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投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 10 月 23 日 07:19:35: mY9T/8MdR98ug
 

永田町徒然草 No.588

昨日に続いて、小論「自民党政治を倒すことはできるか?」のつづきである。この小論は勢いにまかせて書いたものである。途中で字数を計算したら規定数の倍近くあった。そこでまったく新しく書くことになった。従って、この小論は本当は途中で終っている。竜頭蛇尾というか、尻切れトンボである。この小論で指摘したことは間違いないと思うが、もうひとつのことが成就したとき、自公“合体”政権を倒すことができる。それは読者諸氏で考えてもらいたい。        

        自民党政治を倒すことはできるか?

官僚たちの支援体制など大したものではない

<永田町徒然草No.589からつづく>官僚たちの支援を失った自民党の国会議員や候補者など、選挙においてそんなに強いものではない。小選挙区制の下の選挙では、かつての中選挙区時代のような強固な自民党候補者の後援会組織が育たない。それは野党にもいえることである。中選挙区時代には、同じ党の候補者同士が鎬を削るのである。そのためには強固な候補者個人の後援会が必要であった。自民党は中選挙区制の下でも過半数を獲得するために最後まで複数の候補者をそれぞれの選挙区に擁立した。しかし、これを行わなかった社会党は足腰の強い政党ではなくなっていった。

後援会組織とは、選挙戦を戦うための政治組織である。しかし、官僚が影響力を行使できる各種の団体・組織は、そのようなものではない。いうならば利益団体にすぎないのである。官僚もそのことを承知していて自民党を応援してもその団体や自らの利益にならないと判断すれば、支援体制を組まないしその団体そのものも動かない。やったとしても面従腹背の支援である。

しかし、創価学会は違う。創価学会は、政治戦や選挙戦を行える組織である。創価学会が宗教団体であることは否定しないが、この宗教団体は並みの政党以上に立派な政治戦や選挙戦を行える団体であることを認める人は多いのではないだろうか。それが憲法上問題であったとしても、事実は事実として認めなければならない。

マスコミに対する創価学会の影響力

創価学会が本気になって自民党を支援しようとした場合、その力を無視することはできない。創価学会が公明党を実質的に支配していることは多くの人々が認めるところだが、創価学会イコール公明党ではない。創価学会は公明党なととは違う組織と資金力と影響力をもった団体である。

創価学会は、まずマスコミに大きな影響力をもっている。現代の選挙においてはその是非は別として、マスコミの報道のあり方が選挙に対して大きな影響があることは誰も否定できないであろう。創価学会は大きな資金力と組織と人的ネットワークにより、マスコミに対して大きな影響力をもっているのである。 暴政に近いと呼ぶことができる現在の自公“合体”政権の政治のあり方に、かつてのようにマスコミが批判をしないのは創価学会のマスコミに対する影響力のためであろう。自公“合体”政権に対する批判は、創価学会に対する批判に通じる。批判を一切拒否するということは、創価学会の特質として広く知られていることである。

自公“合体”政権を倒すためには、このカラクリを知らなければならないのである。このカラクリを阻止するためには、創価学会・公明党の政権参加を批判するしかないのである。それを行うと創価学会から激しい攻撃を受けることは避けられないが、そのことをしない限り創価学会のマスコミに対する影響力の行使は決して止まない。マスコミによる世論操作を放置しておいて、時の政権を倒せると考えることは児戯にすぎない。

創価学会が好きでない人は、非常に多い

自公“合体”体制が定着してからの創価学会の自民党に対する支援は、“いじましい”ほどである。最近の選挙の世論調査などをみているともともとの自民党支持者よりも公明党支持者の方が、自民党候補者に投票する比率が高い。これは投票行動だけではないであろう。選挙には多くの人手が要る(ポスター貼り、シール貼り、電話作戦、宛名書きなど実に多くの人手がいるのである)。こういう選挙作戦にも自民党候補者は創価学会に依存しているのではないか。

かつての自民党候補者の後援会は、候補者のためなら“火の中、水の中”を厭わず活動した。小選挙区で当選した多くの自民党国会議員には、もうこのような強固な後援会組織はなくなってしまったのではないか。それを補ってくれているのが各選挙区の創価学会の組織なのであろう。だから自公“合体”体制に対する懐疑や批判が自民党の中から一切でないのである。しかし、このことが強い後援会組織の力を弱めているのである。選挙の組織というのは、苦しい戦いを積み重ねることによって築き上げられていくものなのである。

自民党の支持者も一般の有権者も、本音では創価学会が好きではない。反創価学会の人というのは、一般に考えられるよりはるかに多いのである。公明党が政権入りしても、衆議院選挙や参議院選挙の比例区での得票が思うより伸びないのはそのためであろう。

自民党の候補者が創価学会に依存して選挙を行うことは、一時的・短期的には有効なのであるが長期的は自力を削いでいるのである。多くの自民党の候補者はこのことに気が付いていないようであるが、創価学会がいつまでも支援してくれる保障はどこにもない。公明党との連立が解消されたとき、自民党の候補者の組織は考えられないほど脆弱になっているであろう。

政権交代への“本気度”のバロメータ

自民党政治を終らせるためには、創価学会・公明党との戦いを覚悟しなければならない。なぜならば、自民党政治などどこにもなく、いま私たちの眼前に存在するのは自公“合体”政権だからである。自公“合体”政権が倒されたときに、創価学会・公明党が自民党から離れることはほぼ確実である。しかし、自公“合体”政権が倒れるその時まで、創価学会・公明党は自民党から離れないであろう。自民党と創価学会・公明党は“合体”しているからである。創価学会・公明党との戦いを避けて自公“合体”政権を倒すことは事実上あり得ないであろう。

最近民主党の小沢代表は、自公連立政権である以上誰が首相になってもそのような政権を倒すといっている。共産党も現在の政権を自公政権と呼ぶようになった。これは創価学会・公明党との戦いを避けて、現在の政権を倒すことはできないと考えているからだと思う。

今回の参議院予算委員会の質問で石井一議員がP献金のことを質問した。私のその質問をみたが、議場は騒然とし冬芝国土交通大臣は「あなたはもP献金なるものが出鱈目だとしたら、議員を辞職するつもりはあるんですか。これはそういう重大な問題ですよ」と気色ばんでいた。石井議員は国会対策委員会とある程度は相談した上で質問しているのであろう。良い傾向である。今後の推移を注目してみたい。           <ひとまず・おわり>