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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007122302074407.html
【社会】
『長期脳死』で延命中止 死期迫らず異例家族希望で
2007年12月23日 朝刊
頭のけがが原因で約半年間「長期脳死」の状態だった四十代の女性患者について、秋田赤十字病院(秋田市、宮下正弘院長)が二〇〇六年三月、病院の倫理委員会の承認を得て人工呼吸器を含む延命治療を中止していたことが二十二日、分かった。中止を希望した家族も立ち会い、女性は間もなく亡くなった。
病院側は「臨床的脳死判定をし、院内全体で議論した結果」としており、日本救急医学会が今年十月にまとめた終末期医療に関する指針にも合致する対応だが、脳死後も長期間心停止にならず「死期が差し迫ったとはいえない」(同病院)状態での中止は極めて異例。
呼吸器外しのように患者の死に直結する中止行為をめぐっては「生命の切り捨て」との批判もあり、議論を呼びそうだ。
病院によると、女性は〇五年九月に転落事故による頭部外傷で入院、集中治療を受けたが血圧が下がり瞳孔も散大。脳死移植時の法的脳死判定とほぼ同じ基準で行われる臨床的脳死判定で脳死とされた。
家族は当初、治療継続を希望。病院側は栄養や水分補給、呼吸器のほか、ホルモン補充療法などを実施。約二カ月後の再判定でも変化はなく、コンピューター断層撮影(CT)でも脳全体の壊死(えし)が確認された。
治療方針について家族の気持ちは揺れることもあったが、〇六年二月ごろには「そろそろ見送ってあげたい。呼吸器も含め中止してほしい」と固まった。延命治療に対する患者意思を記した文書などはなかった。
病院側は「家族の気持ちに応えるため、病院全体で手順を踏むことが大切だ」(宮下院長)と考え、三月に院長や事務部長、看護部長らによる倫理委員会を開催。審議の結果「家族の理解が十分であれば、延命治療の中止に呼吸器を含めることは是認できる」と中止を承認した。
長期脳死 通常は呼吸や循環管理のための治療を続けても1週間から10日程度で心停止に至ることが多い脳死症例の中で、判定後も長期間にわたって心停止に至らない場合を言う。遷延(せんえん)性脳死、慢性脳死とも呼ばれ、数カ月にわたることもある。小児で多いとされるが、成人でも報告例がある。脳からの命令がない状態でも酸素や栄養、水分補給があれば、心臓などの臓器は機能を維持し続けるが、長期に及ぶ要因は分かっていない。
これを受け、家族に中止の希望を書面で提出してもらった上で最終的に宮下院長が決断、家族が見守る中で治療を中止し女性は約二十分後に亡くなった。心停止後、生前の意思に基づき腎臓と眼球は移植に使われた。
臨床的脳死判定は、患者に負担の大きい無呼吸テストをしないが、同病院は〇六年九月、より厳格に判断するため「呼吸器外しは無呼吸テストも含め脳死と判定された場合に限る」との指針を策定。その後、同様のケースはないという。