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2007年09月15日
若者を見殺しにする社会
買ってみようか、と思うが、まだアマゾンにラインナップされていないので話題にならない限り忘れてしまうだろう。「若者を見殺しにする社会」池田信夫 blog：丸山眞男をひっぱたけにて言及されている。エッセイはこちらそして続きがこちら。
確かになぁ。もう戦争しかない、という閉塞感というのはあるだろう。そういう怒れるワーキングプアが多いのであれば、社会の安定つまり平和を求める既得権益者たち（要するに定職ある正社員ども）は、ワーキングプアがワーキングプアとして固定せず浮上するチャンスをいくつもしかも定期的に供給する社会の実現を目指すことこそ、自分たちの平和に繋がると気づき努力すべきである。自分の権益を全部手放すことはないがごく一部を回すことによって社会の安定をはかるという、つまり社会への還元の発想である。これを、地球温暖化だの難民だのというものにではなく、ワーキングプアに向けるべきだろうという議論はなされるべきだろう。
彼らの境遇は彼らが自ら招いたものだ、というのは、ある種正論ではあるのだが、正論を吐いていればいいというものではないのだから。ちなみに、赤木智弘氏が、ワーキングプアに陥ったのは社会のせいだ、というのは、あくまでも状況説明であって、本旨は、このままの場所で固定されてしまった自分にはもう戦争しかない、という話をするためのものなので、社会のせいにするなんておかしい、努力が足りない、という話をしても詮無い。そんな話をしているわけではないのである。話というのは未来のためにするものであるのだから。
ただ、その「戦争」に賭けるほどのいわゆるネット右翼的なパワーをもっている人さえ実際のワーキングプアには少ないんじゃないか。怒れるワーキングプアと、怒りさえわき起こらない静かなるワーキングプアと。戦争に賭けるというのは自爆行為なので実際は少ないんじゃないかなと思うが。現実は過酷だが放り出して戦争に飛び込みたいほどの悲惨さではないというのが非情な現実だろう。
正社員にとってはありがたい現実であるわけだが。実際、非正社員と正社員に能力の差があるわけではない。同じ時期の採用不採用だって運というか相性というかたまたまである。正社員が正社員らしくなっていくのは会社で経験を積んでいくからにすぎない。そして、スキルを積んでいる割には、結局たいしたことないじゃないという社員ばかりだったりもするのが現実である。要するに、ぬくぬくな現状はありがたいわけだ、既得権益者には。それでも、以前と比べてリストラの危険性が高まっている分、不満は高まっているわけだが。省エネとかでクーラーの温度設定が高まった部屋で「暑い！」と騒いでいるようなものですな。外はもっと暑いんだってば。
で、正社員の能力がたいしたものではないということは、その正社員の成れの果て、失礼、あがりである経営者連中をみればよくわかる。まぁいろいろあるのだろうが、ろくな判断しているのがいない。経営の訓練もせずスキルもないまま経営者になるという日本の企業のありかた自体が間違っているのだろうが、従業員からみて「間違っているだろう」という経営が多い。俺がやってやる、というのは、傍から見てても思う会社が多いだろう。実際、しがらみのない人間が舵取りしたほうが企業の経営はうまくいくはず。これは、野球の監督を代わってくれればもっとうまくやれるのに、というのと同じ話。これも実際問題、岡田や原の代わりなら大抵のひとがもっとうまくやれると思う。落合の代わりは無理だろうけど。軸のぶれなさはスゴイ。原は途中で欲が出たのかぶれちゃったよね・・・負けてもいけいけどんどんだった最初の頃は、ああ、浮上してくるだろうなと思い、実際そうなったけれども、ヘタに首位にたってしまったものでプレッシャーがかかっちゃったかな。ええと・・・何の話してたっけ？
と、要するに、自分が興味のない話は結局、深く考えたりしないわけですよ。ワーキングプアなんてどうでもいい。と言いつつ、サラリーマンとか企業とかってのが永遠とも思えないから、今後の自分の人生を考えると、ぬくぬくとはしていられないと思っているのも確か。ワーキングプアに職を奪われる−みたいな発想をして彼らが追いつかないよう排斥したり攻撃したりするのはもちろん愚かなこと。そうではなくて、自分をどうにかして上げていかないと。でもそれはスキルをあげるということではなくて、どうやってカネを稼いでいくか、という話。会社にいないと通用しないスキルでは、会社が頼りにならない時代では意味がない。コネクションも、相手次第なわけで、そうした不安定なものに寄りかかっていては未来はたかが知れている。会社が時間でしか給料をくれないなら、しかも残業代に天井があるなら、サービスになるような残業をしたって意味がない。そこで磨くスキルやコネは、そこでしか使えない、地域限定のクーポンみたいなものだから。未来を見据えたら、会社と違うフィールドで、できれば人に頼ることのないカネの稼ぎかたを見つけないといけない。更に言えば、自分を使って稼ぐうちはいつまでも時間の奴隷でいなければいけないから楽にならない。楽になるには、カネが勝手に稼いでくれるようなことをしないといけないわけだ。
世の中で儲かる仕事は、ものを右から左にながすだけの仕事である。業種でいえば、たとえば、マスコミ、金融、商社。ひとことでまとめれば、代理店。付加価値をつけてマージンを抜く仕事。ものを製造するよりも遙かに効率が良くカネになる。こうした仕事をしないと結局はカネや時間に振り回されるだけになってしまう。正社員はワーキングプアを嗤っている場合ではない。ワーキングプアも嘆いている場合ではないと思うけどね。
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