際の企業には、派遣社員やアルバイト、下請労働者などが多数いるということや、そして、労働組合の役割なども教えなければならないだろう。
学校は、企業の社員教育をするところではない。この事業は子どもたちにとって無駄であるだけではなく、全く有害なものである。3
3.違法不当な公金支出
3−1.「ジュニア・アチーブメント日本」への2000万円の委託契約の違法・不当性
以上、述べてきたように、2006年10月10日、桝本頼兼京都市長と椎名武雄「ジュニア・アチーブメント日本」理事長の間で、本事業の実施に関して、委託料2,000万円で締結された委託契約(以下、「本件委託契約」)による公金支出は、憲法、教育基本法、地教行法等に違反したものである。
そもそも、2005年10月5日、京都市教育委員会が本事業の実施について広報発表した際、「『ジュニア・アチーブメント』は、全世界で約4万社の企業の支援を受け、---教材や指導法の開発を行い、無償で各種教育機関に提供している。」(広報資料 事実証明書N)、「教材やプログラムは学校に対して無償配布」(2005.9.26に教育長が決定した「事業の実施について」の文書での『ジュニア・アチーブメント』の説明(事実証明書M))とされていたはずである。
しかし、本件委託契約では、事業プログラムや教材の作成等についても委託料の内容に含まれており、当初の約束とは矛盾したものとなっている。
現に、京都市に先行してこの事業を実施した福島県や東京都品川区においては、全ての教材は無償で提供され、自治体から「ジュニア・アチーブメント」への経費の支払いはなかったとのことである。
――――――――――――
3 また、テキストの内容もあまりに杜撰である。
たとえば、スチューデントシティには、アメリカンエアラインが出店を出しているが、『ワークブック』の「スチューデントシティのある会社」には、何故か、アメリカンエアラインがいっさい出てこない。この出店で、子どもたちがどのような学習をするのか、いっさい説明されていないのである。
本事業の事務手続きにも多くの問題がある。まず、何故、「ジュニア・アチーブメント」との随意契約が交わされたのか?
学校現場で経済や金融の仕組みなどを教える「経済教育」は、すでに全国の学校に広がっている。そして、「最近はシュミレーション教材を中心に様々な教育プログラムが金融庁や業界団体、企業などから提供されている。」(朝日新聞 2006年7月24日(事実証明書22))と言われており、同新聞記事でも、大阪市の「キャリアリンク社」の事業が紹介されている。
しかし、京都市教委は、当初から他の教育プログラムをいっさい検討することなく、「ジュニア・アチーブメント」との随意契約を締結した。「経済教育」の必要性を認めたとしても、まずいくつかのプログラムを比較検討して、どれを採用する決定しなければならなかったが、そうした作業はいっさいされていない。
また、本件委託契約の決定書には、最終決定者の印がなく、決定行為がなされたとは言えない。(事実証明書C)契約締結の決定行為がなされていないにもかかわらず、委託料が支払われたのは、違法・不当な公金の支出である。
さらに、この契約にあたって「ジュニア・アチーブメント日本」から出された見積書は、「システム構築費 一式」、「広場ブース設営 一式」、「教材作成費 一式」、「人件費 一式」と書かれているだけである。(事実証明書C)普通なら、「システム構築」や「広場ブース設営」「教材作成」等の内容について詳しく示し、その詳細の費用の積算書が添付されなければ、何故、その費用となったのか判断できない。このような杜撰な見積書だけで、何故、委託料が2000万円になると認められたのであろうか?4 このような杜撰な公金支出は許せるものではない。
従って桝本頼兼京都市長、京都市教育委員会門川大作教育長、同在田正秀同総務部長は、連帯して2,000万円の損害賠償金を支払うこととの勧告を求める。
3−2.「著作権使用料」200万円の公金支出の違法・不当性
