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30歳のニートを抱えたらいくら必要か?
2008年03月29日10時00分 ブックマーク
茨城県土浦市で金川真大(24)が、男女8人を次々に刺した。高卒後も定職に就かず、ゲームセンター通いだった。事件は、ニートやフリーターを抱える親にも他人事ではない。なにしろ、事件化しないまでも、働く意思のない子を養うには莫大な費用がかかるのだ。
厚労省の推計によると、ニート人口は05年時点で約64万人。95年が45万人、00年は44万人と横ばいだったから、ここ数年で急増している。さらにフリーターが全国に約213万人。若年失業者も約148万人と、定職に就いていない若者は合計で425万人に達する。
東京都が昨年9〜10月に行った実態調査によると、都内の「引きこもり人口」は約2万5000人。年齢別では、まさに「団塊ジュニア」と呼ばれる30〜34歳が全体の43%で最も多かった。ニート事情に詳しいルポライターの橘由歩氏がこう言う。
「就職氷河期に大学を卒業した『ロストジェネレーション世代』がニートの中心です。ただ、厚労省のニートの定義は35歳までで、40代以上のニートを含めると、実態はさらに深刻。ニート問題が怖いのは、子供の引きこもる年数が長引くにつれ、家族もそれを不自然だと思わなくなることです。経済的に恵まれている家庭はまだしも、最悪、殺人事件に発展するケースになる。いつかは息子も働き出すという幻想は持たないほうがいいでしょう」
●定年後に7000万円の負担増
なにしろ、定年後もニートの子供を抱えると、途方もない金額が必要だ。30歳のニートの息子を抱えた場合、一体いくらかかるのか?
まず基準となるのが、総務省が発表した今年1月の家計調査だ。2人以上世帯の平均消費支出は30万9826円だった。
「60歳で定年退職した男性の場合、日本人の平均寿命(78.79歳=07年)まで19年(228カ月)の余命がある。となると、支出総額は、月平均消費支出×228カ月分で計7064万円です」(シンクタンク研究員)
一方、老後の収入は、サラリーマンの平均退職金(勤続35年で定年)の約2402万円。厚生年金の平均受給額16万9000円(05年)の19年分が3853万円だ。合計で6255万円しかなく、定年後の再就職ができないと、809万円の不足に陥る。
何とかなりそうだと思うのは、早計。問題は自分が死んでからだ。
1980年の「人口動態統計」によると、第1子誕生時の男性平均年齢は29歳(女性26歳)だった。自分が79歳で死んでも息子はまだ50歳。あと29年も生きる。単身世帯の月平均消費支出は17万8582円だから29年分で約6214万円の資金が必要だ。
「つまり、ニートの息子を抱えた場合、妻の老後資金を一切無視しても、自分が生きているときと死んだときを合わせて、合計7023万円の蓄えが必要なのです」(シンクタンク研究員=前出)
そんな余裕も覚悟もないという家庭は、子供がニートになったら、尻を叩いてすぐに再就職させなくてはいけない。全国には「東京しごとセンター」「ジョブカフェ大阪」など経産省が設置した就職サポートセンターもある。「息子を信じている」なんて甘い考えでいたら、待っているのは“最悪の事態”だ。
【2008年3月26日掲載】
ゲンダイネット / 提供元一覧
http://news.livedoor.com/article/detail/3574986/