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『悲惨な事故忘れないで』 住宅地に米軍機墜落から30年(東京新聞)
2007年9月22日
横浜市で30年前に起きた米軍機墜落事故をテーマにしたミュージカルが28、29の両日に上演される。舞台に立つのは、当時まだ生まれてもいなかった中高生たちが中心だ。今もまだ横浜の上空を米軍機が飛び続けるなか、「悲惨な事故を決して忘れてはならない」と、若者たちが平和への願いを込める。 (小川慎一)
ミュージカルのタイトルは「Wish…あきらめない」。
公募で集まった小学四年生から七十代までの五十五人が出演する。十周年を迎える横浜市緑区の区民ミュージカル記念公演で、三年前にも同事故をテーマに舞台を上演し、大きな反響を呼んだ。
物語の主人公は、卒業後の進路に悩む高校三年の女子生徒・葵(あおい)。事故で亡くなった土志田和枝さん=当時(31)=と二人の子どもを追悼して建てられた「愛の母子像」の前で起きたある事件を通して、葵や友人たちが風化しつつある事故の被害や意味を知り、平和への願いを込めて、母子の願いを語り継ぐために一歩を踏み出すというものだ。二時間を超える大作だが、迫力あるダンスとオリジナルの曲と歌で観客を魅了する。
横浜市中区の港の見える丘公園にある「愛の母子像」を寄贈した和枝さんの父勇さん(82)は公演に招待されているが、入院中のため来られるかどうかはまだ分からない。
公演の企画制作を担当する区民ミュージカル実行委員で中学教諭の大沢清さん(55)は「勇さんに公演のことを伝えたら、とても喜んでくれた。高齢の勇さんと一緒に過ごせる時間はもうあまりないかもしれないが、平和を伝えようとする若者たちの姿を見てくれれば」と話している。
葵を演じる県立田奈高校一年の片山美乃里(みのり)さん(16)は演出家に怒鳴られながら、時に涙を流すこともある。だが決して役を投げ出しはしない。それはこんな思いが、片山さんを動かしているからだ。
「なんで飛行機が落ちたのか。どんな思いで、勇さんがこの三十年を過ごしてきたのか。事故の悲惨さや勇さんの思いを多くの人にこれからも伝えていかないと」
× ×
二十八日午後六時半、二十九日午後零時半と同午後四時からの計三回、横浜市緑区の緑公会堂で上演する。当日券はなく、前売り券大人二千円、中高生千五百円、小学生以下千円。緑区役所地下売店で販売。問い合わせは、緑区役所地域振興課=(電)045(930)2236=へ。
<メモ> 横浜米軍機墜落事故 1977年9月27日、神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地を事実上の母港とする空母「ミッドウェー」の艦載機が、横浜市緑区(現青葉区)荏田町の住宅地に墜落、炎上。死傷者9人の大惨事となった。土志田和枝さんの長男裕一郎ちゃん=当時(3つ)=と二男康弘ちゃん=同(1つ)=が事故直後に死亡、和枝さんも全身の8割にやけどを負った。和枝さんは化膿(かのう)を防ぐため硝酸銀の風呂に入らなければならず、あまりの痛みに「もう殺して!」と何度も叫んだという。皮膚移植など死のふちからいったんは脱したが、事故から4年4カ月後、呼吸困難のため31歳で死亡した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20070922/CK2007092202050689.html