さらに、2007年1月10日、桝本頼兼京都市長は、椎名武雄「ジュニア・アチーブメント日本」理事長と、「スチューデントシティ・ファイナンスパークの著作権等に関する覚書」(事実証明書H)を締結し、学習プログラムに係る著作権使用料として200万円を支払った。前述の2000万円の委託契約が違法・不当なものであるから、この著作権使用料の支払いも違法・不当な公金支出である。
また、前述の2000万円の委託契約は、システム構築等の業務も含まれており、「ジュニア・アチーブメント日本」に著作権が帰属するプログラムであることを理由として随意契約がなされている。委託契約書の「委託の範囲」でも、「事業のプログラムに関すること」という業務が含まれており、それをさらに「学習プログラムに係る著作権使用料」として200万円を支払うのは二重払いである。また、何故、200万円となるのかという根拠も全く示されていない。
従って、この覚書の締結を決定した在田正秀京都市教委総務部長は200万円の損害賠償金を支払うこととの勧告を求める。
3−3.前田建設工業株式会社等による京都新聞全面広告の問題
2007年1月14日、京都新聞に本事業についての全面広告が掲載された。(事実証明書D)京都新聞社販売
――――――――――――
4 この見積書の詳細を示す文書を公文書公開請求しようとしたところ、市教委の担当者からは、「『ジュニア・アチーブメント日本』からは、明細を説明した文書は市教委に提出されていない」とのことであった。
局に問い合わせたところ、この全面広告は京都市教委が費用(330万円)を出したものではなく、前田建設工業株式会社らがその費用を負担したとのことであった。(事実証明書23)
前田建設工業株式会社は、「スチューデントシティ・ファイナンスパーク事業」の施設となった元京都市立滋野中学校校舎の耐震改修工事を、随意契約で請け負った会社である。(契約金額 165,716,250円)
京都市教育委員会は、この事業だけではなく、公共工事を請け負った民間会社に、工事完成後にその会社の負担でその事業の新聞広告をださせることが多いが、このようなことは認められない。このような新聞広告を掲載させることも、本事業への出店や備品の提供を求めることと同じように、権力を持った行政による「タカリ」そのものである。民間会社は、請負工事費から広告費用を捻出したことになるから、そもそも当初の請負工事費が広告費用の分だけ不当に高く契約されていたといえる。
従って、この前田建設工業株式会社との耐震改修工事請負契約締結を決定した桝本頼兼京都市長は、この京都新聞全面広告の費用330万円の損害賠償金を支払うこととの勧告を求める。
4.まとめ
本事業とほぼ同時期に実施された「ジュニア日本文化検定」については、現在、住民訴訟でその違法性が争われている。
この「ジュニア日本文化検定」も、京都商工会議所の要請で始まった事業である。テキストには多くの企業の広告が掲載され、本文中でも、10社ほどの企業の実名をあげて褒め称えている。また、オムロン、京セラ、京都銀行、京都中央信用金庫、堀場製作所、三菱東京UFJ銀行、村田機械等から寄付が寄せられている。
「ジュニア日本文化検定」と「スチューデントシティ・ファイナンスパーク」事業。どちらも財界からの要請で始まり、財界からお金が出され、財界が教育内容にまで介入するという同じ性格を持っている。5
これが、門川教育長が推進する「京都式」教育改革、「産学公連携」の実態である。財界にクチもオカネも出してもらって、京都市の公教育は、まるで、財界の事業実施部門、人材育成部門となってしまったかのようである。6
――――――――――――
5 京都市教委の20以上ある市民参画事業にも、企業トップが大勢名を連ねているというマスコミの指摘もある。(日本経済新聞 2006年10月2日 夕刊)
6 こうした「京都式」教育改革の「功績」が認められたのか、門川教育長は、安倍内閣の私的諮問機関「教育再生会議」の委員に抜擢された。第1回の教育再生会議での門川教育長の発言は、「(公教育への)経済界などの大人社会全体の協力」(「議事要旨」より)ということであった。
京都市で実施してきた公教育への財界の介入を、全国に広めていきたいと考えているのであろうか?