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http://news.livedoor.com/article/detail/3515304/
【眼光紙背】「援交狩り」の被害が拡大
2008年02月20日11時00分
門倉貴史の眼光紙背:第21回
07年1月28日深夜、福岡県北九州市門司区東港町で「援助交際狩り」による強盗致死事件が発生した。15〜19歳の少年少女らが共謀して、ツーショットダイヤルで男性を誘い出し、「誰の女に手を出しよるか」と因縁をつけた。このグループは、男性から現金を奪おうとして特殊警棒などで顔面を殴打、男性を海に転落させて水死させた。
携帯電話の出会い系サイトを利用した「援助交際」の問題が深刻化するなか、最近では、冒頭で述べたような、現代版「美人局(つつもたせ)」ともいえる「援交狩り」の被害が拡大しつつある。
「援交狩り」は、未成年者が行うことが多く、犯行グループは、たいてい少年少女ら数人で構成される。犯行はゲーム感覚で実行されており、罪の意識などはまったくない。「『援交狩り』の被害に遭った人は自業自得だ」といわんばかりである。
「援交狩り」の具体的な犯行の手口をみると、まず、犯人グループは、仲間の少女を使って成人男性と「援助交際」の約束をさせる。今の世の中、援助交際の約束なんて、簡単にできるはずがないと思うかもしれないが、実際には、「すぐに会いたいわ!」などと言葉巧みに誘えば、高い確率で成人男性がひっかかってくる。
そして、わざと公園や駐車場など人気のない暗いところに待ち合わせ場所を設定して、少女が男性を誘い出す。
男性が待ち合わせ場所に現れると、少女は「ちょっと電話をかけてくるから」などといってその場を離れる。
すると、暗がりから少年らが数人で登場し、男性を囲んで「こんなところで何をしているんだ!「援助交際」は犯罪だぞ。警察にバレるのが嫌だったら金を出せ。」などと言って恐喝する。恐喝する際には、暴力団関係者を装うこともある。また、男性が金を払うことを拒んだ場合には、暴行を加えて強制的にお金を奪い取る。
被害者は、自分が「援助交際」をしようとしていたという後ろめたさがあるため、現金を奪われても、警察に被害届けを出さないことが多い。また、被害者は「援助交際」が目的で現場に現れるので、5万円から10万円程度の多額の現金を持っている。
このため、犯人グループにとっては、摘発されるリスクを小さくして効率よく恐喝ができるというメリットがある。手っ取り早く金儲けができるため、それまで「オヤジ狩り」や「オタク狩り」などをしていたグループが「援交狩り」に切り替えるようになってきている。
「援交狩り」の被害は、当初は大都市部に限られていたが、近年では全国的な広がりをみせはじめている。
具体的な事件をみると、04年9月には、千葉県で「援交狩り」をしていた15歳の男女4人が恐喝の疑いで逮捕された。4人は携帯電話の出会い系サイトで知り合った男性会社員を公園に呼び出し、男性が少女の1人と会ったところで、現金2千円を脅し取ったという。
また、06年9月には、石川県で「援交狩り」をしていた18〜19歳の少年5人が逮捕された。少年たちは、携帯電話の出会い系サイトを使って土木作業員の
男性を公園駐車場に誘い、金を脅し取ろうとした。男性が応じなかったため、暴行を加えて、強制的に9万円を奪ったという。被害に遭った男性は全治2週間の怪我を負った。少年たちは、遊ぶ金ほしさに「援交狩り」をしたということだ。
「援交狩り」は、「援助交際」が犯罪であるにもかかわらず、男性の側にそうしたニーズがあることを巧みに利用しており、今後も同種の被害は広がっていく可能性が高い。「援交狩り」の被害に遭わないためには、援助交際が犯罪であることを十分に認識したうえで、安易にそうした誘いに乗らないことが何よりも重要である。安易に「援交」の誘いに乗れば、その人の人生にとって非常に高い買い物になることは間違いない。
プロフィール:
門倉貴史(かどくら・たかし) 1971年生まれ。エコノミスト。BRICs経済研究所代表。専門は、日米経済、アジア経済、BRICs経済、地下経済と多岐にわたる。オフィシャルサイト:門倉貴史のBRICs経済研究所