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http://news.livedoor.com/article/detail/3522079/
マンガ『げんしけん』に見るアキバ系オタクカルチャーの世界
2008年02月24日13時00分
都心から電車で約1時間。椎応大学に存在する、マンガ・アニメ・ゲームなどオタク文化を研究するサークル「現代視覚文化研究会」、略して“現視研”。…といっても、実際には研究など行わず、毎日毎日ゆる〜く「あのアニメのあそこが!」「このフィギュアのここが!」と、のんべんだらりと語ったりしている“オタク”学生たち。
彼らの生態や世界観がゆる〜く描かれているアキバ系青春物語…それが、昨年末までアニメの第2シリーズが放送されていた、アキバ系学生のバイブルマンガ『げんしけん』だ。
毎回登場人物たちが語る、アニメやマンガについての考察や、アキバの街を同人誌やエロゲーを求めさまよう姿。東京ビッグサイトで行われる同人誌即売会のアツくるしい熱気から、手作りのコスプレを身にまとった撮影会など、この作品を読めば“ニッポンのオタク”がよ〜くわかるのだ。
しかし『げんしけん』の面白いところは、それだけではない。「女子に話しかけるうえでの葛藤」「オシャレな服を買いに行って、値段すら見ることができずに苦しむ」「女子のオタクが、リアルな男子たちを見ると、自然に同性愛のカップリングを考えてしまう」…など、オタクの心理や恋愛観が痛々しいほどに描かれている。普通の人でも、思わずグッと来るポイントも盛りだくさんなのだ。
「『げんしけん』は、近年まれに見る良質な“成長物語”ですね」と主張するのは、オタク文化に詳しい東京学芸大学教育学部の浅野智彦准教授。
「80年代以降、『ずっと若くいたい』という風潮が強まり、大人になるための装置である“就職”“結婚”“出産”が機能しなくなってきた。そのため、現実の世界において“成長する”ことが難しくなったんです。現代社会において若者が成長するためには、『最低限の連帯感』『共通した妥協できない好きなテーマ』『問題に対して逃げずに向き合う』この3つを兼ねそなえたゆるいコミュニティが必要だと考えられています」
その3つの要素+ゆるいコミュニティ。『げんしけん』の世界には、これらがギュっと詰まっているのだという。
「『げんしけん』の登場人物たちは、『同じカルチャーが好き』『オタクということで後ろ指をさされている』という共通点から最低限の連帯感があり、『妥協ができないほどに好きなもの』を持っているからこそ、ときに周囲の人間に迷惑をかけたり傷つけたりする。そこには衝突や葛藤、自己否定や自責の念がうずまきますが、現視研のメンバーたちは、その問題点から逃避したり、相手を攻撃したりせずに、ゆるく乗り越え、見事に成長していくんです」(同氏)
現代社会における成長物語が読み取れる『げんしけん』。ゆる〜く成長していく彼らの生活を覗いてみれば、オタクの世界になじみのない人たちも共感&成長できるかもしれませんよ!
(R25編集部)